28日の息子の結婚式に続いて、29日、今度は我々の31回目の結婚記念日と、その翌日のGW前半は、息子が就職し、さらに地元出身の嫁と所帯を持ち、縁が深くなった茨城北部を、何ヶ所か回ってきた。
我が家は子供たちがチビの頃から小旅行にはよく出かけていたのだけど、伊豆とか長野、群馬あたりが中心で、茨城ってのは国営ひたち海浜公園には何度か行ったことはあったものの、それより北にはほとんど行ったことがなかった。日立市に初めてちゃんと立ち入ったのは、震災直後に息子が就職して、独身寮まで引越しの手伝いに行った時で、その後彼が自分で家を借りて引っ越した時とか、何度か行ったくらいだった。
茨城ってのはいろんな県ランキングで大体最下位とかそれに近い位置にいるんだけど、あれって各県の代表に回答してもらったものを、人口で重みづけしてるらしく、そうなると東京とか神奈川とかに住むスノッブどもが、埼玉や栃木や茨城を卑下するのが拡大されるわけで、ある程度仕方ない結果と言える。
まぁとは言えしかし、茨城北部には、いろんな情報を集めてみても、魅力的な観光地が数少ないことも事実で、ぼくら自身もこれまであまり行く気にならなかったのが偏見でないかどうか、ちゃんと確かめておかないと、ってことでね。
28日は娘も水戸プラザホテルに泊まったのだけど、30日は仕事だし、29日も夜のよさこいの練習--保育園の先生を辞めて、この春からよさこいに復帰した--には参加したいってことで、午後もわりと浅い時間には水戸を出ないといけない。でもこの時期、インスタでやたらとアップされているひたち海浜公園のネモフィラが咲く丘は観ておきたいって言うので、午前中はまず水戸市内から普通なら30分ほどの海浜公園に向かった。
ちょっと出るのが遅くなって、11時近くになってしまったため、東京方面から来る皆さんの波に飲み込まれ、東水戸道路の海浜公園出口は、4kmほどの大渋滞になっている。みんな並ぶの好きだよね。早々に並ぶのは辞めて、海浜公園を通り過ぎた次の常陸那珂湊ICまで行って、裏側の海浜口駐車場を目指したら、ここにも車の列ができている。
ぐるっと回ってメインの南駐車場に行ってみたら、こちらの列は海浜口の数倍酷い。なのでやっぱりもう1周して、海浜口駐車場側に回り、この海沿いの県道6号は駐禁ではなかったので、路駐することにした。ここから歩いて入る海浜口は、ネモフィラの咲いている「みはらしの丘」には一番近い。海浜口駐車場は、停まれる台数は少ないけど、駐車場を待つなら列の長さから言ってこっちの駐車場の方がおそらく圧倒的に速い。なんでみんなメインの駐車場に入りたがる&待つことが苦にならないのか、ぼくには不思議でならない。
この「みはらしの丘」は、去年秋の嫁の両親と初めての顔合わせの時に、前泊して竹箒の原料であるコキアの灌木の紅葉を観に来た場所じゃん、どうなってんの?って調べてみたら、なんと同じ丘に、秋にはコキア、春にはネモフィラと、毎年植え替えているらしい。1年草だから当然なのかもしれないけど、毎年寒い時期から、これだけ広大な場所にビニールシートを張って手塩にかけて育てていると言うことで、ここの職員の皆さんの努力は素晴らしい。
丘一面に咲く薄紫の5枚花弁の小さな花は、高温の今年は桜と一緒で例年より2週間早く、この週末が見頃の最後だろうってことで、見事に咲いているブロックもあるものの、 場所によっては葉の緑色が勝った状態になっているところもある。ゆっくり丘を登り降りして堪能した後、丘の下の露店に売っていたのを3株買って、今日家のプランターに植えてみた。来年は咲いてくれるのかなぁ?
しかしまぁこの人出はすごい。特に丘から南入口の方面の通路を眺めると、ラッシュ時の新宿駅コンコースのごとき状態だ。芝桜でもなく有名な名前の花でもなく、ネモフィラってのを植えて、金をかけずにインスタ流行の中バズマーケティングで人を呼ぶ。国営の公園にしてはなかなか見事な作戦だ。みんな写真に凝るもんで、こっちも写真を撮るのになかなか苦労する。これは確かに観に来る価値はあるけど、GWの休みの日に来るもんじゃないね。
海浜口からはそれほど歩くのに苦労したりはなかったものの、予想以上の人の波で、予定より多少時間がかかり、水戸駅に着いたのは、「えきねっと」で予約しておいた特急「ひたち16号」の出発時刻の約40分前。仕方なく立ち食いそば屋でそばとうどんを食い、ここで娘とはお別れだ。
それから車に乗って、下道を約1時間走り、「竜神大吊橋」に行く。公設の駐車場は満杯で、有料の民間駐車場に停めて10分弱歩いていくと、おお、確かに見事な光景だ。この時期、橋と並行して谷に渡された2本のロープに、大量の鯉のぼりが吊るされている。
この橋は歩行用の吊り橋としては本州一の長さとのことで、完全に観光用に架けられていて、特に実用上の意味は薄い。ただこの橋の中央からバンジージャンプができるようになり、それをTVで紹介されたために、人気スポットになったらしく、ここも夕方だったのになかなかの人出だ。
バンジーはかなりの高低差で、見ているとほとんど下のダム湖の水面まで届こうかというところまで落ちていく。ぼくも昔は高いところって嫌いじゃなかったんだけど、なんか歳とってきたらだんだん怖くなってきて、今はこんなの絶対できないな。
この日の宿はここからさらに30分強走った所にある大子(だいご)温泉というところの、地元の振興公社がやっている宿、「やみぞ」という施設。建物自体は古いみたいだけど、内装、特に部屋の設備は最新化されており、天然温泉があり、夕食は「常陸牛コース」が選択でき、この時期でも@10,000円を切るリーズナブルなお値段だ。
サービスや朝食バイキングの選択肢とかは値段なりのところがあったけど、洋室はセミダブルベッドだしソファーもあるし、まぁまぁいいんじゃないの?カミさんは「崖っぷちホテル」を観る前に気持ちよく寝入ってしまった。
翌朝は、ドラッグストアで、持ってくるのを忘れた日焼け止めスプレー--ひたち海浜公園ではカンカン照りの日差しでおでこと腕がかなり焼けてしまった--を買ってから、「やみぞ」のすぐそばにある日本三大瀑布、袋田の滝を観に行く。ここも公営の駐車場は滝からかなり遠いんだけど、まぁいいかと歩いて行った。
この滝は・・・見事だ。縦に大きく3段に分かれて岩肌を広がり落ち、新緑のなか水量も多くて、すごい迫力だ。トンネルから続く観瀑台が上下2段に整備されていて、目の前からと全景を眺めることができるようになっている。冬になるとこれが凍ってクライマーが登ったりするらしい。
ここは観に来る価値あるね。GW半ばの割にそれほどの人出でもない--上段に行くエレベータは並んでもおらずすんなり乗れるくらいの--のが残念だ。「恋人の聖地」売りで滝の途中にハート形の流れがあるとか、しょーもないプロモをしているのはいただけないけどね。
それから車で40分ほど走って、パワースポットとして最近人気だと言う「御岩(おいわ)神社」に行く。停まれないかと思っていた駐車場はぎりぎりで停まれ、途中食べ物屋がまったくなかったのでセブンイレブンで買って行ったおにぎりを食べてから、参拝だ。
ここは麓の本宮の他に、参道を30分ほど登っていったところに別宮--というか全山で21のお社があるらしい--があり、さらにそこから30分ほど、かなりきつい山道を登ると、御岩山--別名賀毗禮(かびれ)峯--の頂上まで登れる。頂上からの景色はなかなかだ。
この山は、かつてかなり里の住人に厳しくて辟易されていた神様に、お願いして御移り頂いた先だってことで、ここが有名になったのは、その神様を祭ってある祠の後ろの柱上の岩から光の柱が立っているのを、宇宙ステーションから向井千秋さんが見たって話がバズったかららしい。この山には巡回監視しているプロの山登ラーがいて、彼に聞いた話では、向井千秋さんは宇宙ステーションにいたことはないし、他の宇宙飛行士の話とかがいくつか混ざって、都市伝説化したと思われます、とのことだったけどね。
そんなことよりこの山道は、杉林の下に広葉樹が広がった美しい森に囲まれていて、この好天に陽が当たるともう最高の葉の裏写真の被写体だらけ。きつい登りで汗だくになったけど、茨城にもいい森があるんだね。もっとも本宮の参道にある名物「三本杉」は、樹齢500年だって言うんだけど、ついこないだ屋久杉を観てきた身としては、1,000年以上経ったものしかその名で呼べない屋久杉に較べたら、細くかわいく見えちゃったけどね。
21社全部は発見できなかったけど、お社があるたびにお参りをして、息子と嫁の幸福を飽きるほど--少なくとも15回くらいは--祈ってやり、2時間強の山登りを終えて「プレミアムソフトクリーム」ってのを食べる。それから車で30分ほどの常陸太田市の健康施設「太田温泉やまぶきの湯」でひと風呂浴び、さすがにこの日は普段は空いてる常磐道ですらだいぶ渋滞している中を、8時過ぎに埼玉まで帰って来た。
今回気づいたのは、埼玉北部の山の中の道の細さに比べて、茨城北部は道路がすごく整備されている、ということ。しかも有名なスポット以外はGWですらガラガラなので、超快適に走れる。運転好きには悪くないなこれは。てことで総合的には、茨城北部も捨てたもんじゃないってところはあるんじゃん?完全に偏見だったとまでは言わないけど、少し見方を変えないとね、とは思いました。
わずか3泊しただけなのに、なんか今回は息子の結婚式とかいろいろあったので、すごく久々に家に帰って来たような気になった。しかも体は、最後の山登り以外はそんなに大変でもなかったはずなのに、精神的なところが大きかったのかボロボロに疲れていて、かなり早い時間に寝落ちしてしまった。
明後日からはGW後半の千葉旅行。でも3日はかなりの荒天みたいで、渋滞は緩和されるかもしれないけども、行程は組んだもののまぁそんなすごいとこはないっちゃないし、天気が悪いと景色も見えないだろうから、ゆっくり行こうかな。
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