7時から本番、その前に5時からサウンドチェック、ってことは、ドラムのセットアップを考えると遅くとも4時過ぎには入らなきゃ間に合わないじゃんか、と気づいたのは連休明け。大事な会議が入らないことを祈っていたが、金曜日は3時半ごろに早引けさせていただいて、車で六本木に向かった。わずか3回のリハで、高校時代の友人、クリスチャンのIに頼まれたバンドが、ライブ本番を迎えるためだ。
3回のリハと言っても、初回はギターのIと、2人のキーボードのうち1人、それとボーカル3人のうち1人しか集まらず、2回目でもう1人のキーボードとベース--ベースは高校時代の1コ上の先輩トシちゃん--が入り、3回目すなわち直前の2日前のリハでやっと、パーカッションと残りのボーカル2人が集まると言うハードチャレンジ。
しかも本番では生ストリングスとホーンセクション6人が加わり計15人と言うビッグバンドなのに、そのストリングスおよびホーンと合わせるのは、本番直前の現場リハのみと言う、いくら調整に疲れたと言っても、Iよ、あまりの強行軍だぞこれは。
さらに3回目のリハの前々日に、最後の曲を神父のリクエストで入れ替えると言うメールが来た。曲はこれだからとアカペラのYou TubeビデオのURLを記述したうえ、ドラムとベースは適当に入れてくれと言う。おいおい、それはあんまりだろうと、結局この曲にはドラムとベースは入らないことになったんだけどね。
だけど本番でメンバー紹介されるまで本名も知らなかった、Iが集めたメンバーたちは、プロとして活動しているホーンセクションの3人を始め、みなさんピアノの先生とか、それぞれに活動している方々なので、テクニック的にはそこそこの--上から目線で申し訳ないですが、つまりまぁおいらと同じくらいの--レベルだし、何より事前にちゃんとCDを聴き込み、スコアを読み込んで練習してくるちゃんとした人たちだったので、とても気持ちよかった。
テクニックより前に、そういう、社会人としてちゃんとしてることって、けっこうプロのミュージシャンになる必要条件みたいなとこ、別にぼくもギョーカイの人間でないけども、あると思うんだよね。ミュージシャンってアナーキーみたいな、芸術家≒感性で好きに生きてるみたいな先入観あるけど、それで食えてる人って実はかなり希少で、いわゆるスタジオミュージシャンとか、地道にお金稼いでる真の「プロ」たちは、みんなちゃんとしてる。
ホーンセクション以外の皆さんも、そこまでのテクニックはないけど、その必要条件までは満たしてる人たちだったので、「そこ、そうじゃなくてこういうリズムだよ」みたいな、学生アマチュアコピーバンドにありがちなプリミティブな指摘が必要な状況はあまり起きない。やろうとしてることは間違ってないのに、テク的に、あるいは記憶力の不足で、間違っちゃうのの修正というか訓練。これはリハとして極めて健全な姿だ。
とはいえアマはアマなので、その本番直前現場リハでも、ぼくも含めとんでもないミスがけっこう飛び出す。だって休みの小節が多い上、変拍子あり、2/4の小節ありだし、クリスチャンミュージックだから多分歌詞先なんだと思うんだけども、多くの普通の曲は4小節の倍数で構成されるのに、奇数小節のAメロとかサビとかが当たり前に出てくる、構成が複雑な曲が多いんだもの。
しかも全11曲、ドラムが入る曲が9曲。こんなに憶えられないっちゅーの。車の中で必死に繰り返し聴いたけど、カウントを出す時点でどんな曲だか思い出せてない曲もあると言う、過去経験したことのないリスキーなステージだ。
会場となった六本木の教会、フランシスカン・チャペル・センターは、六本木交差点の俳優座がある角の側の、ちょっと溜池寄りにあり、なぜIがここに通うようになったのかは訊いたことがないが、日本人ではない信者の方が多い、ちょっとくだけたプロテスタントの教会だ。
前にIを手伝ったのは、学生時代だったので、もうほぼ30年前だったはずなのだけど、さすがに当時の記憶はほとんど薄れており、あれ?こんな礼拝堂だったっけ?そもそも2Fにあったっけ?っていう状態だった。
だけど周りの景色の印象は、全然変わってしまったことは、なんとなくわかる。何せ目の前にミッドタウンの巨大なビルがそびえているのだ。前はけっこう建物が立て込んだ場所だった印象があるのだけども、ミッドタウンとの間は巨大なコインパーキングになってしまった。なんだかNYの摩天楼脇のバスケットハーフコートの手前に教会、というようなたたずまいだ。
そんな教会なので、神父も白人だし、礼拝や説教も基本英語で行われる。今回のバンドの3人のボーカルのうち、1人はあまり日本語が得意ではないようだったけども、2人は英語も日本語もネイティブと言う、完全なバイリンガルだ。従ってバンドのMCもすべて英語で行われる。
I自身も、まぁ今回はキーボードのうち1人が日本語が得意でなかったと言うのがあったのだけど、あれ?こんなに英語できたんだ、って言うくらい、普通に英語で会話をしていた。高校時代、ぼくとともに落ちこぼれだったあのIがだ。
この教会の礼拝堂はそんなに荘厳なカンジはないのだけど、それでも礼拝堂で行うライブと言うのはそれなりの雰囲気になる。いわゆるホワイトゴスペル以外にも、Gloria for Christmasや、その他賛美歌に近い曲も選ばれていたし、唯一の女性ボーカル、バイリンガルのRachelの声が、高く澄んでいるので、彼女の独唱で始まったライブは、なかなかSpilitualな趣だ。
途中、もう1人のバイリンガルボーカル、Matthewの東北ボランティア経験の話や、神父の説教などを、それぞれ10分ほど挟みながら、ライブはゆったりと進んでいく。
さすがにリハ不足で、ぼく自身も含め随所に細かなポカはあったけど、致命的なミスは奇跡的になく、それらの長いMCを挟んで合計1時間20分に及んだライブは、撮ったビデオで観る限り、全体としてはまぁまぁの出来で終えることができたんじゃないかな。
ビデオが長かったためか、これをいろいろ編集しようとしたら、音声が途中から消えるとか、トラブルが起こってしまい、その対応で昨日は結局このブログをサボることになってしまった。なんかSONYのビデオ取り込み&編集ソフト、PMBの調子が悪かったんだよね。
今日はそのPMBのマイナーバージョンアップをしたら復活して、うまいことチャプターを切ってAVCHD形式でDVDのディスクに収めることができた。
しかし金曜日のライブって言うのはいいよね。ライブ終えて帰って、それから2日も休めるんだもんね。勤め帰りに観に来てくれたカミさんと、途中ファミレスで夕食を食べて、家に帰りついたのが10時半くらいだった。
頼まれたときは正直少し億劫だったんだけど、直前にはけっこう楽しみになり、やってみるとかなり気持ちよい、貴重な経験になったライブでございました。
すてきですわ
投稿情報: まーこ | 2011/06/12 08:30