予約取った時に書いた通り、今回はカミさんの--遠くに行くのは高速を多く走らなきゃならないけど、加齢とともにスピード恐怖症がますますひどくなってきて、近場にしたいと言う--要望に従って、渋く房総中南部の旅に行って来た。しかもマザー牧場とか鋸山とかドイツ村とかのメジャーなスポットは、絶対混雑するのですべて避けると言う、渋さに磨きをかけた旅だ。
3日は午前中は嵐だと言われていて、なら立てていた旅程も、どの道渋い行き先ばかりだし、多少行けないとこがあってもいいかってことで、予定より約1時間遅く、9時半ごろに家を出た。首都高5号線から中央環状、湾岸線まではスムーズに行ったんだけど、東京湾アクアラインに入る前から詰まり、アクアラインに入ってからも海ほたるまでノロノロで、そこから海上に出たら今度は強風で40km/h制限だと言う。確かに風にあおられてかなりハンドルを取られる。でもそれ以降混みはしなかったので、木更津東インターまではおおむね予測通りの時間で着いた。
まず向かったのは久留里城だ。室町時代に造られた思われる--実際よくわからないらしい--この山城は、もともとそれほど規模の大きなものでもなく、天守は明治初期に一度壊されたのを戦後に復元したと言う2層の小さなもので、まぁ松本城だの熊本城だのに較べれば、言ってしまえばチンケな城だ。
じゃあなんでここに来ることにしたかというと、面白いので最近ほぼ毎週観ているテレ朝23:15枠火曜の「ソノサキ」で、ここでドローン撮影をしていたのを観て、この房総中部と言うのは過去来たことがないし、行ってみてもいいかなと思ったというシンプルな理由でして。
城自体は、天守からの景色はなかなかよいとは言え、資料館ってとこも観たものの、結果まぁ大したことはなかったのだけど、雨は結局まったく降らなかったどころか、ここの駐車場に到着したころには青空が出てきて、 その中、メインの登城路の他に駐車場を挟んで隣の尾根に作られた林間歩道というのが、きれいな森の中を登っていくすばらしく美しい道で、明るい陽の当たる葉の裏写真がいっぱい撮れた。メインの登城路はあまり景色のよくない舗装路をとにかく延々と登っていくだけなので、ここに行くなら行きは林間歩道を行くことをおススメする。
久留里駅--久留里線は1時間に上り下り1本ずつくらいしか走っていないローカル線だけど、今でもJRが直経営している--のそばまで戻って、「手打ちそば処 藤見」というそば屋で昼食。食べログ3.3点のここは、そばが美味なうえに、ランチセットと言う、やさい天そば(これだけで通常は970円)におにぎり2個セットで1,000円と言う、炭水化物だらけで年寄り向きじゃないけどお得なメニューがあり、ほぼ満席の混み具合だ。老人2人でやっているのでかなり待たされたが、その間隣の席にいた幼い姉弟がかわいくて、我が家のガキどもがチビのころの話なんかをして時間をつぶす。つい貧乏根性を出してこのランチセットを食べたら、超満腹だ。
そして次に向かうのは、マザー牧場の裏にある鹿野山の頂上近くにあって車で行ける「九十九谷展望公園」だ。ここは、冬の朝には雲海ができることがあり(記事末尾リンクの君津市ドローン映像参照)、その幻想的な景色に感銘を受けた若き日の東山魁夷が、デビュー作「残照」の元絵のスケッチをしたという曰くのある場所だ。この日はもちろん雲海なんて出てないし、普通に景色のいい公園--大きな雄鶏が2羽、なぜか放し飼いにされていた--で、近くにある白鳥神社というところにお参りして、元来た方向に山を下りていく。
4年ほど前から無料になったらしい「房総スカイライン」という快適な元有料道路を走り、今度はこの日泊まる亀山湖近くの三石山展望台というところに車で登る。ここもまぁ、景色がいいってだけなんだけども、上から亀山湖が見えるのかと思ったら、間に山を1つ挟んでいるため、上総亀山の街は見えるものの、湖は全く見えない。
というかダム湖である亀山湖は、翌日宿のそばを回ってみたけど、山あいを縫うように複雑な形をしており、広い湖面が広がっているわけではないので、まぁそりゃ見えないか。早々に山を下り、当初予定していた時刻にほぼ追いついて、16時過ぎにこの日の宿、「ペンションかめやま園」に着いた。
この宿は亀山湖付近で数少ない洋式の温泉宿泊施設で、和洋室でも比較的安価に泊まれるので選んだんだけど、まぁ元は和式旅館だったのが明らかな作りだったり、絶対に食いきれないほどの多種大量の旅館メシが出る。昼もたんまり食ったのに、無理だっつーの。まぁ部屋にベランダがついていてタバコが吸えたり、風呂とトイレが別れていたりして使い勝手はいいのでいいんだけどね。
この近辺の温泉は、アルカリ性単純泉なんだけど、いろんな成分が入っているらしく黒に近い褐色の変わったお湯で、浸かると肌がヌルスベな感じになる。目の前が大きな釣り堀になっていて、ここもこの宿が経営しているようで、亀山湖はバス釣りのメッカらしいんだけど、お父さんがモーター付きの釣り船で本格的に楽しんでる間、子供はここで鯉とかを釣ると言う分担で、そこそこ繁盛しているらしい。
大気が不安定と言われた4日は、風が強いのには参ったけど朝からピーカンの快晴で、大変爽やかな空気の中、まず亀山湖の中心部、流れ込む川や湖中央の大きな島--と言うかもともと陸続きだったのを、ダムができて川程度の幅の湖で仕切られた陸地--を、橋を渡って巡る1時間ほどの散策路を散歩だ。湖岸まで迫る樹々が午前の陽に照らされて、これまた美しい。
いったん宿に戻って来て、次に車で10分ほど南へ走ったところにある清水渓流公園というところに行く。ここには、濃溝(のうみぞ)の滝という、落差数mほどのしょぼい滝と、亀岩の洞窟と言うのがある。この洞窟、要は渓流が巨岩に穴の開いた形の短い洞窟を抜けているだけのことなんだけど、ここが、タイミング--早朝がいいらしい--によっては洞窟の向こうから射す光と、それが手前の川面に映るのとを合わせてハート形に見えると言う、この手のパターンは近年多いんだけど、それがパワースポットとしてバズって、大変な集客力を獲得した場所で。
この日も第3駐車場まで、多分計100台分くらいは停まれる駐車場がほぼ満杯で、ローカルのそれほど大きくはない公園に大変な人出だ。予想してはいたけど、メジャーなポイントとこういうスポットだけは人が集まるのね。千葉中部山間の道路は、GWでもどこもガラガラでスイスイ快適に走れるのにね。
11時過ぎのこのタイミングでは、残念ながらハート形ではなく、眼鏡にしか見えなかった--この写真で洞窟奥の右上の方向からもう少し低い陽が射すと、左側に三角形ができてハート形になるらしい--けど、その後もう1つの集客ネタとしてホタルを観るために渓流に架けた木道を歩いて戻ってくると、その出口でソフトクリームの試食をしており、全員この網にかかって、かなり多くの人が、ついつい目の前のショップでこれを買って食べてしまうという、見事なプロモ作戦に感心し、我々もはまってあげることにした。
久留里城も鹿野山も亀山湖もこの清水渓流公園も、全て君津市にある。君津市というのは、内房線に駅があるので、東京湾沿いの市かと思ったら、海に面しているのは新日鐵住金の工場がある場所だけで、奥に細長い、どちらかというと山寄りの街なのね。ドローンで空撮した4K映像を公開したり(今回行った各スポットが全て映ってます)していて、観光面ではなかなかがんばってますな。
てことで、この調子で書いてるととんでもなく長くなると思われるので、旅の半分が終わったここでやめにして、2週に分けますね。スミマセン。
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