DVDを借りてきて、「DVD Shrink」や「DVD Fab」でバックアップを取るようになってから、折に触れて気になり、あれ?レンタルしてないんだっけ?と探し、何度かあったその機会には、TSUTAYA朝霞店には在庫がなかった映画、「Love Letter」が、7月にHDリマスターで再発売されたとのことで、TSUTAYA店頭に並んだ。
毎週DVDや最近はBDを、半額レンタルの火曜日に借りてきてそのまま置いておき、土日に観て、翌火曜日に返す、というのが普通なんだけど、新作棚に旧作料金でディスプレイされていたこの「Love Letter」は、つい水曜日に半分、飲み会のあった木曜日は措いて金曜日に残り半分を、深夜にもかかわらず観てしまった。
ここんとこご無沙汰していたとは言え、TV放送とかも含めてもう5回くらいは観ているはずなのに、ヤバい、やっぱり素晴らしい。過去ぼくが観た日本映画で間違いなく5本の指には入る、いや1,2位を争う名画ですなこれは。
言わずと知れた岩井俊二監督の1995年の長編映画デビュー作、ぼくは確か「スワロウテイル」を先に観たので、少し世に拗ねたというか、アナーキー系というか、サブカル系の人なのかなぁ、というイメージを持っていたため、この映画を観たときに、そのものすごくピュアで真摯な内容、映像の美しいことに、ホントに感嘆したのを憶えている。
今回改めて観て、1日目、よく半分でやめられたなと思うんだけど、思ったのは、完璧だね、この映画。無駄なシーンなんてカケラもない。今年の2月にBSかなんかで放送したらしいんだけど、その時は鈴木蘭々が出てたシーンとかをカットしていたらしい。この映画をカットできるディレクターの気が知れない。
岩井監督の美意識が満々と詰まっている。神戸や、特に小樽の町を、必ずしも美しく、ということではなくて、その雑多さや古びた感じや、ノスタルジーや澄んだ空気感や、中学生のキャピキャピ感まで、自然でナイーブに描いていく。音楽もいい。
しかも脚本がよく出来ていて、偶然を描いた映画なのだけど、完全に現実に起こり得る想定だ。誰かが生き返ったりとかタイムスリップしたとか、そういうファンタジックな要素は、考えてみれば一切ない。なのにファンタジーの要素を濃厚に持っている。
中山美穂がまた素晴らしい。2役の、全然違うキャラクターを、それぞれに自然に演じ分けている。なによりかわいい。とにかくかわいい。
最近は「サヨナライツカ」という映画に出演し、こないだ観たけど濃厚なラブシーンがあったりしてかなり妖艶な不思議美女を演じ、熟女の魅力を振り撒いていた。でも「Love Letter」の彼女は、20代前半で、生命力が内側からあふれ、剥きたての卵のようで、清楚で美しい。
この映画は韓国や香港でもロングラン公開されたとのことで、その後小樽の町は韓国人、香港人の旅行客であふれたと言う。
でも岩井俊二監督は、「花とアリス」以降、ちょっと落ち目気味だよねぇ。あんまり目立つことがない。と思って調べてみたら、最近ではKAT-TUNを脱退した赤西仁が主演した「バンデイジ」の脚本とプロデュースを務めたんだね。そうだったんだ。知らなかった。
実は「バンデイジ」は、赤西命のうちの娘が、まず映画を観に行くのにその初回特典のなにがしかをGetするために--結局Getできなかったんだけど--家族総出で苦労した。その後先日発売されたBDの初回版を、Amazonで予約して買ってやり、その後これはそのまま彼女の誕生日プレゼントになった。
そうか。そんなら観てみるか。「バンデイジ」。アイドル映画には興味なかったけど。
あと惜しむらくは、この「Love Letter」、せっかくHDリマスターしたというのに、どうやらBD版は出ていないらしい。DVD版は、やっぱりちょっと画質が落ちる。BDで出してくれないかなぁ。そしたら無条件で買うのに。
しかもどうもよくわからないのだけど、このHDリマスター版、どうやらレンタル用にしか売ってないみたいだ。Amazonで売っている--冒頭写真のリンク先--のは2001年に出た元の版みたい。だから、買うより借りるほうが少し画質がよいかも。
てことで、まだ観てない方は、ぜひ観てみてくださいませ。
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