なんか大きなお金を使う話ばかりで、リタイアした身で大丈夫かいなとご心配頂いてしまうかもしれないが、今年予定の3つの大きな投資は、いずれも退職シミュレーション時から考えていたもので--当初見込よりも150万ほど増えてしまったけど--、むしろリタイアしたおかげでいずれも綿密な検討が可能になったという話なのでね。
てことで今週は、まだ契約もしていないし実際の納車は半年後になるので書くのはスルーしようかとも思っていたのだが、マインドシェアのかなりの部分を占めた新車購入検討の話を書いておこうかと。
我が家は約33年前に初めて自前で買った車がユーノス500だったのだが、それ以来ずっとマツダの車に乗っていて、それは過去2回の買い替えの時にこのブログにも書いた通り、王道ではなく独自の道を、それなりの高い技術力を背景に行く--というか行かざるを得なかった--マツダのスタンスが好きだってのもあってね。
なので燃費の良さと走りの良さの両立、それを新たな魅力的かつ現実的なパワートレインで実現してくれる車--例えば今のアクセラで言えばクリーンディーゼル--を提供してくれる限りは、マツダの車を買ってあげたい気持ちはあったのね。ずっと同じ営業マンなのでもう長い付き合いだし。
ところが今回はね、電気自動車系の対応が遅れてしまったことで、完全に逆張り戦略に出ざるを得なかったマツダに、魅力的なパワートレインの車がなくってですね。まぁPHV車とかは出してるけど高すぎるし、マイルドハイブリッドって言う、走り出す時とか一部でモーターがアシストする、言ってしまえば電動自転車の自動車版みたいなのは比較的廉価で出してはいるんだけど、結局通常は普通のエンジン車だし。
てことでまだ契約してはいないが、アクセラはホントにいい車だったこともあって初めて3回の車検を通し9年乗ったのだけど、今回も3回通すとするともしかしたら人生最後の新車購入になるかも知れない、というこのタイミングで、ついにマツダを抜け出して、日産のキックスに乗り換えることを検討しており、今週試乗車に乗って来た。
電気自動車は多くの会社で出しているけど、補助とかがあるとは言えまだ高く、しかも航続距離が200kmとか250kmとかなので、我が家の場合息子の家までの往復もおぼつかない。つまりぼく的に言うと現実的な選択肢ではない。
ナトリウムイオン電池とか全固体電池とか、リチウムイオンに続く次世代のバッテリーの研究も進んでいるが、これらが実際にEVの電源として実用化され市場に出てくるまでには、いろんな説があるが、まだあと10年近くはかかるだろう。またこれらによって電池容量が劇的に改善するかについては、懐疑的な声もある。
そんな中で、日産のe-Powerという選択肢は、現時点で電動ベースの車に比較的安価で乗りたいという要件に対しては、極めて現実的な回答だと思うのよね。ルノーとの問題ですったもんだし、企業として大きく変わらざるを得なかった日産は、まぁいまやってる各種CMは多少煽りすぎではあると思うものの、正しい方向に技術を磨いている会社だと感じる。
e-Powerというのは、HV車とは違って、車輪の駆動自体は100%モーターが司るが、蓄電池に充電するために発電専用のエンジンを搭載する機構で、エネルギー源は普通のガソリンなので、もちろん完全なEVよりは走行中のCO2排出量とかは多いが、航続距離はガソリン車と変わらず、燃費はかなり改善している。
今年の三大投資の一つ、これも別途書くつもりだが、家庭用蓄電池の発注先であり、我が家のメンテナンスをしてくれているM社の大宮支店の担当S氏は、蓄電池業界では講演なんかも頼まれるようなちょっとした権威らしいのだけど、この方に訊いても、次世代蓄電池が実用化するには時間がかかる、その間のつなぎの技術として、e-Powerのようなものは大変現実的で、当面市場で大きな位置を占めるのでは?と言っていた。
ちなみに家庭用蓄電池としてEVの電池を使うという話が、エコ社会の青写真の代表例みたいに言われることがあるが、今回学んだこととして、実際には車の動力として電池を使ってしまう量や、車が家を離れている時間がどのくらいか予測しづらいことで、太陽光発電や夜間電力と連動した蓄電制御が難しくなる問題や、なにより車と接続するためのアダプターが、現在100万とか120万とかするということで、これまた現実的とは言い難いようだ。
てことで話を戻すと、現在e-Powerを搭載している車種の中で、これまでハッチバックではあるがセダンに近い車高のアクセラに乗っていたことから、今度はSUVがいいなぁと思っていたこともあり、車格もいきなり落ちすぎない範囲でということで、フロントパネルがなかなかカッコいいし、キックスがいいかなと、1年くらい前から漠然と考えていた。
今新車の納期がすごく長くなっていることもあり、アクセラの次の車検が11月なのだが、そろそろ動き出さないと間に合わないだろうってことで、リフォームだの蓄電池だのの検討が一段落した先週日曜に、近所の埼玉日産和光店の試乗車をネットで予約。
それからそれまでも漠然と集めていた情報を、月曜日から火曜日、どんなグレードがあるかから、ネットに公開されている各種マニュアルを読み込むところまで、けっこう徹底的に収集、ブラッシュアップし、買うならこのグレードでこういうオプションを付けるかな、というところまで検討を進めた。
キックスは昨年の夏にマイナーチェンジし、発電用エンジンが作動した時の動作音を、それまでに較べかなり抑えたという。それがどのくらいのレベルかを始め、いくつかの確認事項をリストアップし、今週水曜日の4時ごろ試乗に向かった。
ちょっと説明を聞き、実際に試乗車に乗る。スイッチを入れる感覚はアクセラも一緒だが、もちろんそれでエンジンがかかるわけではなく無音でスタートする。シフトレバーもパーキングブレーキも電子式なので、最初ちょっと戸惑う。
エンジン音確認のため、予め高速に乗りたいと申し入れてあったが、ちょっと慣れてからというので近所をぐるっと一周し、それから外環に乗る。試乗車は4WDだったが、モーターの加速はかなりよい。アクセラのディーゼルも相当なものだが、トルク感はほぼ同じで、レスポンスはやや早いと感じる。
プロパイロットという半自動運転の機構があり、これに似たものはアクセラにもレーダークルーズコントロールというのが付いていたが、それとは違い時速30km以下になっても勝手にキャンセルはされない--渋滞時停止してもボタン操作だけでそのまま前車追随を続けてくれる--し、車線の中央にいるよう、警告音を出すのではなく自動的に細かくステアリングを切ってくれる。これは歳とって高速走行に昔ほど自信が持てなくなってきた身にはありがたい。
エンジンがいつ回ったかは、高速走行をしている限りロードノイズの方が大きくてほぼわからない。ゆっくり走ってるとわかるけど、気になるほどの大きさの音ではない。
外環を西川口まで行って298号を戻ってきて、最後に我が家のそばの、荒川河川敷から台地に一気に登る坂を上ってみたが、いやいや、このSportsモードのトルク感はなかなかのものだ。
これまでと一番違うのは、3種類のモードのうち2つでは、アクセルを離すとそれだけで回生ブレーキがかかり、それで発電する機構で、ぼくは癖としてなるべく燃料を使わないように停まる前にはアクセルを離して惰性走行をすることが多かったので、これは慣れが必要だ。
ただ効率的な充電は必須なのでこの仕組みはよいことで、それが嫌なら薄ーくアクセルに足を載せておけばよいということはわかった。それかブレーキがかからないモードで走るかだが、そこまですることはなさそうだ。スイッチを入れ直すとデフォルトではECOモードになるということなので燃費もよく、カミさんが乗る時向けにはその方がありがたい。
あとよかったのはオートブレーキホールドという、ブレーキを踏んでいったん停まれば、足を離しても次にアクセルを踏むまでブレーキを踏んでいるのと同じ状態を保ってくれる機構かな。これも慣れずに半分くらいはつい踏み続けてしまったけど、慣れると楽だろう。次にその機構がついてない車に乗った時に危険かもだが。
その他、バック時のアラウンドビューモニターとかなんじゃかんじゃ、ものすごく技術の進歩を感じる車だった。アクセラからダウングレードするのは、車から離れると自動ロックがかかる機構と、雨が降った時のオートワイパー、エアコンの温度設定が運転席と助手席で別にできる仕組み、あと運転席シートの電動位置調整くらいかな。いずれもそれほど致命的なものではない。
買おうと思っている2WDだと今より燃費は3~5割程度よくなるし、特に市街地で燃費がよいというのがいい。試乗を終わってから見積もりを出してもらい、予想通り強気であまり値引きはしてくれなかったけど、これは買いですね。
来週長年の付き合いのマツダの営業マンが、CX-30マイルドハイブリッドの見積りを出してくれるとのことだが、定価はほぼ同じでもこっちは多分大幅に値引いてくるだろう。でも仮に50万とか70万とか差がついたとしても、基本普通のエンジン車を買う気はしないなぁ。
カミさんに相談して、高い買い物ではあるのでひとしきり意見は言われたが、安全機構の進化とかを説明したら一応納得はしてくれたようだ。色は今のアクセラのマツダ・ソウル・レッドほど美しくはないが、赤と黒のツートンがいいだろうということになった。
問題は納期で、今からだと12月第1週になるとのことで、1ヶ月ほど車がない状態になるかも、ということだな。半導体市況は改善してるので、早まる方向だと思うとは言っていたが。
てことで、一応来週のマツダの見積り次第ではあるけども、初めてマツダを裏切り日産の車を買うことになりそうです。
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