夏休み旅行後半の3日目は、予報通り、台風はもう行っちゃったはずなのに、何故か台風一過とは行かず朝からの雨模様。この日に行く予定だった森たちには前日に訪れていたので、とりあえずどうしようかということで、一応オプションとして用意してあったうちの1つ、霧ヶ峰と美ヶ原の間の八島湿原に寄って行こうかということにした。
2日目のホテル「駒ヶ根高原リゾートリンクス」は、チェックアウトが11時と遅かったので、ゆっくりと準備し、まずはカミさんが、前日駒ケ岳に登れなかったことで、予定外に暑い場所に1日多くいることになったため、涼しい格好の服が足りないと言うので、「しまむら」の駒ヶ根店に向かう。
しかし「しまむら」ってほんとに最近どこに行ってもあるよね。全国に1,428店だって。我が家のそばにもあるし、ここ駒ヶ根には2店舗ある。駒ヶ根市って他にも、AOKIだのワークマンはもちろんのこと、ハニーズベルシャインとか古着屋さんとか意外にも洋品店が豊富で、なのになぜ「しまむら」かって言うと、一番おばさんが着れるものがありそうだから、だって。
あまり男物が豊富ではないので、ぼくは普段ほぼ行かないけども、夏の終りのバーゲンをやっていて、暇つぶしに見てみたら、サイズが合えば買ってもいいかなってものもいくつかあったな。ここでカミさんは1時間近くいろいろ物色し、ゆるーいニットのワンピースと、これもゆるーい長薄手のキュロットのようなのを買った。お腹の楽さがけっこう優先順位の高い選定ポイントになっている。困ったもんだ。
午前中にかなり活動した前日とは打って変わって、この時点で既に11時半ごろになっていたが、それから高速に乗って、岡谷JCTから長野道に入りすぐの岡谷インターで降りる。途中バイパスのトンネル内で事故があったとかで迂回したりしながら、中山道を登って和田峠でビーナスラインに入り、八島湿原に着く。この時点で雨はほぼ止んでいたが、かなりの濃霧に包まれた。標高は1,630mほどで、気温は正確にはわからないけど26,7度かな。
八島山荘という食堂兼おみやげ屋さんで、各々うどんとそばの昼食にし、隣のビジターセンターに入って、よし、今日こそは少し花の名前を憶えようと--千畳敷カールで見知らぬおばさんに尋ねられ、全く答えられなかったこともあり--、写真でズラッと並べて掲示されていた湿原で咲く花々のうち、この時期咲いているものの名前を必死で憶え、バックアップのために写真を撮る。いくつか知っているのを除いて、1人あたり4種ほどだけの分担なのに、これがま~ぁ憶えられない。「鼻血」でしょ、「小売り」でしょ、としょーもない語呂合わせでとりあえず言えるようにする。
八島湿原は、面積はそれほど広くはなく43.2ha、有名な釧路湿原の約1/400で、上から見るとハート形--そのため最近の流行で「恋人の聖地」とか浮ついたキャッチフレーズをつけている--をしており、その1辺が500mほどという計算になる。一方、泥炭層の厚さから湿原としての寿命が推定できるそうなのだけど、ここはそれが約8mもあるので、1万2000年前に誕生したことになり、これは釧路湿原の4倍で、日本全国の湿原の中で最も古い部類だと言う。
ここに来るのは多分約30年ぶりで、息子がまだ1歳くらいの時に、湿原の外周を一周する遊歩道を、苦労してベビーカーを押しながら歩いた記憶がある。今回も歩いてみたが、木道はまだしも、奥の方に行くとかなり大ぶりの石が転がった砂利道になる。よくこんなとこでベビーカーを押したものだ。
天気はどんよりと曇りだが、時々霧が晴れて、湿原全体が見渡せると、その広がりが心地よい。直前に憶えた花の名前のうち、上に書いた「ハナチダケサシ」と「コウリンカ」は、ついに遊歩道の最後の方に1輪ずつしか咲いておらず、まったく咲いてないよりはマシだったとは言うものの、そこまで行く間ずっと「あれ?鼻血・・・なんだっけ?」とか言い続ける羽目になった。その上、このブログを書くために再度確認したので書けているものの、湿原を去ったら、ソラではもうすっかり言えなくなっている。困った記憶力だ。
八島湿原を後にし、ビーナスラインを西に向かう。途中道を間違えたりしながら、最後の超急坂のワインディングロードを登り、美ヶ原に着く。標高は約1,950m。この日泊まった「ホテル山本小屋」は、通常は一般車は入れない場所にあり、宿泊者のみOKということで、一般車駐車場の100mほど奥まで入っていける。赤土むき出しの宿泊者駐車場は、大きな水たまりができており、トレッキングシューズと車のタイヤが泥まみれになった。
美ヶ原に来た時は、これまでは一般車駐車場から送迎バスに乗って、一番奥の「王ヶ頭」という高みにある「王ヶ頭ホテル」に泊まっていた。上に書いた息子が1歳のときがうちの家族では最初かな?その後いつだったか定かではないのだが、3回くらいは来ている。最後は18年前、親父が胃の全摘手術をする直前に、父母と兄一家も一緒に来たときだと思われる。今日実家に行ったんで確認したんだけど、そんなに前だっけ?新館を増設し洋式のちゃんとしたホテル仕様になってわりとすぐの頃だったと思う。だけど最近人気で、全然予約できないのよね。
「山本小屋」の方は、対抗上なのか「ホテル」とつけているものの、詐称と訴えられても仕方のない昔ながらの6畳一間の客室のいまにも壊れそうな山小屋で、値段が安い他は、「王ヶ頭ホテル」に勝っているとすると唯一、温泉だということだけだ。露天風呂なんかはないし、山の上で水圧が低く、一度に3人くらいで使うとシャワーがしょぼしょぼになっちゃったりするが、丸いタイル張りの湯船は、やや熱めだけどとても気持ちいい。
風呂に入った頃は、時折見通しが効いて放牧された牛が見えるものの、基本は霧の中。18時から食べた、予約しておいたすき焼きの夕食はなかなかの味だったが、その後も夜中まで猛烈な風が吹いており、翌日は晴れるって言ってたけどホントかなって感じだったが、翌朝起きてみると、霧はないもののどんよりとではないがまだ雲が多い。
それでも朝9時頃、そのまま車を置いて王ヶ頭の方へ、美ヶ原のメインの散策路を歩いていくと、だんだんと天気が良くなってきた。しかし何度来てもこの美ヶ原は、よくこの標高2,000m前後の高地に、これだけの広大で平坦な草原ができたものだと感心する。まさに「高原」の代名詞にふさわしい。森林化の傾向が表れているそうだが、今のところまだ大丈夫。陽が出て気温が上がってきたが、多分25,6度ほどで、風が爽やかだ。
「塩くれ場」と呼ばれる、放牧した牛に不足しがちな塩分を与える場所から、メイン散策路を左に逸れて、これまで行ったことがない「アルプス展望コース」を歩いていく。雲が多めなので北アルプスの連峰は部分的にしか見えなかったが、ふもとの松本の街はきれいに見える。
1時間ほどで「王ヶ頭ホテル」--わかりにくいけど右の写真の真ん中のピークのところに、テレビ塔に挟まれて建ってるやつね--に着いて、ソフトクリームを食べる。このホテルには「名物おじさん」がいて、早朝のバスでの「王ヶ鼻」--王ヶ頭からさらに奥の、松本の方向に突き出た岩場で、ドッペルゲンガー現象なんかを見ることができる--ツアーや、夜のスライド上映や星空観察とかの際、独特の口調でたいへん多弁に説明してくれて、花の名前なんかも、上で「いくつか知っている」と書いたのも、このおじさんに教えてもらったのがほとんどだ。
うちの子供たちは、例えば「マツムシソウ」とか「ハクサンフウロ」とか、字では書きにくいんだけどそのおじさんの独特の引っ張るような言い方で憶えていて、他の場所に行った時もよく真似したりしていた。今回、売店のやや年配の店員の方に、あのおじさんはご健在ですか、と聞いてみたら、初代会長のことですね、だいぶ前に亡くなりました、まだ60代前半でしたと。今はその息子さんが2代目会長になってるそうで。うちの親父より若かったのに、残念なことだ。
王ヶ頭からこんどはメインの散策路を山本小屋まで戻り、車で美ヶ原高原美術館の売店になっている道の駅に行く。こういう有名な場所は混んでるよね。ちょっと並んで昼食を食べて、おみやげをいくつか買う。
そしてここが終点のビーナスラインに続く下り道を、上田市の方向へ少し降りたところにある「白樺平」に行く。何度か通ってはいるものの足を止めたことはなかったここは、自然にできたものかどうかはわからないが、とにかく一面に白樺林が広がっており、6月下旬頃にはさらにレンゲツツジが満開に咲いて、白と赤のコントラストが見事になるという。
きれいだなとは思っていて、今回はじめて車を降りてみたんだけど、いやぁ、これだけ白樺が密生してる場所って、なかなかないんじゃない?午後に入ったのと陽射しがコンスタントになったのと少し山を降りたことで、気温は多分30度近くはあったと思うけど、蝉しぐれの中しばらくこの森に佇んで、写真をたくさん撮った。
それから一旦美ヶ原方向に戻り、県道178号を降りて、長和町立の「和田宿温泉ふれあいの湯」に行く。この辺りは立寄り温泉がどこも安く、相場が大体500円なんだけど、ここはそれらのなかで一応標高が一番高い850mほど。建物はなかなかオサレで設備も普通にきれいだが、受付はじめのんびりしていて、地元のおじいさんおばあさんの憩いの場、って感じ。温泉に浸かってもギリセーフくらいの気温だったし、源泉そのままと言う多分30度ほどのぬる湯があったり、露天がかなりぬるめにしてあったので、気持ちよかったな。
そして最近八千穂辺りまで延伸した中部横断道に佐久南インターから乗り、これもいつもよりは渋滞が少ない関越を通って、途中飯食ったりロヂャースに寄って買い物したりしながら、夜9時頃には家に帰ってきた。
高所にいる予定の日が1日減って残念だったけど、やっぱり美ヶ原から降りる時は、もっとココにいたいよーってなった、真夏の避暑旅でした。足腰が持つうちに駒ケ岳リベンジできるかなぁ?
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