今日は特に書くこともなく、ダラダラととりとめもないドメスティック話。ちょっと怖い話から入る。
足音がするんだよね。この家。例えば、帰ってきて玄関で、車がなかったからこりゃ娘のバレエの迎えに行ってるんだな、家には誰もいないはず、って時とかに。
いつが初めてだったか憶えてないんだけど、これを聞くとなんで?って怖くて、ってのが、あ、まただ、ってなってきている。座敷ワラシくらいいても、ま、いいかみたいな。これって怖い精神状態だろうか。
こないだ伊豆に行った時に、久々に家族4人そろってけっこう話をする時間があったんだけど、娘が、足音するよね時々、と言いだした。そーなんだよ!って同調したら、そういうことに鈍いと言うか無関心なカミさんが、えー、そんなの聞いたことない、と。
そういう感覚の近さが、娘との間にはある。って赤面話に展開する。
その長く話した時に、息子が、お母さんは全く家事を手伝わずマイペースのお父さんを、よく許してるよね、って趣旨の発言をした。おっとこりゃ旗色が悪い。高校時代1人暮らしし、就職して今も1人暮らしの息子が言うだけに説得力がありやがる。勢いづいたカミさんが、一気に攻勢に出る。
だがここで心強い味方が。娘が、でもウチは(というのが彼女の一人称なのだけど)お父さん派だからなぁ、と、その議論には与しないことを宣言する。息子が心底意外そうに、え?そうなの?どうも奴はそういうリアクションがストレートで素直だ。長男、長女である息子とカミさんが、精神的に理解しあえる所以だ。
高校の頃離れて住んでいたからかもしれないが、「うるさい」「メシ」「ババァ」みたいなことには一度もなったことがなく、時々帰ってくると、カミさんとずっといろんなとりとめもない話をしていたし、今もそうだ。
一方ひねくれ者コンビである娘とぼくは、例えば1ヶ月ほど前に、カミさんの所属するコーラスグループのコンサートを観に行った時も、コーラスの人ってみんな、顔の表情がすごいよね、って言って忍び笑ったりしている。
息子とぼくは、プチ旅行に行って男風呂、女風呂に別れるときとかも、必要な会話以外は基本的にせず、それぞれ勝手にくつろいでいる。まぁ別に気まずいってことはないのだけど、そういう父と息子の関係だ。
娘とカミさんは、ふだんから一緒にいる時間が長いし、2人ともおしゃべりなので、ケンカもしょっちゅうするけど、テレビの話とか学校の話とか、いろんな話をしている。よきケンカ友達みたいな関係だ。
娘とぼくは、カミさんが出かけてしまったときとか、よく2人でメシ食いに行ったりするけど、聞きたいことがあれば話もするし、黙ってる時間もあるし、スマホいじってる時間もあるし、っていう気の置けないつきあいだ。
そんな1対1の関係の和が、家族を構成するんだよね。子どもたちが大きくなっても、しょっちゅう4人でプチ旅行に行ったりすることを、周りの人は珍しいよね、って言ってくれたりするけど、4人なら4人の、3人なら3人の関係が生まれ、それがどれも基本的に心地よいというか面白い。
まぁ娘はまだまだ子供っぽさが残っていて、家では超グータラ女だ。毎晩、風呂上りにマッサージチェアに座って髪の毛を乾かすと、そのままテレビ点けっぱなしでうたた寝を始め、起こしてもなかなか起きず眠いんだからほっとけと怒鳴ったりする。こういうだらしなさが、カミさんには許せないらしい。
だけどこれはぼくも週末にはよくやっちゃうのよね。昨日もおとといも、スタジオのソファやブースの椅子で寝ちまった。なのでこれはぼくの遺伝だね。でも、彼女の名誉のために言っておくと、基本働き者なのよ。外に出れば。根はくそまじめだし。そういう外面の良さやまじめさも父親の遺伝。
だけど働き者の中にあるあのダメ女ぶりを、ちゃんとわかって許してくれる人じゃないと結婚はできないだろうから、そういう意味では父は当面安心だ。
まだ18なのに、このところ成人式の着物のレンタルとかのDMが頻繁に届くのに触発されて、昨日からカミさんが、自分が成人式の時に着た着物がどこにあったかと探して見つからず、実家を巻き込んで大騒ぎしている。
結婚した時に買った箪笥の上置きが、着物のストッカーになってるんだけど、今は納戸の奥にあるこれを、苦労して出させられ、結局なかったと言って、今度はしまってとのご命令だ。けっこう重いのよこれ。
しかしあの娘がもう--っつてもまだ1年半も先の話だけど--成人ねぇ。別に泣いたりはしないと思うけども、それなりの感慨があるんだろうなぁ。
新歓とかでちょっと飲まされてみたら、これまた父の遺伝で、酒はあまり強くないみたいだけど、母親はある時期以降まったく飲まなくなったからね。娘とサシで飲んでみますか。
しかしあの足音はなんなんだろうなぁ。近所の家の音がそういう風に聞こえるのかなぁ?怖いけど、ま、いいかってなるところも、父の遺伝ですね。
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