4日目、姫路城を出て向かったのは、東へ徒歩10分弱のところにある「播磨国総社 射楯兵主(いたてひょうず)神社」だ。8世紀以前から「射楯の神」を祀っていたことが風土記に書かれており、その後平安期に播磨国内の大小明神百七十四座の神々を合わせ祀って「播磨国総社」となったという由緒ある神社で、本殿、拝殿以外にも、大小20以上の社が並んでいる。
ここでは拝殿のほか、子宝の社はなかったので、代わりに安産の御神徳があるという社にお参りし、娘夫婦に「しあわせ守り」というちょっとオシャレな袋のお守りを買った。先週土曜日に夫婦でウチに泊まりに来た娘にあげたら、「またなんか子宝系のお守り買ってくると思った」と笑われた。
元来た道を戻り、途中「イーグレひめじ」という複合施設内にある「千姫茶屋」でしらす丼をいただく。この地に縁が深かった黒田官兵衛の兜を模したと言う巨大な丼の真ん中に、普通盛のごはん、その上にしらす、玉子、周りに味付け海苔が散りばめられ、なかなか美味しい。
それから大手門駐車場に戻り、そのすぐ前にある好古園に入る。ここは平成に入ってから市制100年を記念して造られた日本庭園で、テーマの異なる9つの庭をまわって行くようになっている。各庭はそれぞれに趣があるが、「姫路城を借景にして」と言うほど姫路城は見えなかった。
好古園を出て今度は西へ、途中から北に折れ、10分程歩いて「姫路文学館」に行く。ここはとてもモダンでオシャレな建物で、播磨ゆかりの作家や学者の資料を集め展示しているが、全体的には興味がなければ面白くはないものの、姫路城の歴史を古代から現代まで詳細にたどる展示が勉強になる。また、別館に姫路に縁が深く「播磨灘物語」などを書いた司馬遼太郎の記念室があり、司馬ファンの1人として見に行ったのだが、この展示もまぁそれほどのことはなかったな。
ここを出て今度は東へ歩き、姫路城の園地の北側に入って、「兵庫県立歴史博物館」に行く。ここもモダンな建物の上に規模が大きく、「姫路城大解剖」という展示では、姫路城の構造や、昭和の大修理の模様が、シアター上映なども含めて詳細に語られているほか、この時の企画展はなぜか沖縄の首里城の特集だったが、これも姫路城とは関係ないものの悪くはない。
また前回書いたが、「日本の城大百科」というコーナーでは、国宝5城の他各地の城の大きさを同じ縮尺の模型で較べたり、日本の城のいろんなトピックスを模型やパネルで展示してあって、これはなかなか興味深かった。(写真左が彦根城、右が姫路城)
歴史博物館を出て城の東側をまわり、また三の丸の大広場に出て駐車場に戻る。この日の宿は姫路市内の「キャッスルグランヴィリオホテル」で、ビジネスホテルに外来温泉施設を併設している、近頃お気に入りのパターンだ。施設がやや古く部屋が狭いが、駐車場が無料で朝食付き7,000円台というのがよい。夕食は地元のチェーン店「ズンバーグ2nd」という店でハンバーグを食べたが、これはまぁ普通だったかな。
5日目の最終日は、まず車で姫路市郊外の「書寫山円教寺」に向かう。10世紀に性空上人によって開かれたここは、こないだ大河ドラマでやっていた、藤原氏の陰謀で退位させられた花山法皇の御願寺で、法皇はここに2度行幸されたという。
書寫山へはまず麓からロープウェイで山上へ上がり、ここから歩いてもよいのだがけっこう大変なので、ぼくは本殿(「摩尼殿」)近くまで行くバスに乗って行った。この「摩尼殿」を始め9つのお堂や鐘楼が重要文化財で、いずれも森の中に荘厳な佇まいで建っている。一部のお堂の中には重要文化財の仏像などがあるが、いずれも入れないか、入れても中が暗くてよく見えなかった。
ちなみに冒頭の写真は重文の1つ「開山堂」の屋根の四隅を支える魔物の1つで、4匹のうち1匹は重さに耐えかねて逃げ出したという伝説があるそうで。なかなかかわいいでしょ。
この日は朝から曇り空だったが、この書寫山のお堂の間は森の中のハイキングコースみたいになっており、歩いて行くとなかなか気持ちがよい。晴れていたら葉の裏写真がたくさん撮れただろう。山の下の景色も見づらくはあるものの一部の場所から見れるが、海上などの遠景は霞んでいたな。
書寫山は想定外に歩きやすく、予定を1時間近く巻くことができたので、山を下りて昼食にするのをやめて、先に明石海峡大橋のたもとにある「舞子公園」に移動する。ここは公園自体はもともとあったようだが、橋ができて大きく衣替えし、橋桁の中空に「舞子海上プロムナード」などの施設が作られた。
ここは道路の下の鉄骨の橋桁の中を、約50m下の海上を眺めながら歩いて行けるようになっており、途中床がガラスになっている場所はかなりスリルがある。その橋桁周遊コースの半ばに、展望カフェレストランがあり、ここで「たこカレー」を食べる。
この店は「たこ飯セット」「たこのから揚げ」などたこにちなんだメニューが多く、なんで?って訊いたら明石はたこが名物なんだそうで。売店にもやはりたこのぬいぐるみとかたこ関連グッズをたくさん売っていたので、元はと言えば本意ではないながら一応「タコボー」を名乗っている手前、ぬいぐるみの小さいのを1つ買った。スティックケースにでもつけておこうかな。
それから橋の横にある「橋の科学館」に行く。ここでは明石海峡大橋をどうやって架けたかを3D映像なんかを交えてかなり細かく展示しており、なるほど、日本の建築技術の粋を尽くして造られたものなのね、ということがよくわかる。
舞子公園をこれまたかなり時間を巻いて後にし、時間があったら最後にまた行こうと思っていた、この日2年半ぶりに耐震工事を終えリニュアルオープンしたメリケンパークの「神戸ポートタワー」に向かう。
だけど初日に停めたのと同じ駐車場に車を停め、タワーに行ってみると、なんと!タワーの上層階に行くにはネット予約が必要で、この日の予約はもう20時以降の分しか空いてないという。しまった、用意周到なワタクシとしたことが!まぁ行けるかどうかわかんなかったから仕方ないよね。
しょうがないのでこれも月曜は休館日で入れなかった「海洋博物館」に行く。ここはいろんな船の大小の模型をたくさん展示してあり、細かく作り込まれていてなかなか見応えがある。企画展「龍馬さんと神戸の夜明け」というのをやっており、まだ何もない漁村だった神戸に勝海舟と共に軍艦操練所を造った歴史が詳しく展示されていて、これもまぁまぁ面白い。
この日はメリケンパーク一帯にほとんどハチ公広場かと見まがうほど若者が集まっており、なんじゃこれ?と博物館のお姉さんに訊いてみたら、GW前日は神戸一帯の高校はみんな課外活動とかになり、メリケンパークがその集合・解散場所になるんだそうで、ポートタワーのオープンとは関係なく、年に一度だけ、神戸中の高校生が集まる日なんだって。なるほど、それもまた珍しいところに遭遇したね。
てことでこの旅もこれでおしまい。ガソリンを満タンに入れ、レンタカーを返し、新神戸駅でお土産に「オーブンチーズスフレ」とお弁当を買って、17時52分ののぞみ44号に乗って帰って来た。
次回は連休後半のカミさんとの四万温泉旅のお話になる予定。5月は下旬にもう1回一人旅に行く予定にしていて、11月と共に旅強化月間になります。やっぱいい季節は旅だよね。
てなことで、我々夫婦は今日、37回目の結婚記念日を迎えました。ぼくは朝から掃除だのなんだのやんなきゃだったのでパスしたけど、カミさんは昭和記念公園に行ってネモフィラなどを観てきた。カミさんの一人レジャーは大変珍しいことだけど、まぁそういうこともあってもいいよね。
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