「あれ?今年って平成22年でしたよね。」と、ここ半年ほどのぼくの部下であり相棒の働き者、Kに訊かれた。本人もある程度自信はあったようなんだけど、なんだかどこかの役所だか審査機関だかに届け出る書類を書いてるんで、念のため確認したらしい。ぼくは自信を持ってYesと答えた。
なんだか今年は、2010年、平成22年っていう年号が、例年になくしっくり来てるというか身についている。なんでだろ?大体いつも、2ヶ月くらいは慣れなくて、下手すると半年過ぎても特に平成のほうは自信が持てなかったりするのにね。
やっぱこれって、2010って言う数字が切りがいいからなのかな。平成のほうは、去年が21年だって言うのが、この半年レターを作ることが多くて、すごく刷り込まれていたからなんでしょう。
でもさ、切りがいいってどうなのよ?ってぼくは実は常々思っていて。あ、これ前にも書いたかな?
10周年とか100周年とか、そりゃまぁ気持ちはわかるけど、4とか9とかだとあまりもてはやさないのに、5だ7だ10だを持ち上げるのって、完全にただの縁起かつぎでしょ?あと十二支系のやつ、例えば還暦とかって、人間の寿命から逆に狙ってその辺の年齢をありがたがるようにしたってことじゃん。
1年って単位は自然の季節の巡りだから、人為的なものではないのだけど、太陽暦でのより正確な1年と、江戸時代以前の太陰暦ではそもそも全然違ってて、閏月なんてものがあったりして、1年っつっても長さがまちまちだったのに、それでも1周年は1周年だったわけだよね。なんかどうなんだろそれって。
大体、10進数というたまたま便利であったために、もともとはインドローカルのルールが定着した数の数え方をベースに、10年、100年をありがたがるのってのも、言ってしまえば根拠レスだ。
それよりは2のべき乗のほうが、コンピュータ社会である現代にはふさわしいかも、と思いませんか?ほんとに隅っこのほうだとは言えコンピュータ屋の端くれであるぼくは、やっぱ256とか1024とかって言う数字には反応しちゃうもんね。でも16周年、64周年をありがたがるってことにはならないよね。
あと、数学の研究者だったら、いやいや、本当に美しいのは素数だよ、とか、平方数だよ、とか言う人もいるかもしれない。だけど17周年とか36周年とかを祝っていたら、それはやっぱりヘンな人だ。
レコーディングエンジニアとか、db(デジベル)の世界で生きている人は、6とか20とかっていう数字に反応するだろうし、CDのマスタリングエンジニアだったら音声録音時のヘルツ数だったり、映像系の仕事をしている人なら秒あたりフレーム数だったり、そういう数字を無意識に意識しているだろう。
つまり社会情勢とかその人の生業とか、それによってもぴんと来る数字ってのは違うはずで、その中でも多くの人の納得度が高い「切のいい」数字を利用した、まぁ要は記念日の裏づけが欲しいコマーシャリズムに毒されてるって話じゃないですか。
今年は平城京遷都後1300年記念だそうで、ってのを奈良県の交通広告かなんかで見た。"せんとくん"が活躍するこんなホームページもできている。あぁそう言えば「なんと大きな平城京」だったよね。
しかしあの、西暦で歴史を語るのってのも、そもそもどうなんスか?まぁ開始以来1に戻ることなく続くシークエンシャルな数字は、これまた便利なのは確かで、平安京遷都までが84年だったんだよね、っていう計算がやりやすいのは事実だ。
だけど、桓武天皇が今年は794年(鳴くよウグイス...だったよね)だね、なんて思ってたはずはないわけで、モノサシとして西暦で語るのは道具として仕方がないとしても、それを暗記させて、試験問題にまでしちゃうってのは、どうにもナンセンスな気がする。だから多くの若者が、日本史嫌いになっちゃうんだよね。もったいない。
そうは言え受験勉強は30年経っても身についており、数を数えるのに、538(お寺に「ご参拝」仏教伝来)とか、かの有名な、でも最近の学説ではその年が幕府設立と見るのは正しくないと言われているらしい1192とかって言う数字に触れると、恥ずかしながら「お」と思ってしまう。情けない限りだ。
でもまぁ仕方ないでしょ。当時山川の日本史の教科書は、ほとんど全編暗記するほど読み込んでおり、受験仲間だったブーランとかと、「松岡洋右は...」「席をけって退場した!」なんて、傍から見ると禅問答みたいなやりとりをしていた身としては。自己弁護。
話を戻すけど、まぁだから、何周年だとか、誕生日だとか、バレンタインだ、クリスマスだって言うのも、みんなただの「拠り所」なんですよね。宗教と同じ。
それが気に入らないなら、自分で新興宗教でも興して、世間の一般的な通年とは違う数字に「背景」をこじつけて、その日付やその年をありがたがるしかない。
そこまでしなくとも、自分だけの世界でもよいのだけど。10周年?だから何?ってさ。変人と思われようとなんだろうとね。
なんて言いながら、冒頭で言ったように、2000よりはだいぶ切のよくない2010ですら、憶えやすくていいや、とも思う、いつものごとく超身勝手なワタシでした。
あ、そう言えば「2001年宇宙の旅」の二番煎じで作られた「2010年」って映画があったけど、あの年なんだね今年。Laser Disk(!)で観たなぁそう言えばこれ。懐かしい!
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