今日はカミさんと竹橋の国立近代美術館まで東山魁夷展を観に行った。
ぼくはどっちかって言うと抽象画が好きで、その中でもミロとかクレーとか、意味はよくわからないけど色使いがきれいで楽しげな絵が好みだ。なので東山魁夷にはそれほど興味はなかったんだけど、カミさんが好きで、2月中ならペアチケットが安くなるっていうんで、ローチケで取っておいた。
で、今日は天気が悪かったんだけど、娘が朝から友達と出かけるというので、じゃあ行こうか、ってことになった。
昨日たまたまタイミングよくテレビ東京で、30分番組だけど東山魁夷のドキュメンタリーをやっていて、彼の下積み時代とか、徴兵されたり、家族が次々と亡くなったりといった苦労を重ねて、1947年に「残照」という絵が日展で特選となって世に出た、等々の事前情報をインプットすることができた。
東山魁夷というと、青緑系のカラーでわりあいボーっとした癒し系のイメージがあったんだけど、その下積み時代の絵は、わりあいはっきりした線が多かったり、世に出た後にも、絵をじっくり観ると意外に1本1本の木を表現するのに鋭角を多用していたり、青緑以外にもいろんな色調の絵があったことが、新しい発見。
特に一番気に入ったのは、彼が北欧を旅した後に描いたというこの「映象」という絵。モノトーンっぽいけど微妙なこげ茶色の中に、白で描いた木々が、同じこげ茶の湖に映っている。
この「冬華」という絵もかっこいいよね。なんだか全体に気温が低い凛とした静寂の中に、暖かみを感じさせる画調が多いんだけど、暖かみの要素がない絵の方が、逆に潔くて好きだったな。(この写真、ちょっと汚くなっちゃってすいません)
唐招提寺の御影堂の襖絵は、1975年というからもう彼が70歳近くなってから描かれたものだけど、正面の10枚ほどの襖の右奥の方向から、左面のやはり10枚ほどの襖へ向けて、波が斜めに打ち寄せ通り過ぎいていく様子が描かれていて、その構図というか座敷全体をキャンバス(海)にしてしまう設計構想力がすばらしい。
1999年に90歳で亡くなる直前まで絵を描き続けた精神力といい、やっぱ一流の人はすごいな、って思えて、すがすがしい気持ちになれました。
コメント