数字の説得力。考えてみればぼくが会社でやってることって、いかにこれを利用して、自分のやりたいことを通すか、ってことに尽きる気がする。
先週書いたウルトラモバイルPCの選定記事で、Excelの表で価格比較を載せたけど、実はこの数字にはちょっと嘘がある。さてどこでしょう?
・・・・正解は、ポイント値引き。ビックカメラをはじめ各店で行っているポイントサービス。あれって、100円のものを買うと10%の10円分のポイントが付くから、1割引と同じだよね、と思っているそこのあなた、そこには実は落とし穴があるのですよ。
なぜかって?だって、100円に10ポイント付いて、結果110円のものが買えるってことは、つまり110円を100円で買ってるってことでしょ?1割引って言うのは、100円を90円で買えるってことで、だから、その比率はあたりまえだけど0.9。でも110円を100円で買えるってことは、その比率は10/11、つまり0.90909......ってことで、0.9より大きな数字になる。
差額はわずか0.0090909.....つまり、約0.91%の話だけど、分母が仮に1億円だとすれば、約91万円もの差になるわけで、もちろんこの差額で誰かが儲けてるとかそういうことではなく、みんなが1割得したと満足感を得ているなら、それでいいんだけどね。ポイント出す方は、うまいこと考えたよね。
もっとも、別に肩を持つわけではないけど、ビックカメラには2万ポイント以上たまるとこれをSUICAチャージできるという仕組みがある。ポイントで買い物してもポイントは付かないから、上のように10/11って話になるんだけど、SUICAで買えばそれにはやっぱりポイントが付くので、これを繰り返せば実際に0.9に限りなく近づいていくことになる。これは利用しない手はないよね。最初の手続きがちょっと面倒なのがイマイチなんだけどさ。
もう1つよく騙されてる数字が、平均寿命ってやつ。これ、毎年発表している厚生労働省自身が、実は「平均寿命」という言葉は使っていないって知ってました?
男性の平均寿命79.19歳、女性は85.99歳と一般に言い慣わされているけど、これを聞いて、今45歳の女性が、そうか、私の人生は残りあと約41年なんだ、と考えるのは、実は正しくないんだよね。
正しくは「平均余命」、つまり現在の年齢が何歳の人が、平均あと何年生きるかっていう数字を、厚生労働省は発表しているわけで、この表を見れば分かる通り、45歳の女性の平均余命は42.01歳、平均87歳まで生きられるわけです。
いわゆる「平均寿命」っていうのは、0歳児の平均余命のことを言う。新聞とかに発表されるときは、きちっとこの表が掲載されているはずで、その意味をちゃんと認識できていればいいんだけど、なんとなくテレビとかで一言、「平均寿命」って言われちゃうので、それが世の中すべての生きている人の寿命かのように、勘違いさせられてしまう。
考えてみればそりゃそうで、現在45歳ってことは、現在まで死んでいないわけだから、現在までに死ぬ可能性があった分は、既にクリアしてるってことでしょ。その分、平均余命は長いってことになるんですよ。
そういう意味では、いわゆる「人生の折り返し点」っていうのは、「平均寿命」の半分、つまり男性で言うと79.19÷2=39.6歳ではなく、現在年齢と平均余命が同じになる、男性だと40歳をちょっと越えた、40.2歳ほどになるはず。まぁいずれにしてもぼくの年になっちゃえば、もう折り返し点は過ぎてるんですけどね。
数字を提示されると、異様な説得力が生まれる。コンサル屋さんとか、広告代理店とか、ぼく自身も含めて半分他人を騙すのが商売のような人々は、それをいかに上手に利用するかに日々腐心する。会社の中で「ひとり歩き」するモノの代表選手が「数字」だ。数字を覚えてさえいれば、論理的に見えるし、優秀に見える。
だけどそこで数字の意味をきちっと認識してる人が、本当に賢い人なんだよね、実は。数字を疑って、賢く生きたいものです。
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