雑煮ってやつも、そういうものってだんだん減ってきているのだろうけど、日本では家庭ごとあるいは地域ごとに見事に異なる、伝統的文化の一つだよね。
うちの雑煮は、味噌仕立てで大根と里芋とするめを煮込んだ汁に、餅と冊に切ったぶりの切り身とほうれんそうと出汁をとったするめを入れて、かつお節をかけていただく。この濃いめの一品が最高にうまい。
子供のころは、この味がなかなかわからなくて、母が正月2日になると作ってくれた、母の実家の東京風、鶏肉とすまし汁と焼餅の雑煮のほうを心待ちにしたりしていたりしたんだけど、今やこの雑煮がないとぼくにとっては正月にならないほどなので、カミさんに母からこれを受け継いでもらった。
このするめの巻いたのは、げその部分を体部分で強く巻き込んで、タコ糸でぐるぐるまきにするんだけど、これがなかなか力がいるので、毎年の大晦日のぼくの担当業務になっている。
ぶりを「冊に切る」っていうのは、調べると「短冊状に切る」ということらしいんだけど、通常のぶりの切り身とは切る方向(長い辺と短い辺)が違うらしく、関東のスーパーなんかだと、普通にパックになったやつではだめで、わざわざ作ってもらわないといけない。最近の若い魚屋さん(魚コーナー担当の人)は、「冊に切る」と言っても通じないことが多く、我が家のそばのマルエツのベテラン担当者には、毎年世話になっている。
うちの祖先は、岡山の勝山というところで庄屋(地元では"蔵元"と言うらしい)をしていたので、うちの雑煮は、中国地方のものと思いきや、実は全然違っているらしい。ぼくの祖父に当たる人--早くに亡くなったのでぼくは会ったことがないのだけど--のところに、最初の奥様--つまりぼくの実の祖母--が若くして亡くなった後に、後妻に来てくれた祖母--つまりこの人がぼくにとっては記憶に残るおばあちゃん--が、京都から嫁いできたのだけど、このおばあちゃんの実家仕様の雑煮なのだそうで。
ただしこの元の仕様では、現在のものにさらにニボシを入れて、コテコテの出汁を取ったものだったようだ。あまりのこってりさに、うちの母がこのニボシの工程は省くことにしたらしい。ニボシ入りバージョンも食べてみたかったなぁ。
つまりうちの祖父は、我が家伝統の雑煮--が存在したのか、どんなものだったのかぼくは知らないのだけど--にまったくこだわることなく、このおいしい京都風味噌仕立てコテコテ雑煮にあっさり乗り換えたのだろう。そこに何がしかのドラマがあったのか、それはぼくは聞いたことがない。
この現在の我が家の雑煮も、兄は言わしてもらえば"お子ちゃまの味覚"で、あまり好きじゃないので、これでうちの息子がどうするか、将来の嫁に教え込むまでにこの雑煮にこだわるかは不明なのだけど、それ次第では我が家の系統からは消えてしまうかもしれない。そう言えば父の末の弟、つまりぼくの叔父の家では作ってるって言ってたな。でもあそこは娘2人だからなぁ。
最近は、どのくらい気に入ってか知らないけど、子供達もこの雑煮をしっかり食べるようになったので、今年は残念ながら3が日中日の今日で材料が尽きてしまった。ということからみると、息子のところでは作り続けるのかもしれないな。ただ、こだわりのポイントがはっきりしていて、こだわりのないことはほんとにどうでもいい奴なので、どうなることやらねぇ。
※本日(1/3)確認したところ、うちの雑煮はやはり岡山の勝山在住以来の伝統のものだそうで、京都のものというのは誤りのようです。お詫びして訂正いたします。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
味噌味しかもするめにブリのはいった雑煮しかもこってり系すか食ったことないっす。いろんなのがあるんですねぇ。
うちはシンプルな塩味で鶏肉と柚子入りです。
投稿情報: 主審 | 2008/01/03 21:24