わがバンド「健康」のメンバーには、音楽・映像関係の仕事をしている人間が多い。なんども書いているがボーカル&ギターのブーランは音響技術ほかの専門学校の副校長、マキゾエは広告代理店のクリエイティブ系、そしてCM制作会社から独立してフリーでやっているサポートメンバーのABちゃん、ブーランの学校で講師を務めつつ、いろんな映像制作の仕事をしているKo太郎という具合だ。
2004年の再結成以来レコーディングを中心に、そしてここ数年はライブ活動も始めた我々「健康」、あくまでもバンドは趣味ではあるものの、多少はプロモーション活動もしようよってことで、そのKo太郎がディレクターとなり、『手』という曲のPVを作って、You Tube等に公開していくことにした。
今時の音楽業界は、ご存知の通り映像なくしては成り立たない。以前のようなゴールデンタイムに生で歌う歌謡曲のランキング番組ってのは少なくなってきた代わり、深夜帯を中心に、老舗の「Count Down TV」を初めとする音楽番組は根強く各局に残っている。これらは、PVを流すことで成り立っているので、少なくともシングルカットする、と今は言わないのか、DL数を稼ごうとする楽曲には、PVは必須だ。
なのにクォリティの高くないPVって結構多いよね。海外だと古くはピーターガブリエルとかマイケルジャクソン--有名な「Thriller」もすごかったけど、「Beat It」がカッコよかったのよね--、最近の日本だとモンキーマジックとか中島美嘉の一連のPVなんかはクォリティ高いと思うけど、そういうのって意外に少なくて、普通に歌ってます、ってのか、せいぜいそれに毛が生えた程度のものが多い。そもそもHD画質のものがほとんどないじゃん?
音楽業界は音楽あってこそ、DLが稼ぎどころ、そのためにはサビを如何にキャッチーにするかが勝負、ってのはそりゃそうなんだけど、近い将来、映像とセットで売る時代が来るんじゃないかなぁ。
なんて偉そうに書いといて、わが「健康」のPVはどんなんじゃい?って話なのだけど、無論素人バンドのすることだからそれほど大層なもんではないにせよ、それなりに気合が入っている。
まずはたまたま学校の研修旅行でロンドン、ベルリン、プラハを回ってきたブーランが、Ko太郎が直筆で墨書した「手」の字の紙を同行の学生たちに持たせ、アビーロードやらベルリンの壁やらと言った名所で、計256カットにも及ぶ映像を収録してきた。
そして昨日は、演奏シーンを撮るために、学校のミニライブスタジオにメンバー全員が集合。Ko太郎指定の赤と黒の服装に身を固め、レコーディングした音に合わせて、まず1人1人の演奏を撮っていく。みんなカメラ目線で変顔とか、演奏そっちのけで激しくボディーアクションしたりするので、これが結構笑える。
ドラムの番になって、まぁ細かなカット割が入るんだろうから、演奏なんてどうせわかりゃしないのでどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど、でもレコーディング時に鳴らした音と違うことやるとマズいし、特にドラムは、叩いたシンバルの音が違うとか、オカズが違うとか、一番はっきりわかるじゃない?
なのでそれなりにちゃんとやろうとして、ライブの時のようにミスって舌出したら、別にこんなの適当でいいんだよ、三つ子の魂だなまったく、と、これまた大笑いされてしまった。
各人1回か2回の通し演奏と、ポイントとなるキメ部分を撮り、学生に手伝ってもらって全体での演奏を2回撮り、とやったんだけど、なにしろ2分にも満たない短い曲なので、9時過ぎにはすべて終了。それから珍しく、バンドメンバー全員でプチ打ち上げに飲みに行った。ぼくは車だったので、ノンアルコールビールしか飲めなかったけどね。なんであれって、どのメーカーでも同じ不味さなんだろうね。
Ko太郎は今やってる仕事が今月いっぱい忙しいってことで、撮った素材の編集は来月になるそうだけど、こいつはなかなか楽しみですな。
なにせ64小節、冒頭のオカズを入れても拍数にして260拍しかない『手』に対し、その海外撮影の256カットに、計十数回のみんなの演奏に、と素材は山ほどある。1拍1シーンで割って行っても足りるくらいだ。いったいKo太郎先生、どんな風に仕上げてくれるんでしょうかね。
公開したらURLはお伝えしますのでね。皆さまもお楽しみにしていてくださいませ。
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