さてさて、昨日はワタクシの40代最後の誕生日でございまして、いろいろとメッセージやつぶやきをいただいた皆さん、ありがとうございました。
昨年は年男だったにもかかわらず、わが家族はぼくの誕生日をきれいに忘れており、日付が変わってからオズオズと、あのぉ、昨日ぼくの誕生日だったんですけど、って自ら申告する状況だったのだけど、その場では憎まれ口をききながらも、多少の反省はあったと思しきカミさんは、一時ほど行かなくなっていたライブ--なにせ彼女は居眠りしちゃったりするので--に、行く?って誘ったら、行く行く、と乗ってきた。
場所は青山のBlueNote東京、ここに行くのは、一昨年の同じ時期に、Dee Dee Bridgewaterを観に行って以来だ。
昨年後半から、自分のバンドHiromi's Sonicbloomの活動を一時休止し、大御所ベーシストStanley Clarke、ドラムのLenny Whiteと組んで2枚のアルバムを発売した上原ひろみだが、このTrioでのライブは、日本では初となる。ぼくらは同じ一昨年の勤労感謝に日に、そのSonicbloomのライブを東京国際フォーラムに観に行っていたのだけど、やっぱり一番小さなHall Cとはいえ、2階席からだと直線で50m以上の距離があって不満が残ったため、一度間近で観たいと思っていたのですよ。
このバンドのリーダー、Stanley Clarkeと言えば、我々が学生だった頃に、George Dukeと組んでアルバムを出したりした大物で、特にElectric Bassを、右手の親指をまるでピックのように上下に動かして弾く早弾きのメロディアスなフレーズが独特なベーシストだ。わが「健康」の"リードベーシスト"みのりんも敬愛する一人で、彼はいまだに「うなじ」という曲で、Stanley Clarke風のソロを弾いたりしている。
会社を珍しく定時に出て、まず前の晩にサクッと調べて選んだ、表参道のイタリアンレストラン、Vino Vuonoで、肉とパスタとリゾットを食べる。2ndステージの会場時間である20:45ちょうどくらいにBlueNoteに行ってみると、多分ずいぶん前から長い列を作っていたのだろう、我々の受付番号は自由席で81番。そんなにたくさん自由席あったっけ?ってカンジなんだけど、入ってみるといわゆるアリーナ部分はもう埋まっていて、ステージに向かって左手の横の席に案内された。
もちろんあまりいい席とは言えないのだが、上原ひろみ嬢のグランドピアノの斜め後方5mほどの場所で、彼女の表情はたまに横を向いたときくらいしか見えないけど、彼女の手の動きはすごくよく見える。
彼女はこのバンドでは、基本的にサポートに徹する奥ゆかしさを見せてくれるが、1曲だけ日本人のホーンセクションが参加したものの、ほとんどの曲ではリズム隊の他、暴れる楽器としては彼女のピアノしかないという状況の中、たびたび回ってくるソロの場面では、思い切りのパフォーマンスを見せてくれる。
やっぱ超一流はすごいなぁと思うのは、左手の小指に至るまで全部の指が、曲想に合わせて時には柔らかく時には激しく、とにかく思い通りの強さで動くと言うことだ。前にTV番組で、指の強さを毎日鍛えるエクササイズを見せてくれていたけど、彼女の弾こうとしている音が、全部はっきりと聞こえるということが、当たり前のように思えて、実はすごいことなんだよね。
強さだけでなく、リズムの正確さもないと、そうはならないもんね。そういう基本がハイレベルでできているということが、一流の条件なんだよね。そしてその上にスーパーテクニックが乗ってくる。得意の右手と左手の超早弾き連続3連のフレーズも、ビシッと決めてくれる。うーん、すげえぜ。
Stanleyは、もともとElectricもAcousticもこなす人なのだけど、今回のステージでは終始ウッドベースを弾いていた。アンコールだけ横持ちのBassを持ち出してきたけれど、これもOvationというセミアコースティックの4弦ベースだ。ソロでは弦だけでなくボディーも手でタップしてしまって衝撃音を出す、あれはPA泣かせだろうなぁ、落ち着いた中にも往年の激しさを見せるプレイで、観客を楽しませてくれる。
センターにStanleyがいて、上原ひろみと向かい合うようにしてLenny Whiteがいる形なので、座った席からは彼のプレイはよく見えなかったけど、普通の右利きのセッティングなのに、4ビートの時のトップシンバルは、通常はクラッシュシンバルがある左側にセットしてあり、これを左手で叩くと言う、珍しい形だ。実はこの方が、手が交差せずに右手でいろいろ暴れられるので、理にはかなってるんだよね。ぼくにはとてもできないけども。
曲調はその4ビートあり、スクエアビートあり、ルンバのような南米系のビートありで、ジャズ風の曲から、かつてフュージョンと呼ばれた曲からとバラエティーに富んでいて、これまた楽しめる。
1stステージがちょっと長引いたのかな?2ndステージは、予定を押して9:45ごろ始まって、アンコールも含めて11時過ぎに終わり、1時間半もなかったのがちょっと残念だったけども、いやー、堪能させていただきました。なかなか素敵なBirthdayにしてくれてありがとう。
娘は一昨年はハンカチを買ってきてくれたけど、去年は上記のように忘れていて、今年はあらかじめ宣言していた通り、ライブが始まるちょっと前の時間に、携帯メールを1本送ってきて済ませると言う手抜きに出た。別に強要する気はないけども、もうちょっと愛があってもいいんじゃね?
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