今週はちょっと延びちゃったけども、前に「検証結果は別途書く」とお伝えしていた、我が家に導入した太陽光発電設備の、先週23日に出た設置後初の1ヶ月分フルの実検針結果を受けて、「どのくらいCO2削減に貢献できてるのか」「元が取れるのか」の検証レポートでございます。
あらかじめお断りしておきますが、ほとんど自分用の「検証経緯を残しておくためのメモ」に近い内容なので、太陽光発電に興味も関心もない方には、面白くもなんともないかと思います。スルーして下さいませ。
1.基本情報と前提条件をいくつか
まず、太陽光発電設備は、それだけでは電気をストックする機能はないので、経済的には上図のように、太陽が出ている間発電された電気を家庭内で必要分消費し、余った分を電力会社に買い取ってもらうことで成立する。この買い取りは、「再生可能エネルギー固定買取制度」に則って、今年度中設置・家庭用10kW未満の太陽光発電の場合、37円/1kWhで10年間は買取価格を保証してくれる。
また、前にこのブログに書いたけども、太陽光設備を導入、稼働し始めた9月10日に先立つ8月6日に、東京電力の価格体系を、昼夜関係なしの従量制から、「半日お得プラン」という、朝9時から夜9時までは単価が高いけど、夜間は安くなるプランに変更した。太陽光設備を導入する場合、昼間に使う電力量は少なくなるので、こういった時間帯別料金体系の方が有利だからだ。
ただ実は、これ単独による効果も結構大きく、今回の分析は、その分の効果は、計算上控除している。逆に言うと、昼間みんなが出かけててほとんど家にいないようなご家庭は、太陽光は入れないとしても、とっとと時間帯別のプランに移行すべきだよ、ってことでもある。東電のサイトではどのプランが一番安いかシミュレーションできるようになっている。移行にあたってメーターの交換が必要だが、特にお金はかからない。
効果分析に当たり、なるべく同一コンディションの月の1年分のデータを使ったが、我が家では3月に冷蔵庫を買い替えていることと、その他にも要因不明ではあるが、節電効果が出ている模様なので、以下その部分については「エイヤッ」ではあるが、これによる補正も加えている。
また、太陽光発電は、自然エネルギーをベースにするものなので、この1ヶ月(正確には9月23日~10月22日)の発電量実績は、太陽光の状況によって通常と同じかどうかはわからない。そのため、太陽光発電量が比例するという、「日射量」のデータを用いた補正もしている。
「日射量」は、一定のエネルギー量以上で日が差した時間数を表す「日照時間」と違って、単位面積当たりの太陽光から受けたエネルギー量(単位はJ/㎡)そのものを表すもので、気象庁のサイトに過去データがある。但し「日照時間」は気象庁の各拠点のデータがあるものの、「日射量」のほうは拠点数が限られている。今回は、我が家の日射量としては、熊谷よりは近い東京(大手町?)のデータを使っている。
それと、同じ日射量であっても、太陽光パネルの設置状況によって、当然発電効率は異なってくる。「太陽光発電総合情報」というサイトの記事によると、真南向き傾斜角30度で設置した際の発電量に対し、設置向きと傾斜角によって、表のように効率が変るそうだ。これについても必要に応じて比較時考慮する。ちなみに30度と言うのも、正確には設置場所の緯度に依存し、例えば東京では35度、那覇では26度が最も高効率になるという。
またそれらのロスに加え、パワーコンディショナ(発電された直流電流を交流に変換するなど、一般家庭で使えるように整える機器)の変換効率や、伝送経路のロス、パネル表面温度が高いと効率が悪化するなどがあり、太陽光パネルの公称出力に対して、最大でもおおむね70~80%となるとのこと。但し以下の分析では公称出力の数字は使わず、実績値をベースにしているので、これについては考慮済みとみなす。
なお以下の「元が取れるのか」の計算は、実際の購入価格は書かないけども--逆算すればある程度わかってしまうものの--、屋根と外壁のメンテナンスを依頼したのと同じ施工会社に、同じタイミングで依頼したため、通常単独では多分提示されないくらい値切った上、朝霞市の「住宅用太陽光発電システム設置費補助制度」を利用して10万円の補助も出してもらった金額に対して行ってるので、ある程度有利な条件での計算になっている。
以上、既にかなりマニアック感漂っておなかいっぱいだと思いますが、まだ読み進む勇気のある方は、以下へどうぞ。細かいこたぁどうでもいいやという方は、「6.費用対効果・CO2削減量の計算」まで飛ばしていただければ。
2.基本情報
我が家に導入した製品は、長州産業というメーカーの、公称出力244Wのモジュール、品番で言うとCS-N244SJ03を15枚(公称出力合計3.66kW)と、接続箱、パワーコンディショナ、計測ユニット、表示ユニット等の関連機器。
また我が家の設置状況は、屋根形状の制約により、東南東方向(真東から15度南)に13枚、南南西方向(真南から15度西)に2枚のパネルを設置した。傾斜角はいずれも約26度。これから推測される設置補正値は約87%で、伝送ロス等と掛け合わせると、大体65%程度。実際の発電量は、モニターを見る限り最大2.4~2.5kWhくらいなので、上記の推測ロス値とほぼ一致する。
9月23日~10月22日の実績では、買電量が389kWh(昼120kWh/夜269kWh)で電気代は9,766円。これは、昨年10月実績(但し旧料金プラン)に対し▲141kWh、消費税率補正後の電気代(16,806円)に対しては▲7,040円。
一方、売電量は206kWhで、買取価格は7,622円。
3.日射量・冷蔵庫効果等補正
9月23日~10月22日の東京の日射量は、台風が2回来たにもかかわらず例年よりも多かった。日射量実績=343.55MJ/㎡に対し、平年(1981-2010年)の同期間=290.40MJ/㎡なので、平年/今回の実績=84.53%で補正する。
冷蔵庫のSpec上の年間消費電力量差は、測定基準に多少の差はあるものの、440-200=240kWh、月▲20kWh。但し実際の消費電力差の、同条件で比較できる4月~7月の平均は▲103kWhも減っている。補正すべきでない要因もあるが、実際に電灯のLED化等、その他に消費電力が下がった要因もあると思われる。
これをどの程度と推測するかだが、上記の日射量補正と合わせ、メーカーが提案時に出してきた予測発電量より多くはならないこと、太陽光発電の施工業者である植松グループと言う会社が公開している自社工場屋上での各メーカーのパネルの発電実績のうち、製品は我が家のものとは違うが、同じ長州産業のパネルの発電実績から、日射量・設置状況・製品発電効率(推測)で補正した値と近しい数字となること、という条件から、▲10kWh/月、合計▲30kWhとする。
10月の昨年実績差▲141kWhから、冷蔵庫等効果を除くと▲111kWh、これに売電分を足すと317kWh、これを日射量で補正すると、平年10月の我が家の設備の発電量は268kWhと推測される。
これを平年の月ごとの日射量差で比率計算し、過去の我が家の消費量・電気代実績データのうち比較的ブレが少ないと思われる昨年5月から今年4月の1年間に当てはめると、グラフのようになり、年間3,860kWhとなる。
ちなみにグラフの通り、発電量、つまり比例する日射量は、日照時間(晴天の多さ)と南中高度の高さ(つまり夏至との近さ)から、5月がもっとも多くなる。4月だって8月より多い。夏になってから紫外線対策をしても遅いということがよくわかる。
4.各月の追加発電分・追加消費分がどうなるかの推測
次に、10月はグラフの通り発電量が最も少ない月の1つだが、これに対し追加発電された分が、消費、売電にどう回るかを想定する。発電されるのは昼間で、我が家では昼間は、10月以上に電気を使うことは休日の冷暖房以外はほとんどない。なので追加発電分のうち90%が売電に回るものとする。
また、料金計算のため、9-21時と21-9時に、消費分に回る10%がどう振り分けられるかの想定も必要となる。日の出から朝9時までの発電消費分だけが夜間分に当たるので、消費分のうち90%が昼間に消費されるものとする。これによって、追加発電分の、各月の昼・夜の消費量および売電量が計算できる。
一方で、10月は電力の使用も最も少ない月だ。この10月の使用量に対し、冷暖房等で各月追加で消費している電力の、昼と夜の割合を想定する。休日昼間及び平日カミさんが帰ってから21時までの分等を考え、夜間=9時間/全日、昼間=2時間/平日+12時間/週末として概算すると、夜間75%、昼間25%となる。
また、昼間の平日分1:30分と、週末の4時間分(計13.1%分)は、日が落ちてからの費消分、つまり新たに電気を消費するものとし、その他は売電分から減るものとする。これによって、追加消費量のうち昼・夜の買電量と、10月だったら売電していた分から消費に回る分が計算できる。
この両者を併せると、各月の消費電力、売電量が計算できる。さらに「半日お得プラン」の料金単価が変る170kWh/月の線を超える量、超えない量を計算し、それぞれの単価を掛けると、各月の料金が計算できる。結果、年間の消費電力は、対比較期間▲1,880kWhの7,461kWhで料金は▲125,711円の169,208円、売電量は2,173kWhで当初10年間の買取金額は80,407円となる。
5.太陽光発電による効果の算出
この消費電力の減分のうち、まず30kWh×12ヶ月=360kWh分は、最初に想定した冷蔵庫効果等によってもともと減っていた分なので、太陽光発電の効果とは言えない。
また、料金の減分のうち、元の使用量を変更後の料金体系で計算して払うべきだった金額との差額分は、料金体系の変更効果だ。この計算のため、料金体系を変更して太陽光を導入していなかった8月の実績から、昨年10月の実績530kWhを日射量補正した量までは、昼夜の比率が8月と同様であったと仮定し、それに対するオン分は、上記同様夜間75%、昼間25%として、各月の使用量を夜・昼に分け、新料金体系であったとした場合の金額を計算する。
以上の計算結果から、
電力量▲1,880kWhのうち冷蔵庫等効果分=▲360kWh → 純減分は▲1,520kWh
料金▲125,711円のうち冷蔵庫等効果分=▲16,994円、料金体系変更効果分=▲44,325円
→純減分は▲64,392円
6.費用対効果・CO2削減量の計算
上記と売電分を単純に合計すると、太陽光発電導入効果は、年間3,693kWh、144,799円となる。
これを投資額に対し単純計算すると、11年1ヶ月で回収可能な計算となるが、11年目以降は37円で買い取ってくれることはまず期待薄で、電力販売自由化等の影響でどうなるか予測が難しいが、仮に買電料金と同じ単価(厳しめに見て「半日お得プラン」の夜料金、税抜き11.66円)での買取となると仮定して計算すると、11年目以降の金額効果は91,752円となり、回収に1年8ヶ月、計11年8ヶ月で回収可能という計算となる。
15年保証の製品なので、この家に住む限りは、恐らく回収可能となるが、上記の通りかなり値切ってこの結果。各種関連機器や工事代の費用はほぼ同じなので、もう少しパネルを多くして発電量を多く確保し、投資効率を上げないと、もしかしたら回収は厳しい投資なのかもしれないね。
次にCO2排出量だけど、太陽光発電時にも少しCO2を排出するので、これを差し引いて0.5045kg-CO2/kWh(電力会社によって差があるそうですが)で計算すると、年間1,863kg削減でき、一般的な家庭の年間CO2排出量と言われる5,060kg(全国地球温暖化防止活動推進センター資料による)に対して、36.8%削減できることになる。
但し、最近の各電気会社の、太陽光発電事業会社からの売電申請保留状況--昼間に売電需要が集中し、伝送路の能力不足等を来したため--をみると、売電分が全量社会貢献と言えるかは疑問ではあるけどね。だけどあれって発電者側のせいじゃないよねぇ。太陽光中心になることは予測できたわけだから、制度設計した役人の想像力不足と言わざるを得ない。
10kW以上の発電能力を持つ事業者の場合、20年間買取価格保証になるから、絶対元取れるもんね。そりゃこぞって参入するでしょ。日本の優秀な役人とは思えない疎漏さだと思いますけどね。もっともエネルギー行政に関しては、疎漏だらけか。
その他にも、実際には2016年の自由化で電気料金も変わるだろうし、売電環境も変わるかも、ってことで一概に言えない要素はあるけど、一応、投資回収はでき、CO2排出量削減にもそれなりに貢献できそうだ、というのが結論のようです。よかったよかった。
てことで毎週長くてすみません。
しかし最後は阪神らしい情けない負け方でしたなぁ。阪神はどこまで行っても阪神だな。今後も阪神ファンへのマゾ呼ばわりが保証されましたね。
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