「男の人ってなんで...」「女って奴ぁさぁ...」という嘆き、ぼやきを聞くケースは結構多い。自分の恋人とか配偶者の批評に過ぎないはずなのに、なぜだか「男」「女」というものすごく広ーいカテゴリーまで演繹して語ってしまう。あれは、直接自分のステークホルダー(利害関係者)の批判につながらないようにする無意識の保身なのか?
いやいや、そうとも言えないよね。ステークホルダーについて語る時でなくても、会社の同僚とか先輩後輩や、友人とか、そういう人のことを語るときでも、なぜだか「男」「女」っていう人類最大の絶対的2大類型にまで広げて言いたがる。
自分と同性であれば心情的にそんなに大きく変わらないはずっていう、きわめて根拠の薄い思い込み、というか無意識の勘違いが、なぜだかそういう時には働く。男女の差よりも、個人の生い立ちとか生活環境とか持って生まれた性格とか、そういうものによる差の方が、どう考えても大きいはずなのに、あれは不思議な現象だよね。
ひとつにはステレオタイプって言うか、Yes/No、好き/嫌いを始めとして、「どちらかと言うと」みたいなエクスキュースがついたとしても、2者択一って言うのは、一番わかりやすいモノの問い方であり、答え方だから、っていうのはあるんだろうね。血液型の4類型くらいが、人間考えられるものとして限界で、だから星座なんて本来12あるのに、火、土、水、風の4種類にまとめて語ったりするもんね。
じゃあ本来の男女の違いってどういうところにあるんだろう?これはなかなか深い設問で、多分今回だけじゃ語り切れないだろうから、これはまたシリーズ化するかもしれないんだけど...
以前、前の会社の後輩の女子がこんなことを言っていた。「頭の中でこんがらがった糸をほどいていくようなことは、男の方が向いていて、女には苦手な人が多い。」これは結構本質を突いた言葉かもしれない。
SPIという前の会社の関連会社の商品の入社試験プログラムの一部に、TI型という性格類型診断みたいなのがあった。今はもうあまり使われてないみたいだけど、この診断って言うのがなかなかよくできていたとぼくは思っている。これは、人間の性格を4つの側面で測定するもので、自分の思考や行動の傾向を設問に従って答えていくことで、4つの側面のそれぞれの強さによって、256通りの性格に分類するんだけど、これがびっくりするほど自分の性格を言い当ててくれるものだった。
4つの側面って言うのは、E(外向)かI(内向)か、N(直観)かS(感覚)か、T(思考)かF(感情)か、P(いいかげん?)かJ(判断)か、の4つになる。ぼくはENTPと診断されたんだけど、この中でぼくが最も強い傾向が出たNと、その反対のSっていう分析が、ぼくにはとても新鮮だった。
直感的という言葉があって、瞬間に感じ取るという意味だけど、同じ音なので誤解されやすい直観という言葉は、物事の本質を見抜く、という、ある意味逆の意味を持つ。例えば灰皿があった時に、Sの人はこれは灰皿であると認識し、灰皿としてどう使うかということを考える。一方Nの人は、これは本来どういう機能を果たせるもので、だからこれを何に使えるかということを考える。
ちょっとわかりにくいかもしれないけど、要は直観の人って言うのは理屈っぽくて、とんでもない論理だったとしても、無理にでも論理的に語ろうとする。感覚の人は、言葉巧みではないかもしれないけど、自分が感じたことに対して素直であり真摯であり、時には頑固ですらあったりする。
これって、男女比がどうだったか統計数字を見せてもらったことはないんだけど、前者が男性に多く、後者が女性に多いって感じがしない?
もちろん女性にもものすごく論理的で、理屈で戦って勝てないような人も何人もいた。仕事柄、そういう人はたいていは、優秀なSEだった。だけど大きな傾向としては、やっぱりそういう人は男性に多いし、そういう優秀なSEの方々も、恋愛話なんかを聴くと、びっくりするほど非論理的で、それをこう表現したら怒られるかもしれないけど、女性的だなぁと感じることがあったりした。
一見、TI型の性格類型の3つ目の、T(思考)かF(感情)かの方が、男女差に近いように思えるけど、これは実は男女差ではなくて、個人差の方が大きいように思う。感情という言葉は感情的というイメージにつながるけど、これは別の話で、たとえば"優しさ"みたいなものだって感情の1つだし、だいたい感情的になることって、"男の意地"とか"けんかっ早い"という言葉で表わされるように、男性にだってよくあることだ。
感覚の人が多く、説明しろと言われても言葉がうまく出ない、というか彼女にとっては言葉で説明することにあまり重きを置いていないだけなんだけど、これを男性の立場から見て感情的だと表現しているだけなんだよね、たぶん。
長くなりましたが、「話を聞かない男、地図が読めない女」とか、その他にも男女差を分析した質の高いものってけっこうある。今日書いた観点とは違う観点でも、男女差だなぁと感じることはいくつもある。なのでまたいずれ書きますねこれは。
これまた写真に困る内容ですなぁ。
コメント