夏休み旅行録を2週に分けたおかげで、また1週遅れペースでこのブログが書けるようになっている。やっぱ楽だなこの方が。
先週末は実家に行って、親父が過去財界人の同人誌に寄稿した文章をまとめた自費出版の本、題して「稲架」--「はさ」または「はざ」と読むらしい。稲なんかを束ねて天日に干せるよう、木材や竹などで柱・横木を組んだ架台のこと--を作り、お知り合いの皆様に送りたいと言うので、その手伝いをした。
と書くとなんだかその日だけちょっと行って手伝ったみたいに聞こえるかもしれないけど、大変だったのよこれ。ぜーんぶこっちでコントロールしてやらにゃならんし、旅行中も親父のサポートしたりして。
91歳になった親父は、3年ほど前から腰を痛めて杖がないと歩けない状態ではあるが、今年GW過ぎの肺炎による入退院の繰り返しはなんとか収まって、今は家に落ち着いている。実家に併設した温室の、過去何十年も趣味にしていた欄たちは、肺炎ぶり返しの原因であることが疑われたこともあって、二世帯住宅の隣家に住む兄が説得し、あちらこちらにもらって頂くなどしてほとんど片付けてしまった。
頭は基本まともなんだけども、短期的な記憶力や判断力が弱っていて、時々わけがわかっているのか判断しかねることを言うことがあり、本人も自覚していて、今月の初めに、100部だか作ったというその本を発送するのに、どうすればいいかよくわからないから手伝ってくれと言われた。タックシールを使う→パソコン関係だ→なら(なんとなくだけど)兄ではなくぼくに頼もう、ということらしい。
電話で話しても何を言っているのかわからないところもあり、幸いに自室のデスクトップパソコンはあの歳の老人としてはかなりの頻度でいじる--主として碁のソフトをやるため--し、メールのやり取りは、返信は1行だけだったりするものの一応可能なので、途中からは兄にもccを入れながら、基本メールで当方からの要求を伝えることにした。
まずはどこに送るのか、送り先を決めてもらわないとならないのだけど、そのサポートが大変だ。元データが入っている住所録ソフトが、たまたまラッキーなことに我が家と同じ「筆まめ」だということが(兄が間に立ってくれて)わかったのはよかったのだけど、過去--ここ数年はもう辞めている--年賀状を送った先のデータベースの一覧表の中から、今回本を送りたい先にチェックを入れて、そのファイルを添付して送ってくれ、と伝えたのだけど・・・
チェックを入れたデータだけに絞り込む操作について、電話でサポートしようとしたが、どうもよくわからないらしい。ならそれはもうこっちでできるからいいかと、チェックを入れたファイルを別名保存させようとするのだけど、「左上に[ファイル]っていうメニューがあるでしょ?」と言ってもそれがどこにあるかわからないとか。
その後ファイルを添付して送ったと言うのだけど、そのファイルが添付されてなかったりとか。これは結局、アメリカの大学から夏休みで帰ってきていた甥っ子にサポートしてもらって、やっと送り先の一覧が送られてきた。全部で91件。んじゃまずタックシールを作るかと、近所の文房具屋さんで買ってきて(このとき一緒に買ったB5版の封筒は、結局使わなかったのだけど)、書式を整え印刷する。
次に送付方法を具体的に検討する。最近ヤマト運輸はメール便をやめ、働き方改革で遅い時間帯の配送区分をなくし、同情の余地アリという世間の評価をいいことに、サービス改悪の一途を辿っているとぼくは評価しているのだけど、個人向けの安価なサービスはほぼ無くなってしまった。なのでこの手のものの発送は、日本郵便のほぼ一択なんだけど、この日本郵便のサービスだけでも、送る手段はあまりにもたくさんある。
普通の定形外郵便はもちろんのこと、ゆうメール、ゆうパケット、スマートレター、クリックポスト、レターパックライトと、ちょっと調べただけで6種類。それぞれに重さや厚さによる価格の違いや信書の可不可、追跡サービスの有無、封筒自体が独自のものと任意の封筒に専用伝票を貼るものと切手を貼ればいいもの、その他に例えばクリックポストはYahoo!と連携していて、本人名義のYahoo IDとYahooウォレット利用が必要だとか、なんじゃこの複雑さは。こりゃあ老人には選べんわな。
本のサイズを正確に--これも重さについてはわからんと言うので兄にサポートしてもらいながら--教えてもらい、厚さ1.5cmでB6判、270gだというので、なら1冊送る場合はスマートレター(独自封筒事前購入・信書可・1kgまでなら全国一律180円・追跡なし)がいいだろう、2冊送る場合はゆうパケット(任意封筒に専用シール・信書不可・縦横厚さ計60cm・1kgまで、厚さ2cmまでなら300円・追跡あり)、それ以上ならゆうパックだな、と目星をつけた。
次は誰に何冊送るのかを親父に決めてもらわないとならない。決まってるのか訊くと、「ほとんどが1冊だ」とかあいまいな返事。しょうがないのでもらっていた送付先一覧をExcelに落として、一番左に1列増やし、ここに送付冊数を入れろ、とメールを送る。この添付ファイルが付いてないとかわけわかんないこと言われて、いやぼくは自分にもbccで送ってるから添付されてるのははっきりしてるのよ、とかやりとりがあって・・・
結局数を入れさせたら、既に倉本叔父とかあっちこっちに送っていたこともあって、在庫がだいぶ減っており、91冊も送れないことがわかったらしく、50送付先51冊ということになった。ふぅ。まずはこれで、スマートレターの独自封筒をいくつ買って行けばよいかはっきりした。念のため日本郵便に問い合わせ、宛先はタックシールで貼ってもいいのかも確認しておく。OKとの返事。
次に挨拶文は何か入れるのか?と訊くと、一応こんな文章を作った、とWordでA4なら3行ほどの文面が送られてきた。これを同封するなら、それなりにちゃんとしたカード的なものに印刷したほうがいいよね、ということで、AmazonでB6判のカードを調べ、「コレクト」というメーカーの「情報カード」という製品があることを知る。
これはどうも「京大式」と言われる情報整理術の一環で開発されたカードらしく、いくつかの種類があって、比較的厚手で薄く色がついたものがあり、これが良さそうということで一旦発注をかけたのだが、納期がやたらかかるってことで即座にキャンセル。
渋谷の伊東屋とかロフトとか、大手の文具屋さんに何件か電話で問い合わせて、結局5色セット100枚のものの在庫があったのが新宿の世界堂だけ。これを取り置きしてもらって、火曜日の帰り道に取りに行く。渋谷・新宿・池袋を通る通勤経路でよかった。
挨拶文の下に、過去の年賀状から親父の直筆のサインをスキャナーで取り込み、余計な情報を消し色を調整して(簡単に書いてるけど結構苦労した)配置する。これを親父に送って、これで挨拶状を印刷して持ってくけどいいかと確認、「結構だ」とのことだったので、送付数+α分印刷をかける。
ちなみに挨拶状って信書じゃん?って思われる方もいるかも知れないが、ゆうパケットの送付条件には、「内容品に関する簡単なあいさつ状等の無封の添え状や送り状は」OKとあるので、この場合大丈夫なんですね。
んで24日、まず近所のローソンでスマートレターの封筒--なぜローソンかと言うと、いま昼だけやっているPayPayのキャンペーンで、PayPayが使えるならポイントバックされるじゃん、てことだったんだけど、結局使えなかったので無駄足だった--を購入、在庫が足りなかった分を朝霞郵便局で買い、ついでにゆうパケットと、念のためゆうパックの伝票をもらって、実家に向かう。兄一家は全員留守だということは予め確認済みだったので、両親とぼくと、遅れて来る予定のカミさんでの作業だ。
まずは親父にあらかじめ確認していた、送付元欄に押す住所氏名入りのスタンプ。横書きのがあるか確認して、あると聞いていたのが、案の定縦書きのしかなかったりしたんだけども、そもそもそのスタンプも、一部が欠けてしまっていて、当方の住所がちゃんと押せない。まぁこのくらいのことは予想の範囲内と、代わりにWordで親父の住所氏名を並べたものを作って、持ってきたタックシールの余りに、大量に印刷する。
次に親父にはその自分の名前のシールを貼る役になってもらい、おふくろが印刷してきたリストをチェックしながら宛先のタックシールを貼って、ぼくが封筒に本と挨拶状を詰めて封をしていく。この過程で、リストにダブりがあったりとか、この人もう送ったじゃない、とか、この人には送らなくていいの?とかおふくろチェックが入り、2つの送付先がなしになり、2つの送付先が追加された。
88歳のおふくろの頭が完全にしっかりしてくれていてたいへん助かったのと、このくらいの送付先の間違いで済んだことは奇跡だと思いながら、社交ダンス教室から直行してきたうちのカミさんに、一番滞りがちだったぼくの分担を手伝ってもらったりして、最後に1箇所だけ2冊送る某親戚宛のゆうパケットを、本を薄いダンボールにラップで固定しA4封筒に入れガムテープで封をし、完了だ。シール貼り&封筒詰め作業の所要時間が約1時間半かな。
それから、普通の大きさの段ボール箱が、上のフタを立てた状態でいっぱいになるくらいのスマートレターの封筒たち、および1つだけゆうパケットの封筒を持って、カミさんと車で小石川郵便局まで出しに行く。
高校1年の冬休みに、生まれてはじめてバイドで金を稼いだこの郵便局に来るのは、それ以来約41年ぶりで、建物も当然新しくなっていたし、何より場所がわからなくなっていたことに、自分でもびっくり。土曜なのに通常窓口が17時まで(ゆうゆう窓口は21時まで)やっているという、本局の中でもここはサービスレベルが高い。
ゆうパケットの厚さが2cm超えだと言われ、んなことないでしょ、と2cm厚の穴を強引に通してもらったりして、予定通り180円×49通+300円×1通の計9,120円で送付ミッション完了。挨拶状と、タックシールまで入れれば多少オーバーするが、1万円でいいよ、と実費申し受け。
それからまだ早めだったけど、晩飯を食わせてもらって、10時前には家に帰ってきた。おふくろは、こりゃ大変だ、自分たちじゃできないわ、やってもらって助かった、と言ってくれたけども、ま、こんなことでも多少なりとも親孝行になるなら、結構なことですわな。
てことで、これでも細かな対応はいくつか省いた、親父の本の発送の顛末でした。我が家にももらってきたこの本、まだぼくは読めてないんですけどね。
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