今日は、娘の高校のしつこいほどの各種説明会と、あさってからホームステイで2週間ほどニュージーランドに行くのに何も用意してない娘の服やらパンツやらの買い物とで、すでにヘトヘトになったカミさんを連れて、渋谷のBunkamuraのOrchard Hallで行われたJoe Sample Trioのライブと、地下のThe Musiumであさってまで行われている「ピカソとクレー展」に行ってきた。
買い物からの帰りが少し遅れて、予定していた16:06初の副都心線の渋谷行き急行に乗り遅れたために、東上線準急と山手線を乗り継ぎ、東急本店通りの人混みを急いで泳いで行ったら、開演の17時丁度くらいについて、ギリギリ間に合った。
円高還元プライス6,825円の入場料で行われたこのライブは、かつてCrossOverと言われた音楽ジャンルそのものを作り上げたと言っても過言では ないCrusadersのリーダー、ピアニストのJoe Sampleが、息子であるベーシストNick Sampleと、そして絶対に一度は見たかったスーパーテクニシャンのドラマー、Steve Gaddと組んで、2000年代に入ってから去年も含め2枚のアルバムを出したりして、このところいつも一緒にやっているトリオの、2年ぶりの来日になる。
この3人に加えて、それまでInstlementalしかやらなかったCrusadersが、1979年に突如歌モノである「Street Life」という曲とアルバムを出して大ヒットさせた時に、ほぼ無名だったのをJoe Sampleが起用して一気にスターにした黒人女性ボーカル、Randy Crawford。この人も、このトリオとはここのところいつも一緒に活動しており、今日のライブは最初の5,6曲をInstlementalで、それから彼女が出演して歌モノを、という構成だった。
Steve Gaddという人は、ドラマーなら絶対に知らない者はいない、世界一のテクニックを持ったいわば「神」なんだけど、ぼくは実は生で観るのは初めてだ。学生のころ、少し突っ張る気持ちもあってやっていた音楽活動で、彼がすごいということは重々承知しつつも、自分の下手さ加減を棚に上げ、「いやいや、Gaddってしょせんテクニックだけじゃん」なんて嘯き、それより独特の雰囲気を持った、例えばレゲエドラマーの雄Sly Danberみたいな人の方がカッコいいなんて主張したりして、今にして思えばずいぶん恥を知らなかったもんだと思う。
その後、Steely Danの「Aja」という有名な曲の、後半ほとんど彼のソロと言っても過言ではない演奏をコピーさせられた時に、意地になって6時間くらいかけて譜面に落とし、それをまた何十回も練習したことを思い出す。もちろんおいらごときでは、Gaddの正確なストロークと、走ってるんだけどノリは最高なプレイを再現することなんて、さらさらできなかったけどね。
今日の選曲は4Beatだけでなく、特に後半、Randy Crawfordが出てからは、ソウル系やロックに近いリズムのものも多かったんだけど、Gaddはほとんどの曲をブラシで叩いており、Stickを使ったのは2曲と、1曲の一部だけだった。そういう意味では全体にグランドピアノとウッドベースの響きがよく通る、本物の"Unplugged"な、大人のLive。
ぼくは4Beatってやつが全然できないヘボドラマーなので、ブラシは持ってるけどほとんど使ったことがない。Stickの場合、ドラムヘッドの跳ね返りを利用すれば、ダブル(片手ですばやく連続2度ヘッドを叩くことね)やその延長線上のロールは、わりあい楽にできるのだけど、ブラシってやつはそうはいかない。なにせ叩いても跳ね返ってこないんだから、ダブルだって手首の動きで正確に2度叩くしかない。
だけどさすがだね。Gadd様は。音は小さいんだけど、叩こうとしている音が全部正確に出ていて、耳に聴こえてくる。これは本当にすごいことなんだよ。しかもそれを汗もかかず(遠かったから見えたわけじゃないけど、見た感じ)、涼しい顔でやってのける。う~む。すげえなぁ。しかももう今年で64歳になるんだねぇ。
最後に往年のヒット曲「Street Life」で盛り上げ、アンコールを2曲やって、1時間45分ほどで気持ちの良いLiveは終了。Liveに来ても日頃の疲れで居眠りをすることが多いうちのカミさんも、前半はさておき後半は、ずっと観入っていた。
それから今度は、B1に降りて「ピカソとクレー展」だ。
前に書いたかもしれないけど、ぼくはこのクレーと、もう一人ミロっていう画家が大好きで、防音室にもポスター大のものはないけど、小さな額に入れたものを飾っていたりする。
ピカソやクレーのほかにもいわゆるキュービズムとかシュールリアリズムと言われる画家たちの絵が飾られたこの絵画展は、これまたなかなか楽しかった。
なにせナチスドイツにいろいろと嫌がらせを受けながら、基本的には明るく、楽しい気分にさせるような絵たちをたくさん紡ぎだしてきた、クレーの心意気が嬉しいじゃないですか。
なんか理屈っぽくいろいろ批評もできるんだけど、そんなもんを超越した、原初的な感じ方でいいんだよ、「シュール」ってのは本来そういうことでしょ?って言ってくれてるような、そんなこの2人の画風は、とにかくぼくにとっては大いなる"癒し"だ。
足早に回ったつもりが、結局1時間以上かけてThe Musiumを出てから、ニュージーランドのホームステイ先へのお土産を買い、 東急本店8Fのレストラン街の一店でオムライスとグラタンを食べ、ビックカメラで240V対応の携帯充電器を買うついでに、予定外に娘の高校入学祝にカラー画面の電子辞書を買ったりしながら、11時前に家に戻ってきた。
帰ってくるときに、カミさんと予想して一致した通り、今日買ったものは一応スーツケースに詰めてはあったけど、それ以外は何も準備が進行していない、相変わらずお気楽なわが豚女。昨日はこのスーツケースを買いに、名古屋出張帰りの父は、夜も遅いのに近所のスーパーやらディスカウントショップを4件も駆けずりまわったのよ。
さてさて、明日はいったい何時頃に荷作りが終わるのでしょうか?
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