帰りの新幹線の中で書いとります。新幹線のFree Wifiってなんでこんなに不安定なの?
酒田のレストランで食事をしながら、次に行く予定にしていた、鳥海山の5合目まで車で登れるという「鳥海ブルーライン」に行くかどうか検討するため、ライブカメラがあったので見てみたら、一面の濃霧で全く何も見えない。これは行っても無駄だとわかり、まぁそんなにどうしても行きたいわけでもなかったこともあり、じゃあどうしようかと酒田の観光スポットを調べて、山居(さんきょ)倉庫というところに行くことにした。
店を出た時点でほぼ雨は上がっていて、山居倉庫に車を停めたころには薄日が差してきていたが、鳥海山のライブカメラはまだ何も映らず、完全に諦めて、この倉庫と、併設された庄内米歴史資料館を見学する。米の積出港として栄えた酒田の中心的な農業倉庫として明治時代に建てられたというここは、現在も9棟中6棟を倉庫として利用しており、がっしりした土蔵造りとケヤキ並木が美しい。
それからこの日の宿、秋田最南部の、にかほ市象潟(きさかた)にある「夕日の宿さんねむ温泉」に行く。山形では道路に降りたカラスがどいつも車が近づいてもなかなか飛び立たずヒヤヒヤしたが、秋田では日本海側の海岸線に、ほぼずっと並んで発電用の風車が建てられているのにびっくりした。
「さんねむ温泉」はここもまた食事は旅館メシだし、温泉はちょっと熱くて長く入っていられなかったが、最近建てられたという新館の方に部屋を用意してくれたのでとてもきれいだったのと、半地下駐車場のエレベータの目の前に車を停められたので、翌朝はまた雨になっていたが、まったく濡れずに荷物を積めたのはよかった。
翌朝9時すぎに出発し、途中1カ所だけ日本海東北道が豪雨による土砂崩れのため通れないところがあったが、ほぼ影響を受けず、秋田市まで行く。ここまでは雨が降ったりやんだりだったが、秋田では曇りながらほぼ雨は上がり、予定にはなかったが、トイレに行きたくなったので立ち寄った「道の駅あきた港」に、高さ100mのポートタワーセリオンというのが立っていたので、タダだったし登ってみた。
秋田の街だけでなくかなり遠くまで見渡せる。南の方はだいぶ雲が濃く鳥海山は相変わらず見えないが、北の方はそうでもない。線状降水帯ってやつは、その真ん中にいると降りは激しいが、幅は狭いので、通り抜けてしまえば、大雨警報が出ていようが、あまり関係ないんだよね。
秋田市を出て、ものすごい数の発電用風車の列を脇目に、男鹿半島の根元、寒風山の頂上にある回転展望台に行く。ここからの景色もまた絶景だ。特に昭和30年代に埋め立てられた八郎潟にできた大潟村の広大な田んぼが上から一望できるのが素晴らしい。このころには雨はすっかり上がり、青空も見えてきた。
展望台の建物にあった、八郎潟の埋め立て事業とかの展示を観、ポートタワーに登った分予定より時間的に少し遅くなっていたので、この中のレストランで冷やした稲庭うどんの昼食にする。
それから男鹿半島の斧のような形の先端下の場所にある、「ゴジラ岩」を見に行く。まぁ単に奇岩の形がゴジラに似てるっていうだけなんだけど、言われればまぁそうだけどもこれはネーミングの勝利だな。結構な人が見に来ていた。夕暮れ時、ゴジラの口の中に陽が沈むのがきれいなんだそうだ。この時点で空はほとんどピーカンの晴れになり、日差しを受けて半袖ショートパンツでも汗をかく。
ここから今度は斧の先端上の入道崎というところまでドライブしたが、この道が海沿いをアップダウンする超絶景で、天気もいいので海がまぁ美しいこと。伊豆の東海岸の道の街のないきれいな部分がずっと続くような感じで、東北にいるということをすっかり忘れてしまう。
入道崎では白黒縞々模様の灯台に登り、男鹿半島北側の海岸もやっぱり風車の連続なんだということを確認して、次に少し内陸部にある「なまはげ館」に行く。ここは展示自体はそれほどの規模でもなく映写場で流している映像も大したものではないが、男鹿半島の各地域ごとに特徴のあるなまはげ面を広い部屋にずらっと並べた展示が圧巻だ。また、別料金のため我々は行かなかったが、隣の「男鹿真山伝承館」でやっている、なまはげの装束を着て写真を撮れるというサービスには長い列ができていた。
ここから一部大潟村の中などを通りながら90分弱で、夕方5時ごろこの日の宿、秋田の一番北の八峰町にあるにある「白神温泉ホテル」に着く。ここはやっぱり旅館メシでしかも魚介類のみだが、風呂は熱すぎず部屋はきれい。喫煙室がなかったので外でタバコを吸っていたら、夜8時ごろ、つがいの狸が餌をあさりにか宿の駐車場の端の外灯の下に来ていた。
最終日はやはり朝9時すぎに出て、県境を越え、青森県に入る。ここ深浦町とその北の鰺ヶ沢町は、先週の豪雨でもっとも雨が激しかった場所で、途中3カ所、片側通行になっていたり、迂回路を走らされたりする。
そしてこの日のメインイベントにしていた、この旅の第3の目的地、世界遺産白神山地の入口にある湖沼地帯「十二湖」に行こうとしたら・・・なんと2本のアクセス道がいずれも通行止め。途中のどこかでがけ崩れが起き、入れなくなってしまったらしい。えー、なんだよー、ショックだなぁ。この旅で初めて豪雨の影響をもろに受けた。
仕方ないので、時間があったら行こうかと候補に挙げていた、行合崎、千畳敷という2カ所の海沿いの景勝地に行くことにした。これまで渡った何本かの川もそうだったが、この地域の川はいずれも茶色く濁り、川によっては河川敷が埋まるくらい広がって、また上流から流れてきたと思しき流木なんかが、橋脚にたくさん引っかかっている。
行合崎という小さな岬も、本来海際の赤岩と、渚からちょっと離れた草地に咲くニッコウキスゲなどの植物がウリの場所なのだが、この浜辺にも大量の流木--10mはあろうかという木が根こそぎ抜かれたもの--が流れ着いていて、カミさんと、あれはどうするんだろうね、後から役場が片付けるのかな、と議論になった。
千畳敷というのは、宮崎の鬼の洗濯板みたいなやつかと思ったらそうではなく、もうちょっと白っぽい岩が、鋭くとがってではなくうねうねと、野球場1面くらいの面積に広がっている場所で、ウミネコがたくさん羽を休めていた。ここで酒田で食べられなかったラーメンのリベンジってことで、魚粉ラーメンというのを食べる。
その後内陸部の五所川原市にある「立佞武多(たちねぷた)の館」まで移動。ここで先週の雨で警戒警報が出た岩木川を渡ったが、もう1週間弱経ってるのに、川は河川敷からは引いてはいるものの茶色く濁ってごうごうと流れ、河川敷にも泥の跡がかなり上の方まで残っていた。
「立佞武多の館」は中が4Fまで吹き抜けになっており、ここに先週あったねぷた祭で実際に使った高さ22mとかある高いねぷた(なので立佞武多)が3体、展示されている。これはなかなかの迫力で、内部から明かりで照らされて美しい。この周りを、4Fかららせん状に廊下を降りて来る、そのねぷたと反対側の壁にいろんな展示がしてあるという趣向だ。
もともと一時期、電線などに引っかかるという理由で高さが低くなってしまっていたねぷただが、1996年に約80年ぶりにかつての巨大なものを復活させ、それ以来この立ねぷたが毎年出るようになったとか、そういうことがよくわかって、これらの展示も興味深い。
てことでこれで旅もおしまい。新青森駅まで行ってレンタカーを満タン返しし、ちょっと時間があったので新青森駅でお土産とかを買って、17:44の新幹線に乗り大宮から我が家に帰ってきた。いやぁ関東の暑さは気温も湿気もひどいもんだ。
最後に行きたかった「十二湖」を諦めざるを得なかったのは悔いが残るものの、超悪天候を覚悟して行った割には、意外にうまいことその隙間を縫って、東北地方日本海側の美しさや風や自然や文化を感じられた旅でした。
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