ぼくがお気に入りでずっと観ていたTV番組、「恋するハニカミ」が、芸能人同士のデートから、だんだん普通のトーク番組になってきちゃったなと思ってたら、ついに今年の3月で終りになってしまった。
そのあとに始まったのが鶴瓶が司会のトーク番組、「A-Studio」だ。これがなかなか出色のプログラムなのです。
「A-Studio」の「A」とは、Actor、Actress、Artist、Athleteの「A」だそうだが、まずゲストが魅力的。長澤まさみ、キムタク、瑛太、水嶋ヒロなどのいま旬のゲストたちが次から次へと登場する。
そしてこの番組で他のトーク番組と際立って違うのが、鶴瓶自身がゲストの家族とか、学生時代の友人とか、いろんな関係者に直接実際に会いに行って、徹底的に取材を行うところだ。場所が地方だろうがどこだろうが、これをきっちり行う。それを構成してトークテーマを組み上げて、それに沿ってトークを導いていく。本番の撮りに加えて、この取材や構成で少なくとも週1~2日は使っているはず。その真摯な制作姿勢が素晴らしい。
本人を招いてのトークを切り上げて、最後は本人が舞台裏でモニターを観ているところで、鶴瓶がそれらの取材から拾った「いい話」を、客席に向かってする。これがまた取材データの質の高さと、話の内容の拾い方がハイセンスなので、本当に毎週「泣ける」のです。
おとといのゲストは今や性格俳優として最も旬な香川照之だったんだけど、鶴瓶が主演して彼も出た「Dear Doctor」や、カンヌに出品した「鬼が来た!」、「劒岳 点の記」などの映画の話をした後、その最後の話となった。
それによると、香川が学生時代の友人にいつも語っている話として、「役に取り組むために減量とか痛い目にあったりするのは当然だ。こんな、なくてもいい商売で食わしてもらってるんだから、そのくらいはあたり前だ」と。
それに対して鶴瓶が言うには、自分もそう思うことがある、だけど、と。以前知人に言われたんだけど、その知人の先輩がニューカレドニアに赴任することになって、フランス語を覚えないといけないことになった。ところが30近い歳になってそれが全く頭に入らない。覚えなきゃいけないのに覚えられない。そういう追い詰められた状況になって、彼がどうしたと思う?と。
彼はまわりにウソをついて成田に戻り、まっすぐに寄席を観に行った、と。お前のやっている仕事はそういう大事な仕事なんだ、と。映画が好きな人は映画を観に行く。お笑いが好きな人はそういうとこに行く。そういうみんなの心の拠りどころになってる大事な仕事なんだぞ、と。
それを聴いて、そういう仕事をやらしてもらってることの幸せと、一方で自分の身もきちっと律していかないと思った、って。いい話でしょ?裏で聴いていた香川が、今のお話、ホントにありがとうございました、と言っていた。
なんかこういういい場面って、ドラマでもバラエティでも、何度も観ちゃうんだよね。それはそれでお恥ずかしい話ですが。
別にTBSに恩も借りもないけど、「A-Studio」、いい番組だから、よかったら観てね。金曜の23時からですのでね。
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