このところずっと忙しくて、8月の後半ごろからだからもう2ヶ月半になる。
仕事のことは原則として書かないことに勝手にルール決めしてるんだけど、忙しいのは今いる会社の、ベンチャーとしては一世一代の、オーナーではないけど12F建ての、オフィスエリアである5F~12Fのテナントが、4フロアを使う自社グループを始め、全て関連する会社たちと言う半自社ビルへの移転のプロジェクトリーダーに、8月からなっているためで、ぼくは今年の末からはここにいるよーってことを言っといても悪くないかと。
いろいろと事情があって、社名そのものではなく、「代官山デジタルゲートビル」と名付けられたこの新ビルは、10月末に竣工し、11月2日に引き渡しを受 けた。代官山の中心地から旧山手通りが短い坂を下って駒沢通りと合流する鑓ヶ崎の交差点から、駒沢通りを恵比寿駅の方へ少し行った右側にあり、恵比寿駅から歩いて6分、代官山駅から歩いて3分という好立地だ。
ぼくは今は亡き大和田小学校という、当時渋谷駅から一番近かった小学校に4年から通学しており、その後中2まで、住所は南平台だったけどいわゆる三木元首相の住む高級住宅街からははずれた、車通りの多い学区域境の一方通行路に面したオヤジの社宅に暮らしていたため、代官山があんなに開けるずっと前から、当時はどちらかというとこちらの名称の方がメインだった鉢山町、猿楽町の駄菓子屋とかに、チャリンコに乗ってしょっちゅう出かけていたので、精神的には地元感を持っている。もっとももうすっかりおしゃれな街に様変わりしちゃって、こんなファッションに対する優先順位の低いオヤジには、とても踏み込めない場所になっちまったけどね。
前の会社リクルートは、ぼくが辞めた後に東京駅八重洲口のすぐ南にある42F建てのサウスタワーにほぼ集結したようだけど、それまでは新橋近辺のいろんなビルに散在しており、とにかく入社以来、引越は日常茶飯事だったので、移転と言っても特別感がないのだけど、今の会社にとっては、約10年ぶりとなる大イベントだ。買収・吸収合併したり、設立した子会社が都内に散在しているのを、そのビルに集結させるのだからね。
社長がとにかく美的感覚に優れた人なので、社長の部屋やその近辺、総合エントランス、パーティーをできるスペース、全員を集められる大会議室に変身する可動間仕切りの応接室など、とにかくこだわりが多く、過去前の会社の社員100名ほどの子会社に出向してた時に、総務・人事・経理の責任者として執り行った全社移転に比べると、予算の規模も、細かな仕様の確認にかかる労力も、桁違いのプロジェクトだ。それを事実上社員4人で取り仕切っている。
こんなことがやりたくてこの会社に来たわけではなかったのだけど、この不景気に新規事業のネタもそうたくさんは転がっておらず、まぁでもわかったのは、こういうお尻の決まってるプロジェクトを、スケジュールとか予算を立てて、社長をはじめ各方面にいろんな了解を取りつつではあるものの、自分の意思で動かしていくってことが、結局好きなんだなってことかな。
なかなか難しい、しかしこれはレーゾンデートル(存在意義)なのよ。プランナーではなくリアライザーというかコンストラクターというか、とにかく実務者であることの方が、本人の志向とは関わりなく人から得意だと見られ、しかもルーチンはこれっぽっちもやる気がない、あくまでプロジェクトマネージャーだと言うこの位置どりは、手に職は付かないわ、口さがない経営陣の中での「目立ち方」のバランスどりが難しいわ、これが終わっちゃったら一体何やるの?っていう風来坊さ加減だわ、でさ。
まぁでも、情報セキュリティだの、個人情報保護だの、日本版SOXだの、元々出向から戻ってきた時に言われたミッションたち--前の会社のO先輩には、「お前それ、嫌いかも知れないけど向いてるよ」って言われて悔しい思いをした--だけっていう精神的な退屈さに較べれば、少し帰りが遅くなったとしてもぜんぜんマシだ。
しかしまぁ、良くも悪くもベンチャーですわ。いろんな意味で。リクルートの偉大な諸先輩たちが、「つまらない会社になった」と嘆いて辞めていった気持ちが、身に沁みてわかるほどのね。ぼくが入った平均年齢24歳代の事件前のリクルートの、いろんないいかげんさや無茶振りさが濃厚に残っていて。
秩序好きとちゃらんぽらん好きの、自分自身の微妙なバランス感覚を、いいように刺激してくれますですよ。
移転まであと50日を切り、見積もりが出そろって来て、大どころの予算の費消が見えてくる中、これからはとにかく身を粉にして、電話番号決めたり、マニュアル作ったり、引越のための各種図面を現場に作ってもらったり、リアライザーとしての本領発揮をしていかにゃならん。
12月19日の週末から2週かける引越が終わったら、お近くをお通りの節にはぜひお寄りくださいませ。大したおもてなしもできませんが、うん千万かけたエントランスホール脇の丸テーブルで、お迎えいたしますですよ。
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