先週ちょっと書いた車のことだけど、今日契約してきた。我が家としては5台目となるマツダの、「アクセラ」のディーゼルエンジンモデル、XDというグレードの車だ。
今乗っているプレマシーは、3列シート7人乗りで、使い勝手はとてもよいのだけど、その前のMPVよりはだいぶマシとはいえ、街中で大体8.5Km/lくらいの燃費と言うのは、このところエコを目指している我が家としては忸怩たるものがあり、今度は燃費の良い車、そして去年娘が追突事故を起こしたのだけど、そういうことが防げる安全装備の整った車、ということで、もうマツダでは買う車がないかなぁと思ってたのね。
ところが去年の秋、マツダが、トヨタのOEMとはいえハイブリッドの車を発売したという。調べてみると、本家プリウス同等の燃費で、しかも価格は安く、サスペンションとかはよりよくなっているという。こりゃ乗ってみなきゃということで、ディーラーの1日試乗ってのを利用して、9月の最後の日曜日に、カミさんと埼玉中西部の奥武蔵グリーンラインと呼ばれる山道を走ってきた。
そしたらね、いいのよこれが。燃費はもちろん、走り始めのモーター駆動からエンジンが始動してもほとんどわからないくらいの静粛性、登り坂でのパワーも申し分ないし、乗り心地はぬるっとした感じで心地よい。プリウスは広島と九州に旅行に行った時にレンタカーで乗ったことがあるけど、その時の印象よりはかなり進化した感じ。
セダンのタイプしかなくて、バッテリーをトランクの前に積んでいるので、トランクが狭く後席からのスルーもできないという欠点があるのだけど、実際試してみると中型・大型のキャリーバッグ2つずつを載せることはできる。しかもセダンはテールのデザインがカッコいいのよね。
で、7人乗りにこだわるかってのをカミさんと協議したのだけど、今のプレマシーでも3列で乗ったことは多分6年半で10回くらいしかなく、かつもう子供たちも大人になって、ファミリーカーとしての役割は、子供たちが買う車が目指すべきことだよねと。両親を乗せることがあるとしても、6人以上になるなら2台出せばいいことだよねと。なら我々は、車としてのカッコよさやドライバビリティを求めてもよいはずだよねと。
まぁだけど、マツダのイチオシは自社開発のSkyactive-Dというディーゼルエンジンのモデル。こいつはハッチバックしかなく、トランクが大きいのはよいものの、テールのデザインはぼく的にはセダンよりちょっと落ちる感じがあるのだけど、まぁ乗ってみるかと、先週日曜に、今度は秩父からその北の神流川の谷へ、関東からアルプスまで見渡せる絶景の、城峯山という標高1,000mほどの山に登って降りる山道を走ってきたのね。
そしたらね、もう惚れてまうやろ、っていう走りなんですよこれが。そもそもディーゼルってのは、低回転で大トルクを出せるのが特徴なんだけど、この2.2lのSkyactive-Dは、4lのガソリンエンジン車に匹敵するトルクを叩き出し、しかもディーゼルの弱点だった高回転まで引っ張った時のトルクダウンがほとんどない。もう山道の運転が超楽しいのですよ。あと高速での合流の時とか、とにかく走りだしてすぐの1,500~2,000回転くらいの加速で、シートに体が押し付けられる感覚が、素晴らしいのですよ。
これだとMTならなお楽しいだろうと思うのだけど、うちの子供たちはオートマ限定免許だし、カミさんがMTなんてもはや運転できないと思われるので、オートマにするしかない。でもオートマでも十二分に楽しい。久々にドライビングってものの興奮や嬉しさ、「上がる感じ」を思い出させてくれる奴なのね。
モーターはないので、アイドリングストップからブレーキを離すと、それなりの音でエンジンがかかるのだけど、トラックやバスで想像されるようなブルブルガタガタという感じはまったくなく、BOSEのオーディオのAudiopilotという音楽の聴こえをよくする機能の効果もあってか、ほぼ気にならないくらい静か。
しかもマツダレーダークルーズコントロール(MRCC)ってのがいいのよ。普通の定速走行機能に加え、前車との距離を測って、近づくと勝手に速度を落としてくれる。これなら高速では、渋滞しない限り一切足を使わずに楽に運転できる。車線逸脱警告も出してくれるので、万一居眠りしそうになっても安全だ。
見積もりを出してもらったら、ハイブリッドタイプは--この情報はホントはまだオフレコなのだけど--今はつけられない安全装備も近々つけられるようになるのだけども、MRCCだけは設定がなく、値段は上がって、しかもOEMなので値引はしづらいってことで、ディーゼルのXDというグレードを、長年の付き合いでがんばって引いてくれた値段と、ほとんど変わらない。
う~ん・・・、ってことで、ディーゼル車を買う意味ってのを考えてみた。
ディーゼル車って、ぼくらが学生の頃は乗用車でもけっこう走っていて、シェア5%越えの時期もあったのだけど、その後、関東4都県、関西2府県が2003年10月ごろから順次施行したディーゼル車規制条例と、石原前都知事がペットボトルでPM(粒子状物質・PM2.5のPMね)の酷さを示したパフォーマンスなどで、一気にイメージが悪くなってしまった。
これらの条例は、元々「ディーゼルが全部ダメ」ではなく、あくまで「汚いディーゼルがダメ」ってことなのだけど、2002年には乗用車のディーゼルシェアは0.1%まで落ち込んだ。その後このマツダのSkyactiveのがんばりで、最近は回復してきているのだけど、2013年が76,000台で急伸(対前年1.9倍)しているとはいえ、まだまだ軽を除いたシェアで2.3%に留まっている。
現在日本のメーカーで作っているのは、日産・三菱・マツダという、マイナーと言ってよい3社のみ。だけど今は、「ポスト新長期規制」っていう、90年代に比べてNOxは84%減、スス(PM)は98%減という厳しい規制があるので、排気のきれいさはガソリンエンジン同等となっており、この規制をクリアしたものは「クリーンディーゼル」と呼ばれている。最近の新しいバスやトラックは、後ろについても黒煙やにおいはなくなってることに気付いてますか?
ディーゼルは高速だとガソリンエンジンよりも燃費がよく、ハイブリッドも高速ではエンジンが回るので、燃費は逆転するのだけど、普通の街中でストップ&ゴーを繰り返す時は、やはりハイブリッドが有利だ。「みんカラ」というユーザー投稿サイトで調べてみると、この同じアクセラの、ガソリン・ハイブリッド・ディーゼルの3タイプの実測燃費の平均は、リッターあたり、それぞれ13.0km・21.1km・15.9Kmだ。
ただ、軽油はガソリンよりも20%弱安いので、それで補正し、燃料コストで比較すると、ガソリンエンジンよりは34%ほど安い。だけどハイブリッドよりはやはり8%ほど高いということになる。
実は最近発売されたマツダ「DEMIO」に積まれた1.5lのSkyactive-Dでは、トルクとかは2.2lに比べて落ちはするものの燃費がだいぶ改善されたため、現在燃費No1のホンダ「FIT」ハイブリッドとの比較記事を見ると、燃料コストはほぼ同じで、後席の広さとかはFITの方が上だけど、走りはDEMIOの方が上、という評価だった。そうだろね。
ではCO2排出量は?で比べてみる。Wikipediaに載っている「総合効率とGHG排出の分析報告書-日本自動車研究所」のデータが、2010年当時の平均的な燃費をベースにしているようなので、「みんカラ」の投稿のアクセラの燃費実績で補正し推測すると・・・
容積当たり発生量は、軽油はガソリンより10%多い。だが燃費はディーゼルの方がよいので、走行時のCO2排出量は、距離当たりだとガソリンエンジンよりは10%程度少ない。だがハイブリッドと比べると、やはり32%ほど多い。ハイブリッドは製造時・廃棄時に発生するCO2量がかなり多いと言われるので、その分は多少差引できるのだけど、それでもこの差は埋まらない。
ところが、いわゆるエコカー減税とは別に、「クリーンエネルギー自動車等導入費補助金」ってのがあるんだけど、こいつはクリーンディーゼル車には出るが、普通のハイブリッド車には出ない。なんで?って思うでしょ?
軽油とガソリンは、原油を蒸留して精製する過程で、順番に自然とできてしまう。ところが日本では上記の通り、ガソリンの消費率の方が圧倒的に高いので、今は原油で輸入して、できた軽油のうち12%をわざわざ輸出したり、「二次精製」を行って他の油種からガソリンを作ったりしている。
この二次精製の過程で、実はCO2を余計に排出しており、精製時のCO2排出量を均すと、ガソリンの方が軽油よりも11%ほど多くなる。もちろんこれを加えても、ハイブリッドとの差は埋められないのだけど、ディーゼルにシフトすると、ガソリン消費量が減って軽油の輸出もなくなり、国の経済合理性は相当にアップし、CO2排出量はダウンすると。ちょっと前のデータだけど、乗用車の10%程度がディーゼル車になるとちょうどバランスが取れ、CO2排出量が170万トン削減できるそうで。
つまり、ハイブリッドであってもガソリンエンジンとの組み合わせである限り、これには貢献できないわけで、ディーゼル比率を増やすことで、ガソリン車のトータルCO2排出量を減らすことにもつながるってことだ。ってのもあって、補助金はクリーンディーゼルにだけ出てるらしいんだよね。ここまで含めて考えると、エコ的、社会貢献的にはディーゼル車の方が上と言えるかもしれない。
なのでホントはディーゼルのハイブリッド車が社会貢献的にはNo1なのだけど、乗用車では技術的になかなか難しいらしく、現状、乗用車のディーゼルハイブリッドは、海外ではプジョーとシトロエンが出している--但し機構的にはやや「なんちゃって」的--らしいが、日本メーカーではマツダが2016年に発売すると読売新聞に載ったのと、三菱が次期パジェロに搭載すると噂されている以外にない。
てことで、一応ディーゼルを買う意味ってのはそれなりに裏付けが取れたってことでね。まぁでも結局は、我が家の、人様と同じであることをなるべく避ける行き方が、これまで同様、マツダと合ってるってことだよね。だって今や日本の道路を走ってるプリウスの数とか、ホンダは独自機構だけども、プリウス以外でも同じTSRⅡという機構を積んだハイブリッドの多いこと。それに組するのはちょっとなぁ、ってのもあってね。
王道ではなく、サブカルとは言わないまでも、独自のそれなりに筋の通った道を行く。いや、マツダはそういう道を行かざるを得なかったということも言えるのかもしれないけども、そういう行き方が、いい感じに我が家の志向に合ってるんだよね。殊に今のディーラーおよび担当営業マンは、もう20年以上の付き合いで、ツーカーだしサービスレベルはかなり高く、離れ難いしね。
というわけで、長くなりましたがアクセラXDの赤--これがまたいい色なのよ--を発注しました。納車は来月末くらいになるそうでございます。楽しみだなぁ。
しかし阪神強いねぇ。ポストシーズン7試合負けなしだよ。まぁこのままは行けないだろうけどね。
うーむ、うちはアクセラ買いにくくなったなあ
投稿情報: タコ兄 | 2014/10/27 22:53
ハイブリッドもいいよ。プリウスよりはだいぶ進化してると思うけど。
投稿情報: tacovo | 2014/10/27 22:55
エライッ!
投稿情報: Yellow松井 | 2014/10/27 23:00
恐縮です
投稿情報: tacovo | 2014/10/28 00:25