台風だ地震だでどうなることかと心配していたが、少なくとも東名牧の原の崩落による通行止めは、今回の旅行にはプラスに作用したようだ。
とにかく行きの中央道が、ほぼ渋滞なしと言うすばらしい状況なのです。
開田高原というのは、南信州の木曾谷から飛騨高山に抜ける国道361号線、通称木曾街道沿いにある標高1000mほどの高原で、映画で有名な野麦峠のちょっと南、確か35年ほど前にNISSANスカイラインのCMかなんかで、「急に木曾御岳が見たくなった」って、
俳優が誰だったか忘れちゃったけど、高速もない時代に東京から一気に御岳のふもとまで来ちゃうやつがあったのを覚えてますか?あの木曾御岳の山麓に広がる、関東方面にはかなりマイナーな場所だ。それが証拠に車のナンバーは地元のほかは愛知、岐阜および関西系が多く、聞く言葉も関西系のイントネーションが多い。
なんでこんなところに来たかというと、今から25年ほど前の秋、大学のバンドサークルの友人TとAの2人と、車でブラっと旅に出て、とりあえず上高地を目指そうと言うことで、当時まだ平日なら一般車が入れた上高地へでかけ、そのあまりに素晴らしい紅葉に、なんで野郎3人でこんなとこ来てるんだっけ?ってなげいたことがあって。
その後これまた当時は一般車が入れた乗鞍スカイラインを登り、香川県出身のTを標高3000mなんて生まれて初めてだと感激させ、その夜は平湯温泉と言うところに飛び込みで泊まり、それから飛騨高山に出、そこから東京方面に向おうと通ったのがここ開田高原でね。
この開田高原まで来る木曾街道は、いくつかのダムとそれによってできたダム湖の裾を回って高度を上げていくんだけど、この周りの紅葉がまた、上高地に勝るとも劣らない大絶景で、その最後に峠を越えたところにあるこの高原が、本当に天国に来たように感じられたんですわ。当時の青臭いセンチメンタリズムの影響もあったとは思うんだけど。
で、そういえばそれ以来、もう1度来ようと誓ったこの場所に、来てなかったなと思い立ったのでした。
んで話を戻すと、ここに来るにはやっぱり順当には中央道を通るわけだけど、この道がまた、渋滞するととんでもないじゃない?上野原あたりは車線を増やしてくれたんでネックではなくなったけど、今度は相模原がネックになって、下手すると高井戸までつながる大渋滞になってしまう。
NEXCOのサイトにある渋滞予測でも、昨日今日の下り方向はかなり大変なことになると予測されていた。我が家は最寄のインターは外環の和光インターなんだけど、外環を走ると無駄に500円費やす羽目になるので、実際には首都高の高島平か、関越の所沢かどちらかから入ることが多い。
東名を使うときは、今でも用賀まで環八を走っていくんだけど、中央道は中央環状がつながったので、中央道が渋滞してないなら首都高経由、渋滞していたら、関越から圏央道を通って八王子ジャンクションから中央道に入ると言う手があって、どっちにしようか最後まで迷っていた。
んで11日の地震でしょ?東名の下りは13日の0時に開通するって話だったけど、一部のマスコミでは大事をとって中央道に迂回しろとか、アホなことを言っている。これでまた経路選択が難易度を増す。
ところが昨日のニュースを見ていたら、東名・中央はほとんど渋滞しなかったと言う。一方で関越や東北道は60キロ以上の大渋滞。宇都宮かどこかのSAでインタビューした映像を見てたら、西に行くつもりだったけど、地震と言われて急遽行き先を変えたと言っている人が結構いる。
子供が生まれて以降、そんな感覚はすっかり薄れていたけど、確かに行き先とか泊まる場所とかを、極めてラフにしか決めずに出かけるってこともあったよね。昔は。
結局朝起きて交通情報サイトを確認し、関越所沢から圏央道経由で来たんだけど、関越鶴ヶ島ジャンクション手前の数キロと、中央道相模原付近の数キロ以外、道が滞ることはまったくなかった。
東名が危ないってだけで中央道まで空くのはどういうこと?ってのを、スイスイ流れる中央道で家族で議論したのだけど、1つにはそれがあるんだろうと。つまり結婚年齢が上がっているとか、出生率の低下とかで、そういう、急遽行き先を変えることが可能な「浮動票型」旅行者の比率が増えているのだろうと。
それともう1つは、これはカミさんは違うんジャン?って言ってたんだけど、「西方向が危険」っていうだけで、中央道も含めて、とにかく西方向は全部とりやめ、っていう、極めてアバウトな地理感覚と、多少の地理感覚はあったとしても、静岡の隣だから山梨や長野も危険って言う、これまた一種の迷信によるアバウトな危機回避。そうとしか考えられないんだよね。実際中央道を走ろうとしてた人の何割が取りやめたのかはわからないんだけどさ。
しかしマスコミって、5月の連休のときも思ったけど、お盆帰省ラッシュの渋滞とかそういうニュースに対しては、極めて予定調和的報道をしたがるよね。ETC割引で1000円の制度ができたから、交通量は増えるはずだ、と言う。多少は事実と違ってもそういうトーンで伝えちゃえみたいな。つかこうへい的世界と言うか。実際には--統計上の数字は知らないけど実感としては--今年の連休は去年よりも明らかに車の量は少なかったと思う。
昨日の下り線も、混んでいたと言いたい姿勢が見え見えだったけど、さすがにあそこまで混んでないとそうも言えず、というジレンマが垣間見えて、なかなか面白かった。ぼく自身はニュース報道という狭義のマスコミの立場にいたことはないけど、ああいうのってもし自分がその立場になったら、戒めなきゃなと思う。
ということで、既にかなり長くなってますが、朝8時前に家を出て、11時半ごろには開田高原に着いていた。
伊那谷にある伊那インターから、開田高原の入り口である木曾谷までは、木曽駒ヶ岳を擁する大山脈を越えねばならず、25年前に行ったときは、細くうねうねのワインディング路を相当な距離走破する必要があったのだけど、今は権兵衛トンネルと言うほぼ直線でこの山脈を貫くトンネルができており、伊那インターから開田高原までの40キロほどの道のりは、約1時間で走りぬけることができる。しかも無料だ。
そして着いた開田高原は...宿のご主人によるとついこないだまでずっと天気が悪く、7月末に来た人なんてかわいそうだったそうだけど、今日はもうほぼ完全なピーカンで、日差しは強いけど気温は23,4度という、超快適な陽気。空の青がとにかく深く、この夏初めてちゃんとした夏空を見た。
木曾御岳は残念ながら雲に隠れていたので、そばを食べてから、御岳ロープウェイとかは明日行くことにして、今日はマレットゴルフと、そのそばにある尾ノ島の滝という滝まで数100メートルのハイキングをすることにした。
他人に話すと「その歳の男の子で珍しいね」と言われるんだけど、今回はもうすぐ21になる息子も来ている。というか、本人に空いてる日程を聞いて、ここだけだと言うので、じゃあそこで行こうということにしたのでね。それでも行きたくないってケースも多いのかもしれないけど、そこは我が家は昔から小旅行の習慣が身についているのと、まぁケンカもするけど基本的に仲はよいですから。
今回の宿「Appear(アピア)」については、ご主人がなかなか話し好きで、けっこう印象に残る宿になりそうだ。でも長くなるからまた明日にでも書きますね。
コメント