新譜が出れば--アルバムだけだけど--必ず買うアーティストって何人かいて、日本にしろ海外にしろソウル系の人が多いのだけど、最近はよく初回限定盤ってんでDVD付きのものが多い。このDVD付き限定版を、ぼくは必ず買うことにしている。
だってけっこう長いDVDがついて、たかだか600円とかしか値段変わんないんだから、こりゃおトクでしょ。なんだか音楽業界って、まだ映像をなめてる感じがするんだよね。やっぱ前にも書いたけど、シングルをDVDで出す時代なんじゃないの?確かにリニアPCM音源は欲しいんだけどね。他媒体へのコピーがめんどくさくなっちゃうんでね。
こないだ出た平井堅の「Ken's Bar Ⅱ」なんか、ライブステージまるまる収めたDVDが入ってたし、上原ひろみの「Beyond Standard」についてるDVDなんて、前のアルバムに入ってた曲のライブ演奏で、わずか2曲しか入ってないんだけど、すごいクォリティの高い映像が観られる。
その中で、一昨年出た東京スカパラダイスオーケストラの2枚組のベスト--ぼくはベスト盤は買わない人なのでこれは実は人に借りたのだけど--に、さらに初回限定として3枚目のディスクとしてついてたライブ映像でこれまたクォリティの高いのがあって、なにせこのDVDだけのために編集した映像になってるところが嬉しい。(冒頭の写真がそれだけど、初回限定盤の在庫はないみたいね、残念ながら。)
んでこのなかに「Dear My Sister」って言う曲の映像があって、これがかっこいい。ライブ映像にメンバーや、各国の人々のインタビューがたくさんインサートされるんだけど、最初に「世界が抱える悲しみとは?」、という問いかけに答えていく。
ある人は冷静に答え、ある人は投げやりに返し、そしてある人は激昂する。ある黒人は、「その質問を自分にしていること自体がそうだ!」と、人種差別しかないだろう、という価値観で熱くなり、ある中国人男性は、「そんな質問をするなんて、あんた優しくないね」と怒る。
その中で一人、渋いおっさん(Frank O'Connorって書いてあるけど、あのアイルランドの作家の人なのかな?その辺疎くてよくわからん)が、バーのような場所でグラスを傾けながら答える。「戦争とかドラッグとか失業とか犯罪とかって答えを期待してるのか?そんなことじゃない。そんなものを産み出しているのが他でもない、我々人間であるってことさ」と。
そして次の、最後の質問は「ではあなたにとって喜びとは?」となる。さっきインタビューされた人が、またそれぞれのキャラ丸出しで答えていくんだけど、さっきのFrank O'Connor氏がまたいいこと言うんだな。
「シンパシーの存在だ。やっかいだけどこいつのおかげでやっていける。悲しみを分かち合うことができる」。ちょっとカッコよくない?クサいかな?
なんかこの曲の映像が心に残ってるんだよね。こういう、映画のように長くない映像で、印象的な作品を作れる才能って、プロとして当たり前のことなのかもしれないけど、すごい能力だと思わない?CMにしろPVにしろ。
話は変わるけどこのクール(4月~6月)は、連ドラの主題歌にいい曲が多いね。特にいずれもぼくが観ている木曜10時「Boss」のオープニングテーマと主題歌、SuperFlyの「Alright!」と「My Best of My Life」、そして金曜10時の「スマイル」の主題歌、椎名林檎の「ありあまる富」。
この「ありあまる富」は、こないだCDTVでフルコーラス観たけど、もちろん曲も素晴らしい出来なんだけど、歌詞がすごい!ドラマのテーマに沿ってるんだけど、これがまた完璧に計算しつくされてる。あれ作詞するの、地獄の苦しみだっただろうな。でも最後には椎名林檎にしかできないスーパーオリジナリティの作品になるのがほんとにすごい!なにしろ「富」という言葉に集約するセンス。"壊す"、"妬む"、"盗む"、"嘆く"、"嘘を孕む"なんて後ろ向きなワードを違和感なく歌詞に乗せてしまう感性。いややっぱ、日本の女性ミュージシャンの中でも1,2を争うCleverさというか、ほんと天才だと思います。彼女は。
てことでよくテーマのわからない文章でしたね。つまりまぁ、映像は大事だよ、ってことか?
コメント