このタイトル、水曜日の日経1面の真ん中に載っていたコラムのタイトルそのものなんだけど、ホントその通りだと思うので、敢えてそのまま引用してみた。
火曜日の夕方に出された緊急事態宣言について、遅きに失しただの、強制力を伴わないので効果が疑わしいだの、国内外の報道でいろいろ言われているけど、そもそも外出したら罰金だとか、ドローンで監視するとか、そんなことができる規定が生きていること自体、民主的ではないよね。
戦勝国では昔からのその手のことが可能な法律が残っていて、敗戦国日本とは違うということなのかもしれないけど、国民の自由の度合いが高いと言うことは、それだけ1人1人の意識の高さが必要とされてくるってことで、日本の民度の高さ、民主主義社会の強さが試されていると。
「2020年4月7日。緊急事態宣言が出されたこの日が、日本がコロナ危機に打ち勝った契機として歴史に刻まれることを望みたい。」と結ばれたこの記事は、2面の「緩やかな制限で収束させたい」と題された社説とともに、一流紙の見識の高さを見事に示していると思う。
それなのにTVで街頭インタビューとかを見てると、「仕事が営業だから在宅勤務にできない」とか「会社から在宅勤務するようにという指示は出ていない」とか、職種によってある程度仕方ないってのはわかるけども、まだまだ個人としても法人としても、意識が低い社会市民が多いことに驚かされる。営業なんてどっちかって言うとリモートにしやすいでしょ。客先からも来るなって言われるはずだし。
もちろん新橋駅前とかでのインタビューなので、「出て来ざるを得ない(と思い込んでいる、も含めて)人」に訊いているから、どれだけの人が家籠りを守っているかは、これだけではわからない。日経とTV東京が3月末に行った調査では、外出を控えている人の割合は2月→3月で43%→83%と増えていると言うデータもあるので、多くの人がまっとうな判断をしているのだとは思う。
だけどTVを中心としたマスコミ--殊に民放--って、どうも斜に構えた伝え方が多いよね。前にも書いたけど、政府の対応が遅いとか悪いとか、そういう意見を言う評論家が多く、またそういう意見の方が、不安でたまらず、それを誰かのせいにしたい人たちには受けがいいのだろうね。でも、確かに批判すべき点はないとは言えないとは思うけど、ここまで広まっちゃったのは、行政のせいじゃなくて、明らかに1人1人の自覚のなさのせいでしょう。
自覚がないのは行政がちゃんと伝えていないからなの?これだけTVとかで毎日報道されてるのに?あとその行政の方針に従って、ギリギリのところで体制を保っている医療機関関連の皆さん、保健所などの公共機関職員の皆さん、学童や幼児の保育施設関係の皆さん、物流量の増加に対処している運輸業の皆さんなど、この世情を支えて自らの危険を顧みず頑張っている皆さんに対して、いっしょくたに文句言ってるように聞こえちゃうのも気持ち悪い。
あと買いだめの問題ね。これも月曜日の日経1面に載ってたけど、「トイレットペーパーがなくなるかも」というデマ自体はほとんどリツイートはされていないと。「トイレットペーパーがなくなるってのはデマですよ」という"親切心"に根差したツイートが圧倒的に拡散して、ほとんどの人がそれを見て、これはトイレットペーパーがなくなるかも、と店頭に走ったと言うことらしい。
別の調査によれば、買いだめをした人の93%が、「トイレットペーパーの供給力は十分あることを知っていた」、つまり確信犯だと。これも前に書いたけど、「自分の家族のためには正義なんだ」という思いで、こういうことをしてしまう人たち。これぞ民度の低さと言わざるを得ない。「買いだめを実際にした」割合は、同調査によればコロナ問題後には減った、って言うデータが本当だとしたら、多少は安心できるものの。ただ一方で買いだめしたくてもできなかった、って人も増えてるから、どう見ればいいのか難しいところだけども。
それと「デマですよ」リツイートの方の問題もね。こっちは知ってて買いだめした確信犯よりは弁護の余地はあるのかもしれないけども、月曜日の日経記事によると、SNSの普及などで、SARSが流行った2003年に較べると、1度に情報を送れる平均人数と、1人が1日に受け取る情報量等を掛け合わせた「情報伝達力」は約70倍になっていると。
親切心が仇になって混乱を巻き起こすということ、この件以外でも、「これはいい情報だ」という一瞬の思い込みで、チェーンメールの類を鵜呑みにしてTwitterのフォロワーやFBの友達数十人~数千人にシェアしてしまうことの危険性を、発信者となる者の責任としてもっと強く意識しないといけないってことだよね。ぼくは他人が意図をもって発信した情報のリツイートやシェア等は、これまでも基本的にしたことないけど、今後も一切しないようにしようと、この記事を読んで強く思いましたよ。
それから帰省問題ね。先々週末まで宮古島に行く気満々だったのに偉そうなことは言えないし、個人ごとそれぞれにいろんな事情があるだろうから一概に言うのは難しいのだけど、大学の寮が閉鎖されちゃったとかまではまぁやむを得ない--てか閉鎖を判断する大学ってどうなのよ?なんだけど--として、オンライン授業になって、外出自粛で友達とも遊べないし、なら実家に帰ろう、ってのは、ちょっとダメなんじゃん?
ぼくは実家が地方にあったことはないし、息子が高校時代に同じ埼玉県内だけど離れており、今も関東圏内で少し遠くにいるくらいだから、そういう状況に置かれた関係者の気持ちをちゃんとは理解できないとは思うけども、親の方が、いくら子供がかわいくても、「帰ってくるな」と言うだけの見識と自制心を持っててほしいよね。地方の方が高齢化率は高いので、仮に自分の家に老人はいなかったとしても、帰省しちゃったら当然に危険度は増すわけで。
あとはこれも先週書いたDVの問題か。日本ではまだ顕在化してないけど、フランスやイギリスでは、特に父親から子供に対するDVが問題になっているらしい。なんで家から出られないだけでそんな暴力的になるほどストレス溜めるかね。外出禁止と必要な外出以外自粛との違いが大きいのかな?
子供がチビだってこと?これも3月下旬に国内で行った調査があって、小学生以下の子供と同居の場合、そうでない人が約48%のところ、約66%ができれば外出したいって答えたんだって。ま、そりゃそうか。くだらないことで家族との言い争いが増えた、っていう意見もあるから、DVの件も早晩、日本でも問題になるのかな。ウチの斜向いの家の親子は、よく前の路地でサッカーの練習をしてるけど、そんなんとか、なんかやりようがあるように思うんだけどねぇ。
ただ、DVから「コロナ離婚」の流れの一方で、「子供の成長を間近で見られて幸せ」「仕事をする姿に惚れ直した」といったツイートも増えているそうだ。ぜひとも「コロナベビー」に繋げて、人口減少を食い止めて欲しいものだ。
さて、現在の日本の感染者数の増加度合は、一時よりもかなり急になっているけれども、それでも一時のイタリアやスペイン、ニューヨークに較べればその増え方は抑えられていて、安倍さんが盛んに言うように、「オーバーシュート」という状況はギリギリ迎えていない。それは検査数が追い付いていないからだろうと批判する声もあるが、実際に亡くなっている人の数を見れば、間違った認識だとは言えない。
この日本の緩い規制で、もし「3密」が自制でき、オーバーシュートを回避できたら、それは世界的に見ても超画期的な疫病回避の事例になるのだと言う。わが日本は、そのイバラの道を行っている。ぜひともこれを成功させて、日本の国民性の素晴らしさと民度の高さを、世界に誇る結果を迎えたいものだ。
当社でも今週月曜日についに1名、感染者が出た。本人は3月27日から出社しておらず、現在は症状も治まっているそうだが、会社では保健所の指示に従い濃厚接触者がいなかったことを確認し、念のため濃厚接触者ではないが2週間以内に近くの席にいた人やその人と打合せをした人すべてを自宅待機にし、その人のいたフロアや会議室の他、これも保健所の指示を越えて共用スペースや来客用会議室などもすべて消毒を行った。
ぼくは通っていたビルも違うし、その部門--個人情報保護のため部門名までしか開示されていない--の人間ともミーティング等をしていない--うちの部署の部下も全員--ので、大丈夫だとは思うけど、ひしひしと身近にまで迫ってきてる感じはするよね。
今週は35年のサラリーマン人生で初の全日リモートワークだったし、少なくともGW明けまではこの体制が続くと思われる。各種定例MTGはリモートでもおおむねできることがわかったが、IT企業だとは言え、特に若手ではない役員や社外役員が参加される会議は、まだうまくできるのか少し不安がある。
でもまぁここはなんとかして、耐えていくしかない。新ドラマも軒並みスタートが延期されちゃうし、いつまで続くのかわからないのも難しいところではあるけども、みんな、引き締めるべきところは引き締めた上で、気持ちをゆったり持って、がんばって行きましょうね。
※冒頭のグラフは、日経電子版の会員限定ページから引用しました。問題ありましたらご連絡ください。
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