中部城巡り旅行3日目は、まず車で関が原に向かう。この日は朝から曇りで、午後からは雨が降るとわかっていたが、途中、車から伊吹山の山頂は見えていたので、予定通り関が原バイパスから直結する「伊吹山ドライブウェイ」に入った。
予定通り、と書いたが、もともとの予定は実は違っていて、というのは伊吹山ドライブウェイは冬季は通行止めで、4月15日から通行可能になったばかりであり、当初は3月に来るつもりだったため、無理だったってことでね。なので関が原でチャリを借りて、古戦場を回ってみようかというプランだったのだが、古戦場と言っても普通に家や畑になっているので--家康とか石田三成の陣のあった場所は史跡みたいになってはいるけど--、それを回ったところでちょっとイマイチだとは感じていてね。
伊吹山は古くは古事記に登場し、大海人皇子の起こした壬申の乱とか、いろんな歴史上の事件に関わって来た霊峰で、日本そばの発祥の地であり、東西文化の分岐点とも言われていて、行ってみたいとは思っていたのね。
頂上近くまで車で行けるし、今乗ってる愛車アクセラの2.2Lディーゼルエンジンのトルクは、こういう山道でこそ力を発揮するんだけど、カミさんが乗ってると荒い運転はできないし、今年11月の4回目の車検は、さすがに多分通さないかなぁとも思っているので、この車のブンブン走りも最後になるかなってことでね。
料金所で「頂上は雨ですがいいですか?」と言われたがいいですと言って、ワインディングロードをぐいぐい登っていく。サルと鹿には遭ったが車には1台も会わないので、荒いドライブにはちょうどよかった。標高1300m弱の終点駐車場には一般車は1台もおらず、霧はかかってなかったので景色はよいが突風が吹いており、気温は4度。頂上まで歩いて15分ほどで登れるはずだが、駐車場のちょっと上からは雲の中で全く見えず、トイレでマーキングだけしてすぐ戻ることにした。
下りは関が原を上から一望できるスポットを探し探し、何度か車を停めながら降りて行ったが、ほとんど最後に近いところまで、そういう場所はなかったな。てか先に山に登っちゃったので、古戦場がどのあたりか正確にはわかってなかったってのもあり。
それから古戦場の真ん中辺にある「関が原古戦場記念館」に行く。ここはなんだかすごい立派な建物で、近くに関が原町役場とかいくつかの施設が並んでるんだけど、なんか緑多き大都市の中心街って感じ。中に入ると制服を着た職員の数も多く、町が金出してるんだろうけど、よく成り立ってるなぁ。古戦場自体でそんなに儲かるとも思えないので、いくつか企業の大工場を誘致した、その税収で潤ってるのか?
入ってすぐに間もなく上映開始ですと言われたシアターは2室に分かれており、最初にグラウンドビジョン、移動したシアター本体は前方180度ほどのスクリーンと重低音の音響で、椅子もぶるぶる震え、実際に戦場の中にいるような迫力だ。それから武具や武器中心の展示を見て、最上階展望台から古戦場の各陣営の位置なんかを確認し、併設された食堂で「悪戦苦闘足軽カレー」というのを食べる。見た目いろいろ工夫を凝らしているが、まぁ普通のカレーだ。
それから車に乗って1時間弱移動し、この旅の(郡上八幡城も入れると)4つ目の城、彦根城に行く。この城は慶長年間に建てられたれっきとした国宝で、 天守はこじんまりはしてるけど外観が凝っていてカッコいい。ここが実際に戦争に巻き込まれたことは一度もなく、徳川四天王と言われた井伊家の権威の象徴としての意味合いが大きかったそうなので、そういう造りにしたのだろう。
他にも門や櫓など重要文化財がいくつかあり、平日に行ったからかもしれないが、ここは犬山城のように浮かれた様子は基本的にない。表御殿のあった位置に建てられたという彦根歴史博物館は、展示物はまぁ井伊家の収蔵物が中心で大したことはないが、殿様の居住住居を復元したという建物や庭はかなり立派だ。
ただ浮かれてはいないけど、それにしても「ひこにゃん」押しが過ぎる。土産物の2~3割がひこにゃんがらみの他、歴史博物館の縁側にひこにゃんが登場して、ポーズを取ったりいろんなしぐさをし、集まった結構な人だかりを沸かせていた。
この日の宿は彦根から1時間ほど走った草津にある「スーパーホテル滋賀草津国道1号沿」。しかし東海道と中山道が分岐する宿場町「草津」として名を馳せた歴史はこっちの方が古いはずなのに、温泉ブームで群馬の草津の方がすっかり有名になっちゃったよね。しかも群馬草津の奥隣りが志賀、こっちは滋賀県草津、いやいや、ややこしいことで。
全国旅行支援「しが周遊クーポン」は、滋賀県独自の上乗せで3,000円分もらえたので、ホテルの筋向いにあった「牛角」に行って、食べ放題は前回福山で年寄りの胃には厳しいとわかっていたので、単品をいくつか頼んで使い切った。
4日目は朝から雨だったが、新名神に乗って信楽に向かう。言わずと知れた焼き物の町だが、草津からだと高速は1ランプ目であり、40分ほどで信楽駅前の信楽伝統産業会館に着いた。
ここでは信楽焼の歴史とか名工の作品とかを展示しているが、ゆっくり観ても30分くらいで観終わってしまう。徒歩5分ほどの別館(旧館)で朝ドラ「スカーレット」にまつわる展示をしているとのことだったが、水曜日はお休み。ちょっと時間が余っちゃったなぁと思っていたら、夏に行く予定の旅行の予約でオプショナルツアーが取れなかったトラブルがあり、車の中でその対応をしていたらほぼ予定通りの時間になった。
少し元来た方へ戻って、「陶芸の森」という、県立の、創造・研修・展示などを行える施設が集まった公園に向かう。いくつかの建物があるが、「産業展示館」では地元のいろんな窯元の作品を普通に販売していて、旅の記念にいつも何か一つ小さな置物を買って玄関に飾っているのだが、今回はやっぱ狸の焼き物だよね、ってことで、小さなのを1つ買った。 ちなみにこの町は車で走っていても、窯元の前を通ると大量の狸が並んでいる様子が見られる。
それから有料で芸術作品を展示している「陶芸館」に行って、坂口恭逸氏と言う方が個人的に蒐集した、全国各地で焼かれた湯呑の企画展を観た。なかなか面白いものもあったが、でもまぁ湯呑だからなぁ。基本的にそれほど芸術的ではあり得ないよね。
昼食はこれまた建物自体が狸の形をした(冒頭の写真ね)うどん屋さん「たぬき屋分福」でたぬきうどんを頂く。この店、店内でも狸の焼き物を販売しているほか、たぬきうどんは器自体が狸の形をしており、徹底している。味も悪くなかった。
それから車で50分ほど走って三重県に入り、伊賀市の上野公園へ。ここには伊賀上野城があるが、この天守閣はもともと筒井順慶の養嗣子定次が建てたものが倒壊し、筒井氏の後この国に入った藤堂高虎がすぐそばに別の天守を作ったがこれも倒壊、その後再建されることなく明治を迎え、昭和に入ってから地元出身の代議士川崎克氏が私財を投じて新たに木造3層の天守を建造したという変わった経緯を持つ。そのため一部には藤堂氏が作ったすごい高さの石垣なんかも残っている。
ただ城自体は、「白鳳城」との別名もある美しい造りで、日本百名城にも入っている。中は藤堂氏を中心とした展示であふれており、まぁ本来の中世の城とは程遠いけどね。
伊賀なので、公園内には「忍術博物館」なんかもあって、忍者屋敷のいろんな仕掛けを解説してくれるのはなかなか面白い。展示は忍者ものとしてはまぁ普通だが、外国人のお客さんが結構来ていた。彼らにとっては興味深いだろうなぁ。休日は忍術ショーなんかも行われるようだが、この日は残念ながら休みだった。
伊賀は組紐も有名で、公園の外だが隣接した場所にある「組匠の里」というところに行って、かあちゃんへのお土産のキーホルダーや、自分用に眼鏡を首にぶら下げる紐を買った。このころになって前日午後から降り続いた雨がやっと上がった。
この日の宿はここからまた1時間ちょっと走った四日市の「スーパーホテル四日市国道1号沿」。スーパーホテルは前回島根の江津で泊まった時に書いたが、徹底的に事務を削減し、その分お得に泊まれるのがいいよね。枕はかなり多くの選択肢の中から選べるし。三重の全国旅行支援は、予算が尽きたらしく終わってしまっていたが、ここは割引なしでも一泊6,400円で朝食&温泉付き。駐車場の数が少なく、ちょっと歩く場所まで停めに行かないといけないのは残念だったけど。
この日の夕食は、旅行支援関係なしなので、食べログで高得点だった「骨付鶏かもん」で、皮はパリパリ、中はジューシーな腿肉ソテーの定食をいただいた。スパイスがかなり効いていたが、これはかなり美味。
ということで3日目と4日目の記録でした。明日はこの旅も最終日。こんどは新東名を通って長躯帰る予定です。
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