ちょっと前までずっと悪天候のようなことを言われていたのが、土曜はかなり晴れ、日曜も持って、月曜も朝まで荒れ模様だったけど、その後時々陽が差すような天気になったのは、あれだけお願いした賜物だったのだろうか。てことでこの3連休は、カミさんと車でミニ旅に行って来た。
今回の旅は、前にも書いたけど、前から行きたいと思っていて、近頃「高層湿原マニア」を自認しつつある我々夫婦としても、行っておかないとモグリと言われても仕方のない、日本の高層湿原では、尾瀬ほどの規模ではないが、標高2,000mの高地に広がる有数の湿原、奥鬼怒沼とその周辺に行くのが最大の目的だ。コロナ前に1度予約を取ったのだが、その時は台風が来てしまって、残念ながらキャンセルしており、その後行けていなかった。
8日はまず朝8時前に出て、4日に配信開始になったユーミンのベストを聴きながら、スッカン沢と呼ばれる沢沿いの遊歩道がある場所の駐車場に向かう。この遊歩道は3年前に、奥鬼怒に行くのを断念した代わりに行った塩原紅葉狩り旅行の時に行こうとして、台風の影響で通行止めになっていたところで、今回はそのリベンジということだ。
そう言えばその3年前の塩原旅行の時は、高速の渋滞を避けるためにとんでもない裏道をしたんだったな。今回は王道の外環道→東北道のルートで行こうと思っていたのだが、なんとないことに外環道がいきなりの事故渋滞で、仕方ないので首都高5号線に入り、さいたま新都心から見沼で出て、下道を岩槻まで走るという初の体験をした。
だがコロナ禍の影響か3年前よりは渋滞はひどくなく、岩槻から先はほぼ渋滞なしで、東北道を矢板北スマートICで降り、「八方道路」と名付けられた道を通って、予定から20分ほど遅れたが10:50頃には駐車場に着いた。前日までの雨のためか、「八方道路」には落ち葉や枝が道路脇にたくさんころがっていた。
「雄飛の滝線歩道」と名付けられたこの遊歩道を、途中「素簾の滝」「仁三郎の滝」を観ながら、「雄飛の滝」まで歩いて行く。本来ならもっと奥まで続いていて、いくつかの滝を観られる遊歩道だが、今は「雄飛の滝」のちょっと先の「大木のカツラ」までで行き止まりになっている。
気温は13度ほどだが陽は差しており、前日までの雨天のためか道はところどころ水が流れていて湿気が適度にあり、川沿いの遊歩道はとても爽やかだ。最初の「素簾の滝」はその名の通り簾のように岩肌を流れるものだったが、「仁三郎」「雄飛」の2つは、高さはないが多い水量もあってなかなか豪快だった。思いのほか樹齢を重ねて太く立派な「大木のカツラ」まで行って戻ってきたが、事前に調べた案内ほどは時間はかからず、12時過ぎには車に戻ってコンビニで買って行ったおにぎりを食べる。
12時半ごろ出発し、ここから奥鬼怒の女夫渕駐車場まで約2時間のドライブだ。この駐車場から先は一般車は入れないので、ここで今日の宿「加仁湯」の送迎バスに乗る。15時を逃すとこのバスは17:30まで来ないので、ちょっと早めに着くように行ったが、この日は客が多いのか、14:40頃には乗ったバスが出発した。
「加仁湯」は戦前からある由緒ある宿で、その後増築し規模はかなり大きくなったようだが、宿としてはいわゆる古き良き日本旅館的なサービスだ。ただ、食事は旅館メシだが味はかなり美味だし、内風呂とそれとは別に4つほどある白濁した温泉がとにかくよい。着いた日は内風呂--湯加減がちょうどよいのよ--に入ったが、翌朝はカミさんは女性専用の露天に、ぼくは混浴の露天に入った。
奥鬼怒には宿は3軒だけだが、比較的メディアによく出る「八丁の湯」も風呂はよさそうだけど、この「加仁湯」もかなりいいんじゃない?湯治だけで客が来るというのも納得だね。奥鬼怒沼に登るには「八丁の湯」よりロケーション的に近いし。
先週書いたレコーダーは、早速役に立った。ここはもともと電波が悪いためか、恐らく東京の電波をどこかから引いてきていて、特に何も設定を変えなくても使えたのもよかった--翌日の宿では地域設定を変えないと使えなかった--が、先週観るヒマないけど観てもいいかなって番組を録っておいたので、それを観れたのもよかったし、土曜夜に始まった新ドラマを録画しておいて翌日観れたのもよかった。
8日は夜10時過ぎには早寝をし、9日は朝6時に起きて、朝湯の後ちょっと早めにしてもらった朝食をいただいて、8時前には「加仁湯」を出る。ここから30分弱行った「丸沼分岐」で道を右に折れ、この先1時間ほどが今回の旅で最もキツい登りだ。2分登っては30秒休むみたいな登り方しかできない。「オロオソロシの滝」が観える展望台から40分ほど登ると、部分的には急なところもあるが、全体に登りが緩やかになり、一部木道や木の階段が設えられるようになる。この緩やかな登りを40分ほど行って、10時半過ぎには奥鬼怒湿原の入り口に着いた。
いやしかし、先週平地でも急に気温が下がったのが先週末には少し持ち直したとはいえ、標高2,000mともなるともう気温的には真冬で、登りでは汗だくになったが、湿原では厚手のパーカーとか上着を重ね着する。紅葉はところどころにきれいな木はあったものの、全体としてはまだ早いかな、って感じで、これは一番上まで行っても変わらなかった。ただ湿原の苔の一部が紅葉して紫色になっているのはきれいだったな。
湿原は一番奥まで行っても700mほど、幅は400mほどの広さだが、ところどころに池塘があり、奥には奥鬼怒山の低いピークが見え、いやいや、これぞ高層湿原って感じだったな。登ってる途中は時々陽が射したりもしていたが、湿原ではどんよりとした曇り空で、途中霧に巻かれたりもしたのだけど、これが晴天、青空だったら素晴らしかっただろう。
宿に作ってもらった弁当を食べ、11:50ごろに湿原を後にし、元来た道を下っていく。下りは登りよりは早いだろうと思っていたが、確かに汗はかかないし細かく小休止する必要はないものの、岩や木の根が出っ張り、水たまりが随所にある道を降りるのに、カミさんがかなり慎重に足を--手も使って--運んだため、結局行きと大差なく、2時過ぎに「加仁湯」まで戻ってきた。荷物をピックアップし送迎バスに乗って、女夫渕駐車場へ。川俣温泉を右折し、山王林道という道を通って、奥日光へ向かう。
この山王林道も紅葉の名所と言われるのだが、ここもまだちょっと早かったようで、途中一部の山の斜面にきれいなところはあったものの、車を停めるほどの感じではなかったかな。以前日光湯元からハイキングした終点の光徳牧場を通り、国道120号に出て、1時間ほどで16時ちょうどくらいに、竜頭の滝のそばにある今日の宿、「リバーサイド渓」に到着。
チェックインしてから、翌朝の天気がよくなさそうだったので、もうだいぶ暗くはなっていたが、歩いて3分ほどの竜頭の滝を観に行く。ここに来たのは何年ぶりになるのか、やはりこの奥日光では、この滝がもっとも豪快で滝らしい滝だ。ここも紅葉の名所と言われ、例年だと今頃の時期はピークなのだが、今年はやや遅れているようで、まだ一部の木が色づき始めたかな、という感じだった。
「リバーサイド渓」は、多分前に建っていた宿を買い取ってリノベしたのかな?その後数年しか経っていないはずだが、ログハウス風のおしゃれな建物で、貸切温泉がウリの宿だ。「加仁湯」とは違ってオートロックだったり、2つある温泉の使用状況が各部屋の前に置いてあるタブレットで参照できたり、設備は最新で、ちょっと贅沢して「プチスイート和洋室」というのを予約したのだが、ベッドルームと続きの8畳ほどの畳の部屋に、入口ドアやトイレや風呂・洗面所に行けるフローリングが6畳ほどの広さでついている。
食事は汲上げ湯波と日光豚しゃぶしゃぶ着きのものにしたのだけど、全体として和食で旅館メシに近くはあるが、より洗練された感じで味はよく、これで、ハイシーズンで「加仁湯」が一番高くなっている時期とは言え、それよりも安い(2人で46,800円)ここは、コスパもよいいい宿だね。じゃらん口コミ総合4.8と高得点なのもうなづける。
10日は6時半ごろ起き、前日空いてなかった露天付き温泉の方が空いたとみるやすぐ入りに行き、8時からの朝食の後、車で昨日来た国道120号を日光湯元方向に戻り、赤沼自然情報センターという施設のそばの駐車場に車を停める。早朝降っていた雨は朝食の頃にはやみ、時々陽も射してきた。ここから「低公害バス」に乗り、小田代原で降りて、戦場ヶ原を通って戻ってくるコースをハイキングだ。 竜頭の滝に行く予定を前日に前倒しした効果で、予定より1本早い9:25発のバスにギリギリ間に合った。
この辺の草原は、ホザキシモツケやトダシバなどの湿地性植物で、これが例年9月末ごろに一斉に紅葉する。こういうのを「草紅葉」と言うらしい。今年は紅葉が全体に遅れている分、草紅葉も少し遅れており、小田代原では一面赤い草原を観ることができた。
小田代原から戦場ヶ原の方に向かい、泉門池(いずみやどいけ)と言う水が澄み切った池に出る。この辺の森は広葉樹中心のところが多く、この日は気温も高め--標高1,400m近くだが多分17,8度はあったと思う--で、雨上がりで湿気もあり、樹間から陽が当たるとものすごく美しい。 紅葉している木は少なかったが、ツタウルシが他の木に寄生して、この葉が紅くなっているのが多く見られ、これもきれいだ。
湯川に沿って戦場ヶ原の縁を通る木道を歩いて行く。広い湿地帯の向こうに、頂上だけは一部隠れていたが男体山の雄大な姿が見える。この木道は一部が弱って、9月末まで補強工事をしていて通行止めとのことだったのもあり、ここに来る時期を遅らせたのだが、実際には9/17日から通行可能になったらしい。連休に間に合わせたんだね。赤沼まで戻ったのがちょうど12時頃で、ハイキングマップの標準時間よりも20分ほど余計にかかった。ぼくもカミさんも足の、特にふくらはぎからアキレス腱の辺りが相当疲労していたうえ、カミさんは前日の奥鬼怒沼からの下りで足の親指の爪を痛めており、かなりゆっくりしたペースで歩いたからね。
「赤沼茶屋」というところでそばとちまきを食べ、また車で元来た方へ戻って中禅寺湖の方へ向かって行く。少し時間があったので、湖尻の繁華街を通り過ぎ中禅寺湖展望台まで行く。かなりの高さから望む中禅寺湖は、一部正面に林があって全体が見えないのが残念だけど、なかなかの絶景だ。尾根の湖と反対側からは雲が登って来ており、雲海になっている。
それから湖尻まで戻り、カミさんが華厳の滝って超久々--そんなことないハズなんだけど--と言うので、エレベーターで下までは降りなかったが上から眺めた後、近くにある「日光自然博物館」に行く。ここは奥日光の自然や歴史に関する展示や映像を観ることができ、本来なら先に寄ってから戦場ヶ原に行くべきところだが、まぁ今回は奥地から戻ってくるコースを取ったので仕方がない。
それから15時に出ていろは坂を降り、高速に乗って、途中合計25kmほど渋滞はあったが、18時ごろ地元に帰って来て、ガストでハンバーグを食べた。今年は暑い時期が長く続いたので、ちょっと紅葉ピークは外した感があったし、足は今も痛いけども、遅れていた草紅葉は観れたし、雨に降られることは一度もなかったし、まぁまぁの旅だったのでは?レコーダーのリモコンを宿に忘れてきてしまい、送ってもらうことにすると言うオチがついたのだけどね。長くなってスミマセン。
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