なんか、何書こうか考えていて、ふとこの「世界一短い日記」っていうフレーズが浮かんで、ちょいとだけ連想したところで、こりゃ書けるかもって、無鉄砲にも書き始めてしまった。
つまり、日本語で最も短い日記は、一文字の日記でしょ。「あ」とか。そん時に、一文字でも何らかの意味を込められる文字って、いくつあるんだろうって考えてみたら、結構深いかもなって思っちゃったわけさ。
まず母音は全部行けるよね。「あ」「い」「う」「え」「お」。これって結構すごいことじゃん?だってそれぞれにちゃんと意味があるわけよ、日本語って。順番に、気づき、驚きor不審、痛みor苦悩、問い返し、ちょっとした驚愕、みたいなさ。
しかも「あ」とか「え」とか「お」とか、太古の昔から、まったく同じかどうかわからないけど、「ああ」とか「おぅ」とか、類似の感嘆詞を持っていたと思しきモノもあれば、たぶん「う」とか、間違いなく「い」とかは、近年のマンガ的表現とか、そういうところから派生している、比較的新しい言葉だったりするわけじゃん。
そしてさらに「か」行から順番に下って行くとですね。あ、「き」みたいな、一文字で名詞としての意味はあるけど、人間の感情を表す言葉じゃないものは対象外ね。それじゃ日記として意味をなさないわけだしね。「き」の場合は「きーっ!」なら意味を成すけど、単一文字じゃやっぱ無理があるよね。そういうのは対象外。
となると、次は「く」(屈辱or復讐)、「さ」(割り切りorさばさば・・・ちょっと無理あるか)、「そ」(軽い同意)、「ち」(悪意のある残念)、「と」(気づきor軽い納得or例示)、「な」(同意を求める・・・男性寄り)、「ぬ」(かなり漫画的だけど、反感)、「ね」(同意を求める・・・女性寄り)、「は」(疑問or問い返しor拝命or嘲笑)、「ひ」(これも漫画的だけど、恐怖)、「ふ」(安心orほくそ笑み)、「へ」(少しコメディ寄りの問い返し)、「ほ」(安堵or軽い納得)、「ま」(つまり、的なまとめと納得)、「む」(不審)、「や」(昔的な不審)、「よ」(挨拶)、「わ」(驚き)。清音だとこれで全部か。
ちなみに「の」は疑問形だけど、単独で意味を持つという解釈は無理があるよね。なので対象外ってことで。
濁音まで考えるともっとあるけど、とりあえずここまでで、50音中23音、ほぼ半分じゃん。これってすごいことじゃね?日本語の深さを感じない?アルファベット26文字で同じことしたら、英語の知識ないけど、少なくともここまではないよね、きっと。
「あ」行に続いて、「は」行も5音ともOKなんだね。これまたなかなか興味深い。「は」行って、そんなに発音しやすい行じゃないジャン、みたいなことまで考えるとさ。
こういう感情を表すイメージで、これらの文字を図案化したアートなんて、ないのかな。ありそうだよね。モダン書道みたいなやつ。googleでちょいと検索したくらいじゃ見つからないけど。
そういえば太宰治の『斜陽』の書き出しが、お母さまの幽かな叫び「あ」についてだったよね。そういう正統派の文学って、ぼくは実はあまり読んでないのだけど、「ふとどうしようもなく恥ずかしい過去の経験を思い出すと、思わず口をついて『あ』という言葉が出てしまう」っていうエピソードは、自分では気づいてなかったけど、確かにそうだなぁ、深いなぁ、といたく感銘を受けて、記憶に刻み込まれているのだけどね。
ってことで、今まであんまり書かなかったけど、こういう、日本語のいろんなことどもについて考えるのって、結構好きなんですよね。逆に日本語の乱れとかも、実は結構気になる性質だったりする。例えば最近スポーツ解説の頭の弱い(失礼)方々がよく使う、「有効的」って表現って、おかしくね?みたいな。「この攻撃は有効的ですね」とかさ。「有効ですね」でいいじゃん。元々形容動詞なんだから、さらに「的」をつけて形容表現にするって、文法的に間違ってるジャン。
とはいえ辞書にも載ってるから、正しくないわけではないとは思うものの、なんか変じゃないですか?頭悪そうじゃないですか?あ、でもIME2007の変換候補には入ってるけど、Yahoo!辞書の見出し語としては載ってないな。Yahoo!辞書、正しいじゃん、お前。
あらま、これはまた新しいカテゴリを作んなきゃな。しかしこれまた、写真の貼れないテーマだな。困った。しかたないので、25年前、カミさんとつきあい始めたころまで、断続的にだけど約8年間書いていた手書きの日記の最後の1巻を取り出して、四半世紀ぶりにその新しいページに「あ」なんて書いてみました。しかし汚い字ですこと。
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