GW後半、4日から6日まで2泊で、カミさんと群馬四万(しま)温泉に行ってきた。
四万温泉は、草津や伊香保に較べるとマイナーだが、奈良時代~平安時代に開湯されたとされ、戦国時代の永禄年間に最初の湯宿ができ、元禄時代には現存最古の「積善館」と言う湯宿ができて、ここが「千と千尋の神隠し」の湯宿のモデルになったとされ、近年はだいぶ客が集まるようになった、中規模の温泉街だ。
ネット上には情報がないが、前にいた会社リクルートでは、もう30年ほど前の話ではあるが、じゃらんの四万温泉担当の営業レディ--じゃらんの営業は地域ごとに嘱託の営業担当がおり、今は知らないが当時は「レディさん」と呼ばれていた--が、閑古鳥が鳴きつつあったこの温泉場をリブランディングして復活させたという成功談が、社内的には有名で、個人的にはずいぶん昔から名前は知っていた。
一昨々年亡くなった親父がその晩年、ここが気に入ったのか、兄夫妻に伴われ、オフクロと何度かここに行っていたことも知っていたが、ぼく自身は行ったことがなく、GWの行き先として、比較的近場で車で行ける温泉ということで、ここに行くことにした。渋滞は覚悟の上だが、カミさんの都合と、経験上長期休暇の最終日は比較的混まないことはわかっていたこともあり、当初3日~5日で行こうと思っていたのを、4日からに変更した。
4日は朝8:30頃に家を出て、所沢の先から坂戸辺りまで20kmちょっとと、渋川伊香保の出口で渋滞したが、おおむね予想の範囲内。しかも、今回去年秋に納車されたKicksで初めての遠出になったが、この車に搭載された「プロパイロット」が、前の車のMAZDA「レーダークルーズコントロール」よりはだいぶ進化していて、速度が遅くなっても解除されないし、止まっても<RES>ボタンを押すと復活するし、「ハンドル支援」機能で車がレーン中央にいるように細かくステアリング調整してくれるし、ハンドルを握ってさえいれば渋滞でもほぼ<RES>ボタンだけで運転できるので、これはかなり楽ちんになって、イライラがだいぶ解消された。
渋川伊香保インターを降りて中之条の街を抜け、最初に行ったのは「中之条ガーデンズ」だ。ここはまぁ、それほど珍しい植物があるわけではないのだが、いくつかのテーマに分かれたエリアごとに、この時期バラにはちょっと早かったものの、きれいな花がたくさん咲いている。ここのレストランで「おきりこみ」(ほうとうよりさらに幅広のうどん)を食べてから、全エリアを周ってスタンプを押すと記念品がもらえるというのでチャレンジし、福引のガラガラを回したら2人とも参加賞のポストカードになった。
ここから四万温泉に向け、順に名所に寄って行く。まずは四万川下流に中之条ダムによって造られた四万湖で、小規模でかなり古いダムの上から、カヌーのメッカらしく湖上にたくさんのカヌーが出ているのを見る。次に「四万甌穴」という、岩の上を石がくるくる回ることで、長年の間に削られて穴がいくつもできたという場所を、駐車場からちょっとした階段を降りて見に行ったが、最近水量が増えたってことで、渓谷としては美しいが穴がどこにあるかは確認できなかった。
次は「嘉満(かま)ヶ淵」という川にできた淵、それから「桃太郎の滝」で、これらはバス停はあるが専用の駐車場はなく、観光ガイドには載っていたと思うのだが、まったく観光客はいない。それぞれ国道から階段を降りて行くが、まぁきれいだけどもそれほどのことはない。「桃太郎の滝」の方は、川の対岸の支流が合流する直前にあるのだが、そのすぐ横の取水堰が工事中で、近づくことができなかった。
今回の宿は温泉街の中心からちょっと下流の方に離れた四万川沿いにある「三木屋旅館」だ。GW料金だけにそこそこのお値段だが、まぁ普通のレトロな温泉宿で、和室8畳で旅館メシが出てくる。上州牛ステーキがついたプランにして、このステーキはかなり美味だったが、ご飯は軽く1杯しか食べてないのに、めっちゃ腹いっぱいになった。
この宿は源泉の1つと言う温泉が、内湯と、ちょっと離れて裏山の階段を登って行ったところにある露天風呂とにあるのだが、この露天の方がなかなかよく、初日夕方以外は、2日目夕方も、2日目・3日目の朝風呂も、ここに入りに行った。弱塩泉で、上がったあと手がすべすべになる。
5日はまず車で5分程走って、道路から見える--と言っても木が茂って見づらかった--「小泉の滝」と、少し階段を降りて行ったところにある「大泉の滝」を見る。これらはまぁ大したことはない。次に四万川上流に造られた、中之条ダムよりはかなり大規模な四万川ダムの手前、日向見という場所にある駐車場に車を停め、「日向見薬師堂」を見に行く。慶長年間に建てられ県内最古の木造建築というこの薬師堂は、この地域では(たぶん)唯一の国の重要文化財で、小さいがかなり風情がある。
それからそのまま道を登り、上の国道のバイパスを越えて、「摩耶の滝」に行くハイキング路に入る。入口から1.8km、片道40分ほどのこのハイキング路は、勾配もそれほどなく、この日はめちゃくちゃ天気がよかったが、その陽射しを浴びて主に広葉樹に囲まれた道がとても美しい。 お不動さまのお導きにより摩耶姫という美しい娘と立派な若者が出会ったという伝説がある「摩耶の滝」は、落差は20mほどだがこの時期水量が多いのか、豪快に落ちる様はなかなか見事だった。途中親子2人連れに出会った他は誰にも遭わなかったが、なんでみんなこういうとこには来ないかね。
滝から戻り、車を少し温泉街の方に戻して途中の温泉施設「Lulud」にあるレストランで天ぷらそばを食べ、またちょっと車を戻して、温泉街から坂を登ったところにある駐車場というか道路脇の空き地に車を停め、午後は「水晶山」登山だ。
昔は道端でも水晶の小粒が拾えたことからこの名がついたというこの山は、車を停めた場所からの標高差は250mほどだが、登山口から最初の杉林の中はまだしも、途中から広葉樹林に変わる上部はめちゃめちゃ勾配がきつく、こないだの兵庫旅の「鬼ヶ城」同様の厳しさだ。1時間強で頂上に着いたが、ここから見下ろすと温泉街が遥か下の方に見える。
もちろん素手で取り外せるような粒は残っていないが、頂上の岩もあちこち水晶でキラキラと光っている。ここで30分以上風に吹かれて涼み休んでから元来た道を戻ったが、この山の上部の広葉樹林は本当に美しかった(冒頭の写真ね)。兵庫旅が姫路城に行った日以外ずっと天気に恵まれなかったので、久々の「陽の当たる葉の裏写真」をたくさん撮った。
帰りは自販機を探して温泉街の中を車で降りて行ったが、「積善館」やその周りのレトロな町並みには結構人が出てるのに、「水晶山」では全く誰にも遭わなかった。みんな山登りなんて辛いだけでタイパが悪いと思うのかね。大変だったけどあの広葉樹林を見れただけでも、ぼくらには充分価値があったと思えるけどね。
ハイキングと山登りで疲弊した体を宿に戻って露天風呂で癒したが、夜はドラマを見ながら居眠りする状態になっちまったので早めに寝た。
6日はまず温泉街の散策だ。「積善館」を見て、その後「落合通り」という路地にある「柳屋」というレトロなゲーム場でピンボールと射的をやる。ぼくは射的を8発全部外したが、カミさんは3発ほど当てて、孫へのお土産にちょうどよい「紙風船セット」をもらった。
それから全国でも珍しく飲用にもなるというここの温泉を「飲泉所」で飲んでみたり--不味かった--、お土産屋さんでマグカップを買ったりしてから、車で四万川ダムに向かう。ダムによって堰き止められてできた奥四万湖は、理由はちゃんと解明されてないようだが、 「四万ブルー」と呼ばれる独特の青色をしており、この日は曇っていたが、それでも美しい。反対側のダムの下ははるか彼方で、かなり怖い。
ダムから上流側へちょっと行ったところにある展望台に併設された「ラトリエ・ブルー」というカフェで、青いクリームが乗ったカフェラテとボロネーゼを頂き、車で奥四万湖の一番奥にある「しゃくなげの滝」を見に行く。駐車場からすぐのところにあるこの滝は、落差は25mほどで岩肌に沿う形なので豪快さはないものの、なかなか見事だ。
それからダムの下にある公園まで戻ってダムを見上げ、この旅もおしまい。帰りは四万の立ち寄り温泉に入ってから帰ろうかと言っていたのだが、カミさんがどうせ入るなら「積善館」の中の温泉に行こうと主張し、でもここは@2,000円も取る上にいろいろと制約がありうるさいことが書いてあったので辞めて、ならもう帰ろうと、また20kmほどのそれほどキツくはない渋滞を「プロパイロット」で乗り切って、18時前には家に帰り、冷凍シューマイの夕飯にした。
4日と5日は初夏というより夏に近い暑さだったけど、山奥の朝夕は熱い温泉にちょうどいい感じの気温で、たくさんの自然の美しさに出会えた、この時期らしい気持ちのよい旅になりました。
四万温泉でのうちの定宿(ってほど頻繁にはいかないが)は、その水晶山の麓にある佳元です。ババも何回か行ったことがあります。積善館は彼女が子供の頃何度か来たことがあるらしい
投稿情報: タコ兄 | 2024/05/07 23:19
佳元さん、おススメいただいたんですが、ハイシーズンだしちょっと高級で手が出せませんでした。積善館の話はぼくもババから聞いてました
投稿情報: tacovo | 2024/05/08 00:22
ローシーズンで少食プランにしてもらうと15000円しない時もあります。少食でもお腹いっぱいになります。
投稿情報: タコ兄 | 2024/05/08 16:39