春だんなぁ。急に来た感じだよね。つい先週まで寒かったもんね。暖冬って言うけどほんとかよ、ってくらい。今日は朝霞と朝霞台の間にある近所の黒目川(目黒川ではないけど桜の名所なのは同じ)沿いまで走って行ったら、満開の桜でした。
こう急に来られると、衣替えが追ッつかないんだよね。秋春もののジャケット、こないだ一斉にクリーニングに出しちゃったもんだから、カバーかけたままだったりいろんな紙タグがホッチキスで止められてたり、たくさんあると結構着れるようにするまでがめんどくさいじゃん?ズボンも明日大量にアイロンかけないと。
さて、4月と言えばまた新ドラマが始まる時期だ。ぼくはTVドラマは、ゴールデンの時間帯にやる奴はとりあえず全部をざっと見て、大体1日1本か2本、見続ける、というかデスクで何かしながら流して、そのクールでお気に入りの1、2本は真剣に観る、って感じなのね。
以前はこの時期になると、「TV navi」--3月に1度とは言え近年買っている唯一の雑誌--を買ってきて、新ドラマ特集を観ながら録画予約をするってのが恒例だったのだけど、去年買ったBDレコーダーSharp BD-T1700についている「どら丸」という機能が便利で、とりあえず新ドラマは全部録画してくれて、4週間のうちに「そのまま録り続けてね」という意思表示をしないと録画をやめるという、こいつのおかげで、予約操作はしなくてよくなった。
てので油断していたら、倉本叔父の久々のドラマ「やすらぎの郷」が、今週3日からテレ朝で始まっていたのに気づかないという失態をやらかした。噂は聞いてたのに。月曜日に珍しく報道ステーションにベタで出てたのに、その理由に気づかないなんて!なにせ昼の帯ドラマと言う民放では珍しい形態で、「どら丸」の設定でそんな時間帯は対象から外していたのでね。てことで初回から3回分は、無料で配信していた「TVer」で観ることになった。
「徹子の部屋」が終わった12時半から20分間放送するこのドラマ、本編が始まるのは12時半を40秒ほど過ぎたあたりで、本編はCMなし、終わるのが12時45分30秒くらいであとはCMと予告編、という時間割で、NHKの本家朝ドラの再放送本編の時間帯にぎりぎり繋ぐという、大変に計算された設定になっている。
この「やすらぎの郷」、老人世代をターゲットにしたちゃんとしたドラマを作りたい、ってことで倉本叔父自身が局に持ち込んだ企画で、出演者は主演の石坂浩二をはじめ、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチスと、ほぼ叔父と同世代の往年の名優ばかりだ。確かに老人世代ターゲットってのは新しい。金は持ってる上に、今やすごい人口だからね。入るCMも拡大鏡とかかつらとかばかりで、そういうメーカーにはありがたいよねぇ。
石坂浩二は浅丘ルリ子と16年前に離婚して、このドラマで久々に再会したそうで、そのかつてTVに貢献した人々が無料で入れるという老人ホーム「やすらぎの郷」で、最初に出会う場面でいきなりハグをするとか、そういう仕掛けが倉本叔父らしい。実は倉本叔父は、昔自らエッセイに書いていたけど、石坂浩二が浅丘ルリ子にプロポーズしに行った時に運転手をさせられたらしく、それで挙句に離婚かよ、ということへの意趣返しかと思うと可笑しい。
そういう設定のこのドラマは、もちろん今のTVはなぜ昔よりもダメになったのか、と言うのがテーマで、入居資格としてTV局に所属していた人はNG--TV界をダメにした共犯者だから--だとか、長いセリフの中に、今のTVはホントにくだらなくなった、ってのがモロに出てきたりとか、そういう内容を地上波で放送するってのも、なかなか画期的な話だ。
まぁ確かに、昨日の日経によると、世界の媒体別広告マーケットサイズの推計で、今年初めてTVはネットに抜かれて2位になる見通しだそうで、日本のTVドラマの視聴率も昔から比べると格段に下がっている。
ドラマのTBSがこのところその意地を発現している火曜10時枠。「逃げ恥」「カルテット」と、前者は世間に与えたインパクトの大きさ、後者は前クールのドラマの中でのダントツのクォリティ、共にすごかったのは衆目の認めるところだと思う。「カルテット」はさすが今をときめく名脚本家坂元裕二さん、シチュエーション作りもセリフ回しも抜群。演者たちも見事。林檎ちゃん作の主題歌もとてもよい。特に今CMで引っ張りだこの吉岡里帆に、小悪魔というか悪女の役を与えた慧眼が素晴らしかった。「A-Studio」に出ていた東出昌大が、次の火曜10時の主役の相手役を演じる身として、すっごいプレッシャーだと言っていた。
だけど、「逃げ恥」だってあれだけ評判になっても、最終回の視聴率が初めて20%を越えて20.8%。「カルテット」なんて最高でも11%。もちろん録画も含めた「総合視聴率」ってやつはもうちょっと高いんだけど、昔のお化けドラマは、30%とか平気で取ってたもんね。あのころだってビデオはあったから、そこんとこの条件はそんなに変わってないとすると、これってやっぱTVの衰退と言わざるを得ないよね。
「積み木くずし」とか「ビューティフルライフ」なんて40%越えだよ。そんなのって、21世紀では、2013年の「半沢直樹」と2011年の「家政婦のミタ」以外にはない。2010年以降では、この2つに続くのは、グーンと落ちて2013年「Doctor X」の26.9%だからね。
ただそういう意味では、「Doctor X」とか「相棒」とか、近ごろ好調のドラマはみんなテレ朝なんだよね。意外なことに。そんな老人向けTV批判ドラマを放送しちゃうって言う冒険精神も、かつてはフジの独擅場だったと思うんだけど、今はテレ朝に移ったってことなのかな。キー局の中では日テレ、TBS、フジに比べると、申し訳ないけど--ネット局数とか見ても--一流半ってイメージだったのにね。
石坂浩二演じる脚本家、菊村栄は、もちろん倉本叔父が自身になぞらえてるんだけど、彼が長きにわたって住んでいた場所だという設定の善福寺は、実際に叔父が富良野に遁走する前に住んでいた場所で、ぼくにとっては親父の実家があった、おばあちゃんの家だ。今でも5人兄弟姉妹の親父の、末弟にあたる叔父夫婦が住んでいる。
家自体が映るシーンは別の場所で撮ってるみたいだけど、一瞬映った塀の外からの外観は、多分その家をそのまま使っていたり、そういう内輪受けが個人的には楽しい。「北の国から」でも、わかっちゃうのでぼやかして書くけど、主要な登場人物の名前がぼくの兄の名前だったりする。
ドラマは主人公が今週その老人ホーム「やすらぎの郷」に入居して、これからいろいろと事件やらが起こっていくんだろうってところで、見応えありそうな雰囲気が漂っている。なにしろ往年の名優ぞろいだからね。初回放送の視聴率は8.9%、これは同時間帯の「ヒルナンデス」とか「バイキング」とかを押さえてトップだったそうだけど、これから9月まで半年間、がんばって欲しいなぁ。あとほぼ唯一の若手、松岡茉優ちゃんにもがんばって欲しい。老人だけだと、やっぱどうしてもちょいと辟易するとこあるからね。
TV界だってそう。広告マーケットサイズでネットに抜かれる予想だとはいえ、TVもまだ伸びてはいるからね。TVっ子世代としては、がんばって欲しいなぁTV界にも。
てことで、「やすらぎの郷」、さすがに仕事をしてる人は生では観れないと思うけど、ぜひ録画して観てくださいね。これから半年間、我が家はこのドラマを晩飯時に観る習慣になりそうだ。そう言う人が多いとすると、このドラマこそ「総合視聴率」で評価して欲しいですね。
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