久しぶりだなぁ。披露宴なんて。ひところは年に4回とか呼ばれた時期もあったけど、さすがにそうやって片付いていってしまえば、まぁそりゃ別れたなんてこともあるけど、直属部下が結婚式をすることなんてなくなってくるから、今日は多分3年ぶりぐらいだ。
というわけで、前の会社の時の部下、というか、会社を辞めたときで言えば編集長とライターという関係だった通称チャーリー36歳が結婚するって言うんで、その披露宴に呼ばれて行ってきた。
今日の会場は、新宿のはずれ、駅で言うと大江戸線の若松河田から徒歩1分という場所にある、旧小笠原伯爵邸というところだった。ここには今回初めて行ったんだけど、2002年からレストランとして営業しているそうで、昭和2年に建てられたという当時としては画期的だったであろうスペイン風の洋館で、ものすごくおしゃれな建物だ。
小笠原家と言えば、ぼくの知識が間違っていなければ、幕末の徳川家御三卿の1つで、第二次長州征伐のときに、今の北九州市の小倉城主だった老中の小笠原長行という人が、高杉晋作や坂本龍馬が参加した渡海作戦にコテンパンに翻弄され、戦力的には負けるはずがなかったのに、早々に逃げ出してしまったというんで有名(?)な、あの小笠原家だよね?
この洋館を建てた第30代当主が小笠原長幹(ながよし)伯爵と言うらしいから、同じ「長」の字があるんで、たぶんそうだろう。
部屋や廊下に囲まれた真ん中にパティオがあり、ここから屋上に上がれるようになっている。そのところどころにある造作物や細かな飾りが、ガウディを思わせるような、カタロニア地方を髣髴とさせる雰囲気を持っていて、そこに陽気なギターとアコーディオンの演奏が入ると、いまいちの天気ではあったけれども、十分南欧の風にあたった気分にさせてくれる。
このおしゃれな場所で始まった披露宴は、ぼくらのころの画一的なやり方ではなく、立食で、何か出し物がある時はメインの部屋に集まるけど、その他は庭や屋上に出たり、あっちこっちの部屋でそれぞれに旧交を暖めあったりする形式で、その中をレストランのスタッフが、一口サイズにしたり小さなお皿に載せた料理を盆に載せて、みんなの間を縫って歩き、勧めてくれる。
チャーリーと言う男は、もともと昔、前の会社に契約社員として入ってきた。この契約社員制度っていうのが、3年間でいろいろ学んでもらって独立支援するって言う、内部運用上はいろいろな課題を抱えつつも、もう10年くらい運用されている制度で、彼は確かその第1期生だったんじゃないかと思う。
そしてその後独立してからも、キーマンズネットと言うそのサイトの優秀なライターとしてがんばってもらっており、ぼくがそのキーマンズネットに5年ぶりくらいで戻ったときには、もうすっかり欠かすことのできない重鎮となっていた。
前の会社を辞めてからも、彼とは飲みに行ったり、わが家に他の同僚と3人で来て徹マンに興じたりしていた。とにかく沈黙が怖い性格で、意味があろうがなかろうが、のべつまくなしにしゃべっている。
家に来たときは特に、あとの2人が技術屋さんで比較的おとなし目だったために、家族と一緒に夕食にしたときなどは、うちの息子や娘にいろいろ人生を語ったり、一方でカミさんに気を使ってお愛想を言ったりと、とても忙しそうだった。なんかトレンディドラマ(って今言わないのか?)に出てくるサブキャラのような、ある意味絵に書いたような奴だ。
一方、嫁になった旧姓A、とみんなから名字で呼ばれていたこの娘は、そのキーマンズネットの営業の協力会社としてがんばってくれていた会社の社員で、まぁかわいい顔をしてるくせに強気でずばずばモノを言い、明るくてサバサバした、前の会社の女子たちと極めて親和性の高い女の子だ。
ぼくがキーマンズに戻ってきて辞めるまでは1年半しかなかったんだけど、その間、彼女とは、サシで飲んだりしたことはないものの、何度かあった飲み会の席では、恋バナを聞いたり、妹分宣言をさせてもらったりして、ぼく的には一方的にファンでいさせてもらっていた。
会社を辞めてからは彼女と直接話をすることはほぼなく、その半年ほど前に確か前の彼氏と別れたと聞いていたので、いい男がいたら紹介してやらなきゃなぁとは思っていたものの、とはいえ女子の紹介して欲しい軍には列ができるほど人がいて、しかも今27歳の彼女よりは、年齢的にも性格的にもテンパっている奴らが多かったのもあって(つってもそんなに紹介なんておいそれとできるもんじゃないんだけど)、「健康」の去年の夏のライブの時に声を掛けて以来、ちょっと疎遠になってしまっていた。
その彼女がチャーリーと結婚?聞いてねーぞー。
まぁでもそういうことは多々あったんだよね。その昔毎Qのように部下が結婚していった頃もさ。ぼくは決して鈍い方ではないと思うんだけども、まぁうまいことカモフラージュするわね。うちの夫婦の場合はバレバレだったんだけど。しょせんはただの上司、先輩だもんね。いくら勝手に気持ちが通じ合ったような気になっていてもね。
だけど今回は、2人ともちょっと気を使ってくれたらしく、実は2月ごろには既に入籍していて、周りからちゃんとなんかしろと言われて開催した今回の披露宴には、ぼくを呼んでくれることにしてくれたようだ。そんなことで、6月くらいに突然、メールが来て、実はもう入籍したんです、披露宴に来てくれますか、とお誘いをいただいた。
今日別の人間から聞いた限りでは、一昨年会社を辞めてからわりとすぐチャーリーと飲みに行った時点では、まだだったようだけど、その後我が家で徹マンをやった時には、多分もう付き合ってたんじゃないかと。
というわけで、近々いじめてやらねばなるまい。
宴の終盤、パティオでウェディングケーキに入刀し、それからご両親へのお礼、ご両親と本人からの挨拶があって、2時間半ほどでお開きとなった。最後に今日の来賓の名前を1人1人、エンドロールのように彼ら自身の一言コメントとともに紹介していくビデオが流れ、ぼくの紹介文は「宇宙人的ドラマー」となっていた。
出口で本人たちに引き出物を手渡しされた時に、今度飲みに行くことを約束させた。
おめでとう。とても素敵な披露宴でした。
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