我がバンド「健康」の、珍しくぼくが作った新曲「うらはら」、この曲はもうなんと去年の8月に一通りレコーディングをやっていたんだけど、ドラムとベースがどうもぼくとみのりんが気に入らんので録り直すことになって、前に書いたようにパターンの打ち込み直しをしていた。そのドラムのレコーディングを、スタジオの都合で今日やっと行った。
これ、過去書いたとは思うんだけど、「健康」のレコーディングは、ギター&ボーカルのブーランが副校長を務める『音響芸術専門学校』のレコーディングスタジオを借り、その生徒を勉強のためと称して口説きエンジニアをやらせて録っている。なので素晴らしいことに、基本的にまったく金がかからない。
生徒と言っても「研究生」と言って、専門学校なんだけど大学院みたいな、2年の課程を終えて卒業して、さらに学校に留まって研究課題をこなしている子たちなので、技術的にはもう十分"仕上がって"おり、歴代ついてくれた子たちは皆、優秀なエンジニアだった。
去年からつきあってくれているK本くんは、某一流レコーディングスタジオに就職が内定しており、今は内定者アルバイトみたいな形で、スタジオの掃除とかをやらされているようなんだけど、今日はそのバイトを休んで、みごとなProToolsさばきを見せてくれる。
そう、「健康」もProTools慣れしてきちゃったんだよね。おととしの12月に出した1stアルバム「健康」の時は、コンピュータは意地でも使わず、24トラックのHDレコーダーで、パンチイン・パンチアウトで録ってたのにね。最近はブーランは恥も外聞もなく「編集」という言葉を口にする。あー、なんという堕落!
と言いながら、今日はぼくも編集にずいぶん助けられた。いや、自分から編集して、っていう言葉は--たぶん1回くらいしか--言わなかったと思うのよ。だけどパンチイン、アウトしたポイントで、K本が「ちょっと残響入っちゃったんで編集しまぁす。ちょっとお待ちください」って言うのに対しては、もちろん「ハーイ!」って言って機嫌よく待ってたからね。
今日は学校はオープンキャンパスの日で、つまりブーランが年中苦心惨憺している生徒のリクルーティング--彼はそのために、日本中、いや、韓国やら台湾やらもだからもはやインターナショナルに飛び回っている--のために、見学の人が来る日で、要はそのネタにされたのだけど、まぁこのくらいの協力は当然のことだ。なにしろぼくだって、一応この学校の"評議員"なのだしね。
そのためなのかK本の意地なのか、今日は1時にスタジオに入ってみたら、通常は9本で録るところが、なんと15本ものマイクが立てられていた。スネアの表裏に1本ずつ、バスドラに2本、少し離れた距離から部屋の残響も含めて録るアンビエントマイクが3本という大盤振る舞い。「今日は完璧ッス。余計な音拾ったりしないッスから」とK本は自信満々だ。さすがメモリの許す限りトラック数に限りのないProToolsの威力。
今日は、スネアを前回と変えたりしたこともあったけど、確かにK本の自信も納得な感じのヌケのよい音が録れていた。見学の方の数も少なく、何に使うのか聞かなかった写真撮影とかもあったけど、ほとんど気を取られずに、まぁそれなりのテンションで気持ちよくレコーディングが進む。
シルバーウィーク最終日から、おととい、昨日と、会社から帰ってきた夜に、自宅のRoland V-Drumsで練習し、まだ自分で作ったオカズを情けないことに--寄る年波には勝てんのよ--全部憶えきってないけど、それなりに叩けるようにはなって行った甲斐があった。ま、ずいぶん簡単なパターンにしちゃったからね。素人目にはわからないように。
なにせアレンジャーのマキゾエ自身が、事前確認のために「健康」GoogleGroupで共有しているデモファイルを聞いて、「これ、前のとどこが変わったの?」とホザいた--こんだけ変えたのにわからんのかい!お前の打ち込むいかにも機械のパターンをなるべく再現しようと苦労していたワシは、ただのくたびれ損かい!--くらいだからね。
娘をバレエに連れて行かねばならんので、最悪でも6時半には家に帰りたかったのだけど、そんな心配をすべくもなく、開始から2時間ほどの4時頃には、もう全てOKで演奏は終わり、デモ音源に落とすための仮バランスとかの作業に入っていた。すばらしい!
もっとも今回はマキゾエ--コイツはまぁ、いなくても元々あまり関係ないのだけど--も、みのりん--コイツが大変だ!後でダメ出しなんてしょっちゅうなので。今日は体調を壊して--もお休みだったし、ブーランも仕事で席の暖まらない状態だったので、ほぼセルフプロデュースだったからってもあるけどね。いや、妥協はしてませんですよ。
この段階では残念ながら、この音源を皆さまにお聞かせするわけには行かないのだけども、今日はまぁまぁのデキだったんじゃないの?なんて書くとみのりんにお叱りを受けるかもしれないけども。
いやいや、なかなか気持ちよい午後でしたよ。
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