7月末のこのブログにちょろっと書いた、MISIAの「星空のライブⅦ」のBD、こいつが今ぼくの毎週末深夜のヘビーローテーションになっている。
「僕はペガサス 君はポラリス」とか「Everything」とかといった定番のバラードも素晴らしいのだけど、ライブの中で特に観てしまうのが、ひとつは「Daisy」と言う曲から「忘れない日々」「逢いたくていま」への展開だな。
ベタと言ってしまうと青山純さんに失礼だけども、昨年12月に亡くなったぼくの尊敬するドラマーの彼を偲び、全員が喪章を付けたこのライブ、この「Daisy」の後にMISIAのMCがあって、本当はこのライブをツインドラムでやる予定だったと、彼の死を悼む言葉の後、涙を流して歌われる「忘れない日々」、ピアノとベースとギターとストリングスだけのUnplugedのバックに、コーラスだけ乗せたこのアレンジが、いいんだよね。
今回のツアーのコーラス隊は、Hana Spring、澤田かおり、Lynという日本人の女性3人なのだけど、この3人は今、日本最強ではないかと言われているらしい。3人とも十分にソロが取れる実力の持ち主で、実際に前の2人は自分のアルバムも出しているのだけど、この3人でのソウルフルなハーモニーは、ホントに日本人がやっているのか疑いたくなる。
実はこの澤田かおりって人は、MISIAのコーラスとして参加する前に、ぼくが珍しくデビューアルバムを買っていた人でね。なんで買ったかって言うと、きっかけは忘れたけど、ホントにたまたまネットをつらつら見てたら引っ掛かって、聴いた曲がすごくよくて、彼女にサイトに行ってアルバム全曲の部分収録ってのをいくつか聴いてみたら、お、なかなかじゃん、ってね。こんな経緯でいきなり名もない新人のアルバムを買ったのは、初めてだったと思う。
うちのカミさんは女性ボーカルには結構厳しいんだけども、声量があって、素直に声が出てて、音程が確かな人は好きみたいで、洋楽で言うとDionnne Warwick、日本ではMISIAみたいな感じなんだけど、澤田かおりのこのアルバムは、彼女にとっては誰とも知らないど新人だろうに、カーナビに入っている奴を割と好んで聴いていたようだ。珍しいことだ。
澤田かおりはバークリー音楽院ボーカル科の卒業生で、日本人女性でバークリーを出て実際にミュージシャンとして活躍しているのは、あの上原ひろみと彼女だけじゃないかな?その「PRISM」というアルバムを2012年の夏に出したすぐ後に、MISIAのツアーにバックコーラス-アルト担当として参加。「僕はペガサス 君はポラリス」を収録したMISIAのアルバム「New Morning」の初回盤についていたDVDで、実は澤田かおりは「僕は・・」のピアノを弾いていたんだよね。全然気づかなかった。
曲も提供していて、上記のMISIAのMCの前にやった「Daisy」、この曲は、ライブでも彼女がピアノを弾いている。この曲、今回初めて歌詞をちゃんと聴いたんだけど、ヤバいよこれ。娘が親への思いを歌った歌詞なんだよね。「あなたのようになりたい」ってことは相手は母親なんだろうけど、こういうのは効くんですよ。年頃の娘のいる父親としては。「たくさんのドラマが刻まれたしわ」、そんなこと言われたらいろいろ思い出しちゃうんです。この21年間のいろんな出来事をね。今日のところは書かないけど。
そしてこのライブで、間違いなくベストトラックと言えるのが、アンコールの15分に及ぶ大作、「The Glory Day」。この曲はマキシシングルとベスト盤にしか収録されていなかったので、ぼくは聴いたことがなかったんだけども、日本人がこれだけハイクォリティなゴスペルを演奏できるってことを、本当に誇らしく思える名曲だ。
この曲でもゴスペルとしての雰囲気をもっとも濃厚に盛り上げているのが、この3人のコーラス隊だ。途中でMISIAの合図とともに、全員で全開の声で白玉(全音符とかのことね)で2小節引っ張るのを2回やるんだけど、ここなんて歌詞がどうのは関係なく、そのインパクトなのかノリなのかになんだか圧倒されて、涙が出そうになる。
コーラス隊のソプラノを担当するHana Springも、6月にファーストアルバムを発売している。いいのよねこれも。Jazzyなソウルミュージックで、何も言わずこれを聴かせたら、カミさんはMISIAの曲を他の人が歌ってるのかと思った、って、全然違う雰囲気なんだけどね。不思議だね。
「The Glory Day」では途中で、コーラスの3人がそれぞれにソロを取るところがあって、澤田かおり、Hana、Lynの順に超ソウルフルなパフォーマンスを見せるんだけども、その中で低音担当ながら、かなりのハイトーンまで出し切るLynさん、この人はまだアルバムは出してない模様。出してくれたら買うんだけどなぁ。珍しいバックコーラス全員制覇。期待してまっせ。
でもこのライブ、MISIA自身はもしかしたら少し調子が悪かったのかもしれないな。バックが消えてボーカルだけになる場面がすごく多いからかもしれないけど、いつもならアカペラでも絶対にはずさない音程が、微妙にずれることがあるんだよね。
まぁでもそれでも、全体としてはクォリティ高くまとめていくところが、さすがプロフェッショナル。さすがデビュー15周年。今回は一時参加していたホーンセクションはなく、バンドと、30人ほどのストリングス・オーケストラがバックなのだけど、演奏のクォリティーは、これはもう完璧!って感じだからね。やっぱプロはすごいっす。
初回限定盤はもうプレミアがついちゃってるらしいけど、通常版は普通に売ってますからね。これは買う価値あると思いまっせ。冒頭写真のリンクからどうぞ。
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