中部城巡り旅の5日目は、まず四日市から車で30分ほど移動して、名古屋港の突端にある巨大な金城ふ頭駐車場に車を停める。この近辺にあるレゴランド・ジャパンとリニア・鉄道館に行くためだ。
レゴランド・ジャパンは10年前から営業しているブロック玩具レゴのテーマパークで、世界で8番目の開業だという。なぜここに行ったかというと、ぼくは子供の頃レゴが大好きでね。従姉妹とかが持ってたものも全部もらい受けて、かつての百貨店の紳士服入れの箱に丸々3つ分くらいのブロック類が、今でも我が家にある。
小学校の頃は本当にこれでよく遊んで、その後も時々引っ張り出しては没頭し、家やら乗り物やら線路やら、いろんなものを作っていた。最たるものとしては、都立高校受験の前日に、何を作ったかは忘れたが半日くらいレゴで遊んでいて、オフクロに呆れられたことがある。
息子が小さいころ、これで遊ぼうとけっこう誘ってみたものだが、息子はあまり興味を持たなかった。なので次のターゲットは孫だ。てなことで、まぁ往年のレゴファンとしては、ここには行っとかないとね、ってことで。
事前にオンラインチケットを買っていたレゴランドは、スマホのバーコードでサクッと入れた。中の広さは大したことなく、ディズニーランドの「○○タウン」とかの2つ分くらいかな?一応事前にどのアトラクションに行くとかは考えてあったのだけど、レゴブロック製作の工程を見せてくれる「レゴ・ファクトリー・ツアー」とかは興味深いものの、全体としてはちょっと対象年齢層が低いかなぁ。
ジェットコースタの1つがやや本格的--とは言っても高さや急勾配とかはない--な他は、ほとんど幼稚園から小学校低学年くらいの子供が乗れるようなものばかりで、ディズニーランドみたいに大人も楽しめるという要素はやや薄い。なので平日だが子供連れが多い。ただ、実際にレゴブロックで何かを作るとか、そういうワークショップ物が多いのが特徴か。そうして小さい子にレゴファンを増やそうという戦術は、まぁ当たり前っちゃ当たり前だがまっとうだ。
ぼくは園内を一望できる「オブザベーションタワー」とか、劇場の実演劇、3D映像ものとかを中心に、6つほどのアトラクションを見たり体験したりしたが、実演と映像は開演時間が決まっているので、予定よりも少し時間を食うことになった。途中それらの待ち時間にメインのショップに行って、幼児用の大判のレゴ「デュプロ」のブロック型ケース入りのセットを、孫にお土産として買った。
まぁしかし、近ごろのレゴは顔を書いたものとかいろいろ特殊なブロックが増えていて、自由に何かを作るというよりは、目的のものを作るためのセットみたいな要素が濃くなっている。アトラクションもそういうのに沿って企画されているものが多い。往年のファンとしては、それだったらレゴで作る必要ないんじゃん?と思ってしまう。まぁその方がわかりやすいからとっつき易いということで、仕方ないのかな。
レゴランドを12時半頃出て門前のショッピングモール内のラーメン屋で飯にし、ここから10分ほど歩いて行ける「リニア・鉄道館」に向かう。こちらもね、ぼくは一応かつて鉄オタの走り--ぼくの場合は「地図鉄」なんだけど--だったので、行っとかないと、というJR東海運営の施設だ。
ぼくは小学生の頃、東海道本線、山陽本線の駅は東京から順に全部丸暗記し、今でもそれは、少なくとも神戸までは間違わずに言えるのだが、これをやったおかげで、いわゆる「太平洋ベルト地帯」内なら何という都市がどこにあるか、ちょっと考えれば大体わかるという能力を身に着けた。このことは、地図をはじめ地理的なことに興味を広げるのに、大いに役立ったと思う。かつては車体番号の意味(クハとかクモハとかね)なんかもよく知っていたのだが、そこら辺は残念ながらもうほとんど忘れてしまった。
この「リニア・鉄道館」は、1Fの広いフロアに新幹線各型から古い歴史上の列車までいろんなタイプの車両の実物を展示しており、その周辺を運転シミュレーターとかリニア新線の計画の詳細の展示、大掛かりな鉄道ジオラマなどが囲んでいる。ホントの鉄オタには、それらでは情報量的には今一つかもしれないけど、実物の展示なので、これは嬉しいんじゃないだろうか。
駐車場から車を出して、名古屋近辺の高速の分岐の複雑さにちょっと道を間違えたりしながら、次に向かったのはトヨタ産業技術記念館だ。ここは自動織機中心だった時代の織物系の展示館と、自動車の展示館に分かれて、トヨタの起業以来の歴史を、実物の機械や車を並べて展示している。
きれいかつ丁寧な展示で、コンパニオンのお姉さんもたくさんいて、織機や車の歴史がよくわかるんだけど、考えてみたらぼくがトヨタの車に乗っていたのは、学生時代のカローラⅡまでで、それ以降ないんだよね。
トヨタと言うメーカーについては、ぼくがその後ずっと乗って来たマツダなんかに較べれば、王道の大衆車を大量生産して、シャシーの共通化でコストを下げ、数の論理でトヨタ銀行と言われるほど稼いできたやり方は、企業としてすごいとは思うけど、常に80点という感じで、ホントのクルマ好きが好むような突出した特徴を持つものは、基本的に作らないよね。FCEVとかは作ってるけど、まぁ高すぎるし、広告塔だわなぁ。
この日の宿は名古屋の商業の中心街栄にある、「ドーミーインPremium名古屋栄」だ。愛知ではまた全国旅行支援が使えたので、夕食はこのクーポンを使って、歩いて8分程の「矢場とん栄セントライズ店」で味噌カツを食べる。うん、普通に旨い。
旅の最終日はまずこの旅最後の城、名古屋城に向かう。「健康」のマキゾエは、ぼくらの通っていた都立青山高校に転校してくる前は名古屋の高校に通っており、もともと名古屋人だったのだが、彼が名古屋時代に作った曲に、「尾張名古屋は城で持つ」というのがあった。
ポップスのタイトルとしてそれってどうよ?なのだが、曲自体も、明るいのはよいものの、サビで「尾張名古屋は城で持つ」を連呼する、その後D社のCMクリエーターとしてそこそこハイセンスな映像を作っていた彼にとっては黒歴史とも言えるもので、もう1曲の「江戸町ロック」という曲と共に、大学時代はけっこう我々の酒の肴になっていた。
その名古屋城は、戦災で一部の櫓などを除いて消失してしまい、天守はコンクリート造りで再建されたが、今は耐震強度不足で中には入れない。その代わりというか、天守の手前に、2018年に再建が成ったばかりの「本丸御殿」があり、これは中を存分に歩き回れるのだが、これがなかなか素晴らしい。
もともとは尾張徳川家が藩主の住居および藩の政庁として1615年に建築したらしいのだが、戦災で焼失したものを、当時の写真や資料をもとに忠実に再現したとのことで、襖絵とか欄間とかの造作が大変に美しい。先月WBCの前哨戦で名古屋に来た大谷選手がサインしたという木の切り株なんかも展示してあった。
それから西ノ丸御蔵城宝館という、もともとここにあった蔵を再現した建物の中に展示している、重要文化財の障壁画などを含む名古屋城所蔵品を観て、車に戻り熱田神宮に向かう。
熱田神宮の歴史は古く、三種の神器の1つ草薙神剣が収められ、この剣に成り代わったものとしての天照大神が祭神で、伊勢神宮に次ぐとも言われる由緒正しい大社だ。日本武尊がこの剣を持って蝦夷征伐に出た際、ご当地の宮簀媛命と結ばれ、東征から戻ってこの地に長く逗留したが、その後この剣を媛命に預け出征、その先の伊吹山で亡くなったと伝わる。
その本宮はさすがのなかなか荘厳な造りで、ここにお参りし、娘と嫁に昨年秋に行った出雲大社に続いてお守りのお土産を買い、おみくじを引き--「吉」だった--、参道の途中にある「宮きしめん」できしめんをいただく。お出汁が関西風というよりは、関東のように真っ黒ではないもののかなり濃い目の色と味をしているのに驚く。
それから「剣の宝庫草薙館」や「文化殿(宝物館)」を観る。多くの刀身が飾ってあるのが特徴的だが、出雲大社の宝物館ほどのコンテンツの充実感はなかったかな。
てことで今回の中部城巡りの旅はこれにておしまい。熱田神宮から新東名→東名→圏央道→関越とたどって、ほぼ地元に戻って来てから、「王将」で餃子と春巻きを食べ、20時ごろに家に帰って来た。いやいや、今回もなかなか充実した旅でした。次の一人旅はまだ計画を立てていないのだけど、どこに行こうかな。その前にGWは3日から、カミさんと渋めの茨城南部の旅に行ってまいります。
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