今週はGWから打って変わって寒い菜種梅雨。いやぁ、GWはほんと、いい天気でよかったよね。風は強かったけど。
さて先週に続いて房総中南部旅の後半ですが、清水渓流公園を出て、こっちはまだ有料だけど、いい道で走りやすい鴨川有料道路を通り、鴨川市郊外で右折、そのあたりで茨城の時同様コンビニでおにぎりを買い、国道410号線を通って計1時間弱走り、大日山遊歩道駐車場というところに車を停めた。10台ほどの駐車場が、人がいない割にいっぱいだったのけど、すぐに1台分空いてラッキーだった。
ここからリュックを背負って、「増間ダム」という小さなダムのダム湖沿いの林道を登っていく。すばらしい天気のうえに、千葉の里山の森もいいね。ここでもきれいな葉の裏写真がたくさん撮れる。
1時間ほど登ると、「坊滝」という滝に着く。落差はせいぜい20mくらいで、この時期水量は少なく、迫力はないけども、滝の目の前まで遊歩道で降りられ、ちょっとした滝見スペースがある。水音が爽やかだし周りの広葉樹たちが美しく、1時半ごろになっていたので、ここで昼食にすることにした。
「坊滝」という名前は、かつてこの大日山の山麓にあった寺のお坊さんが、水垢離をしたためにつけられたってことで、水量のある時は結構壮大な眺めになるらしい。おにぎりを食べていたら、この山に入って初めて、我々以外のハイキング客--男の子2人の4人家族--が降りてきたのに会った。こういう渋い場所は、GWでもホントに人がいない。
ここからもう少し行くと、林道は逸れていき、歩道は山道になる。山道と言っても、丸太の階段とかが設置してあってとてもよく整備されているのだけど、その階段がまたとんでもない段数があり、かなりきつい登りだ。これをしばらく登っていくと、大日山の頂上に行く道が分かれていて、ここから頂上までもまた、延々と続く階段だ。
大日山の頂上は、標高333mで大した高さじゃないけども、内房富浦付近の海から、館山の先、房総半島が東京湾側にくいっと曲がった先端である洲崎までが望める。風が気持ちいい。すぐ近くの樹で、かなりベテランと思われる鶯が、いろんな声音で見事なさえずりを聴かせてくれる。
頂上からさっきの分岐まで戻り、元来た道とは反対向きに、美しい森の遊歩道を降りて、駐車場まで戻る。ここから館山バイパス(国道410号線)に出て40分ほど走り、房総フラワーライン沿いにあるこの日の宿「オーパ・ヴィラージュ」に着く。
この宿は、南仏の雰囲気をシミュレートした、新しいのかと思ったら1980年ごろから営業しているらしい、見事にバブリーなプチホテルで、5部屋ほどの部屋がある建物が5つほど連なって、それぞれにワイン風呂だのなんだの、オシャレな貸切風呂や、ゲームルーム、図書室などの設備がある。
レストランも4席ほどずつの小部屋に分かれて、なかなか美味しいフランス料理に、ケーキバイキングとかがついている。同じ建物にあるフロントとの間の売店では、コップのフチ子さんが陳列棚に何人隠れているか当てるクイズとかをやっている。けっこうマジで数えたのに、チェックアウトの時に数を申告したら、正解の半分ほどしか数えられていなかった。
部屋の冷蔵庫にあるビールとかが、この手の宿泊施設としては画期的に安いのは素晴らしいし、部屋の設備とかがちょっと古め--当然シャワートイレは装備されてるけど--なのはよいとして、たくさんある風呂の中で、温泉なのは離れのように棟が別れた露天風呂だけだったのはちょっと残念だったな。シャワーのある場所は囲われてはいたけど、この時期外で体を洗うのはまだちょっと寒い。
翌朝は、房総フラワーラインを走り、房総半島の最南端を挟んで反対側にあたる東南側の、千倉の里に向かう。お花畑と寺や神社を巡る遊歩道が整備されていると言うのでね。
ところが白間津のお花畑と言うところに着いてみると、いい季節だと言うのに、花はほとんど咲いていない。その後にいくつかある花畑も、ほとんど花はないどころか、7割がたの畑が荒れ放題になっている。畑仕事をしていたおばさんに事情を訊いてみたら、去年の秋の台風で、この辺の花畑はほとんど全滅したんだそうで。また若者が農家を継がず出て行ってしまうので、ほとんどの花畑は世話をする人手がなく、放置するしか仕方がないんだと。なるほどなぁ。こんな首都圏ですら、過疎化の波に晒されてるのね。
そんなんだから、道しるべとかも結構整備された、軽自動車がギリギリ通れるくらいの幅の散歩道で、尾道の坂道みたいな風情を感じさせるいい雰囲気なのに、途中その荒畑を通るときは、どこが道だかすっかりわからなくなった部分があって、一時ほぼサバイバル状態になったりもした。
途中少し山を登ったところにある「高塚不動尊」と、その近くにある「高皇産霊神社」--"たかみむすび"と読み、日本の神様の中では結構格の高い方らしいんだけど、この読みが覚えられなくて、この後、家に帰るまで何度も、カミさんとあの神社の名前は何だったでしょう?とクイズを出し合った--からは、畑の向こうに太平洋がきれいに広がって見えたので、屋久島でガイドS氏と遊んだ、スマホで左端と右端に同じ人--今回はカミさん--が写っているパノラマ写真を撮ったりした。
ここから海に出て、「道の駅ちくら」で海鮮丼を食べ--これは値段の割にあまり美味しくはなかったな。去年の秋に大洗の「すし悠久」で食べたマグロ丼より高いのに、味はそっちを100点とすると40点くらいの感じ--海沿いのバイパスを強風の「千倉大橋」とかを渡ったりしながら白間津のお花畑まで戻り、房総南端の野島埼に向かう。
野島埼の灯台は、たぶん今回始めて来た。上に書いた洲崎の灯台の方は、33年前カミさんと初めてのデートをした時に、当時はアクアラインなんかなくて、三浦半島からフェリーで渡ってやって来たことを、明確に憶えてるんだけどね。
この白亜の灯台は、明治2年に日本で初めて建てられた8つの洋式灯台の1つってことで、なかなか由緒あるんだけども、登るのに金をとるのはどうかと思うものの、登ってみるとこれはなかなか素晴らしい景色だ。この辺の海岸は、宮崎の「鬼の洗濯板」みたいに、板状の岩が海から陸の方向に斜めに刺さったような形できれいに並んでいて、潮干狩りの家族連れが結構来ていたりする。
この南房はリゾートとしてはちょっと斜陽気味な感じなんだけど、この野島崎から白浜と呼ばれる地域だけは、ホテルとかリゾートマンションとかが、まだ少し活気を残している。その中を抜けて、最後に向かうのは、館山郊外にある「安房自然村」という立ち寄り温泉だ。
ここがまた、今どき珍しい古ーい設備の温泉で、多分昭和のままなんだろうね。脱衣場は狭いし温度は熱いし、待合室が宴会場みたいな場所で、カラオケ設備を備えた舞台があったりする。宿泊施設もあって、泊まる人もこの風呂に入るので、立ち寄りは入場制限とかしてたらしいんだけど、夕方4時台といい時間だったため、かなり混み合っていた。
ここを出て、富浦館山道路から一路自宅に向かう。館山自動車道、アクアラインと通って行くんだけど、これがNEXCOの予想よりもかなり混んでいて、特にアクアライン連絡道に入る前から海ほたるまではひどかったな。3時間ほどで帰れるかと思ってたら、それより1時間くらいは余計にかかった。
てことで渋ーい関東近場旅2連発でした。ま、当たり前だけど、どこに行ってもきれいな森はあるのね、ってことはわかったのでよかったな。夏休みは標高が高いとこに行かないと暑いので、今年はもうさっき、中央アルプス付近の秘湯の宿だけは押さえた。
森と陽の光と20度台前半の気温と乾いた空気と、これらが揃ったら、やっぱりぼくはとっても幸せです。
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