銀婚式記念ハイキングに行く

忘れないようにとわざわざ祝日にした割に、何度も名前の変わったこの「昭和の日」、4月29日は、我が家の結婚記念日だ。今年は－－アンチ・○年目派のぼくとしては少し忸怩たるものはあるものの－－一応少し特別な25年目、銀婚式に当たる。

このところ毎年恒例となっているのカミさんとのハイキングデート、銀婚式だから、結婚するちょうど２年前のこの日に初めてデートした南房野島崎灯台に泊まりで行ってみるかとか、少し特別なプランも考えてはみたものの、結局いつもの近場の里山に登ることにした。

近場とは言ってもさすがに、朝霞近辺には里山はない。こういう時は東武鉄道の「電車でハイキング」サイトだ。以前に行った東上線の最奥地、寄居駅からのコースと、去年行ったそのもう１つ秩父寄りの美の山公園に対し、今年はもう少し手前の、東上線の通常の急行とかの最終駅、ここから先は単線になる小川町駅の１つ先の東武竹沢駅から、官ノ倉山という350ｍほどの里山に登ることにした。

同じ東上線とは言っても、この東武竹沢までは急行に乗っても１時間以上かかり、運賃も700円もかかる。東武竹沢駅は周りに何もないことは分かっていたので、朝霞駅構内のコンビニで昼食用におにぎりを買い、9時38分の鈍行に乗って出発だ。隣の朝霞台駅で急行に乗り換える。

東武竹沢駅は、以前に近くにニュータウンを作ると言う計画が持ち上がり、東側にはロータリーが整備されたが、結局バブルの崩壊でこの計画が頓挫したらしく、降りてみるとほんとにスーパーどころかコンビニも、みごとにまったく何もない田舎駅になってしまった。その割に無駄にオシャレに作ってあるのが悲しい。

11時前にこの駅から出発し、まずは舗装路を官ノ倉山の登山口、三光神社を目指して歩いて行く。今日はかなり気温が高く、緩やかな上り坂なのだけど薄曇りがちとはいえそれなりに日差しのある道を歩いて行くと、あっという間に汗だくになってしまう。

三光神社から少し登ると、天王池と呼ばれる貯水池があり、ここから森の中の山道に入って行く。やっぱり森はいい！緑に囲まれてみると、都会の生活で息が詰まっていたんだなぁということがよくわかる。 ここの森はほとんど杉で、広葉樹林もあるが杉林とは完全に分かれている。直射日光は当たらないので止まれば暑くはないのだけど、尾根の上に出るまでが、つづら折れの急坂続きでかなりきつい。

尾根の上に木が少しまばらになったかなり広い落ち葉の平坦地があり、ここから官ノ倉山まで15分ほどの最後の登りを登り切ると、標高344.7ｍの山の頂上だ。ここまではずっと森の中なので景色が全く見えないが、頂上に出るとほぼ360度の展望が開ける。日差しが暑いが、風が吹くと汗が蒸発して心地よい。

おじさんおばさんの団体がいて、狭い山頂は混んでいたが、ここのベンチを２人分開けてもらって一休みだ。今日のハイキングでずっと追いつ追われつしていた地元のお父さんと息子、柴犬のハッピー君の２人と１匹、このハッピー君がベンチの下でハァハァ言って涼んでいるのを尻目に、昼食にする。「銀婚式にしては、オレら若いよね」「それって精神的に？肉体的に？」って会話。

ここから降りて登って10分ほどの双子のような石尊山の頂上を過ぎ、かなりきつい下りが始まる。一部には鎖場があるくらいの急坂だ。 それが一段落すると、尾根道をはずれて、ここからはそれほど急ではないものの、だんだらの下り道が続く。あっという間に膝が笑ってしまう。

山道が終わり、舗装路に出てからが結構長い。途中道に迷ったりしながら、うららかな日差しの中を、八幡神社という神社着く。最初の三光神社も、途中にあった北向不動という祠も、この神社も、特にここは境内がかなり広いのに、完全に無人でさびれている。

２礼２拍１礼でお参りし、家から持って言ったスポーツドリンクと、朝霞駅で買ったお茶、計１リットルが残り少なくなっていたので、久々に見た自販機でお茶のペットボトルを買って、あとは小川町の駅まで一目散だ。ここはさすがにスーパーもコンビニもある街で、３時前ごろに駅に着き、ローソンでハーゲンダッツのアイスクレープを買って食べる。

行きも寝て行ったけど、帰りの急行も、２人して疲れて爆睡だ。シートが固くてお尻が痛くなった。カミさんがなんかのＴＶで観たらしいんだけど、ちょっと体を動かしたくらいじゃ疲れはたまっていっちゃうんだけど、こうして激しい運動をした後に休むと、疲れを取る何とか言う成分が分泌されて、たまってた疲れも取れるんだって。ホントかな。

４時過ぎに家に着いて、風呂を沸かし、５時半ごろには風呂上りのビール。いやぁ、運動した後の明るいうちのこいつぁ、もう最高ですな。疲れはあるけども、確かにいつものビールよりはるかにすっきりした気がする。しかもこんな初夏の気候は、考えてみれば今年、昨日が初めてで２日目なんだよね。その初夏を満喫する、ＧＷの始まりにふさわしい銀婚式記念ハイキングでした。おでこが日焼けしました。

今日唯一失敗したのは、カメラを持って行くのを忘れたこと。スマホISW11Fのカメラで撮ったんだけど、どうもこのカメラ、性能と使い勝手がイマイチなんだよねー。

朝霞駅構内のバーガーキングにバイトとして採用され、今日最初の説明を受けに行って、ついでに毛先くるくるパーマをかけてきた娘は、１月ほど前に今年銀婚式だと言ったら、「じゃみんなでどっか出かけようよ」、と相変わらず親に感謝の気持ちを表すとかそういう感性の欠如を露わにしたが、山中にいた時に、「今日帰ったらメシ食える？」と突然電話してきた息子が、多分初めて、銀婚式祝いにケーキを買って帰ってきた。

感動ってわけでもないけど、なんか初めて奴の経済的自立を強く認識した気がして、初の「ごちそうさま」を言いました。