今日のネタはまた、バンドで打楽器をやってる人以外には、なんのこっちゃ?もしくは、どーでもよくね?ってお話しかもしれません。あらかじめお詫び申し上げます。
ガルブレイスの邦訳題「不確実性の時代」という本が日本でベストセラーになったのは1978年のことだというから、サザンオールスターズがあの「勝手にシンドバッド」で鮮烈デビューをしたのと同じ時期、ぼくらが高校2年でまさに青春を謳歌していた頃だったんだね。この不確実性-原語だと「Uncertainty」-とは、何が起こるか、発生確率すら予測できないことを言うんだそうで。
日常生活の中で、身近にいるだけに最もその影響を受け、かつ男性型の論理展開も全く受け付けずに、んなこと言ったってわかんないもんはわかんないよと言い放たれ、反論もできず、ぼくのような理屈っぽい人間のフラストレーション--というかそんなもんはとっくに通り越した諦念--の原因となるのが、カミさんというものの行動原理の「不確実性」だ。
なぁんて大げさな話ではないのだけども、とりあえず今困ってるのが、来週17日に二子玉で行われる、同期女子に頼まれてお手伝いしているバンド「d2p8」が出演するライブに、カミさんが来てくれるかどうかってことなのよね。つまりそれによって、車を出せるかどうかが決まり、さらにそれによって、持ってく機材を運搬するためのバッグだのキャリングケースだのが決まってくるわけで。いや、打ち上げで酒が飲めるかどうかの瀬戸際ってだけの話だから、言っちまえばホントにそもそも「どーでもーいー」んですけどもね。
ドラムって楽器は、もちろんプロであれば、いや過去学生のころにヤマハのYD-9000シリーズのドラムセットを所有していた頃はぼく自身もそうだったけど、自分のセットをライブの度に運搬して組み立て、またバラして撤収するため、他のどの楽器よりも本番前後が大変だし時間がかかる。でもアマチュアであればたいていは、ライブハウスにあるセットをベースに、スネアとかバスドラのペダルとか、一部のシンバルなんかを追加したり交換したりするだけで済ます。ま、それだけでも結構時間がかかったりするんですけどね。
我がレギュラーバンド「健康」の時に使う機材は、長年の変遷を経て--いまだにちょっとずつ変えつつあるけども--大体決まっており、シンバルは左のミニチャイナ、センターのスプラッシュ、右のチャイナを追加、トップ左のセカンドクラッシュを自前のZiljian A Customに交換し、それに10インチハイタムを追加、そしてツインペダル、金属胴の薄型のスネア、あとはやる曲によって、バスドラのフープに固定するカウベルとか木魚、と言う構成で、そのシンバル類とタムをセットするために、がっしりしたヤマハのYD-7000シリーズのスタンドおよびスタンドに取り付けるアタッチメント類も必要になる。
これだけの機材を持っていくとなると、もう最初から電車で行くのは無理だ。容量的にはシンバルケース、スネアケースと、昔買った安物の巨大スキーバッグがあれば収まりはするんだけど、とにかくスタンド類って重いんですよ。厚手の鉄パイプの塊だからね。このスキーバッグを持ち上げて階段を1F分降りただけで、もう疲弊してヘトヘトになるのね。なので「健康」のライブの場合車で行くことを前提に考える。会場がB1だったりすると、車で行っても、スキーバッグの運搬だけでもう大変だ。
ところが今回は頼まれバンドなので、使う機材は「健康」とは違う。まずハイタムを使わないので、スタンドはそれほど安定してなくても、ライブハウスにあるやつで大丈夫だ。これで容量的にも重さ的にもかなりスリムにできる。シンバルはスプラッシュだけはやっぱ使うことにしたけど他は現場のでいいし、ペダルもツインである必要はないので、これは家にある年代物のシングルペダルを持ってくかどうかは悩ましいけど、多分持ってかなくても大丈夫だ。
その代わり、「健康」では使わないタンバリン、ウィンドベルを使う。そしてこれらをセットするために、シンバルスタンドに取り付けて伸ばすアタッチメント--スタンドほどでかくはないけど、大体4~50cmほどの金属棒に金属板とかネジとかがついたやつ--を、スプラッシュ用と合わせて3本持っていく必要がある。2ヶ月ほど前に、廉価版のシンバルスタンドにこれらをセットするようなことを書いたけど、アタッチメント2本の方が容量も重さも小さいのでね。
こういう、何を使うか、それを使うならどうやってセットすればいいか、やるバンドや曲によって、こういうことをいろいろ工夫できるのが、ドラムって楽しいんだよね。ギタリストやベーシストなら、ギターを複数本持ってくかどうかってのはあるけども、基本的にギター、ベースとエフェクターくらいだから、こんなに持ってくもののパターンが変化したりはしない。
んで、これらをどうやって持ってくかってのが、これまた工夫のし甲斐があって、これはカバン好きのぼくだけかもしれないけど、これがまた楽しいんだよね。
今回持ってく機材は、これだけだと容量的には中型のキャリーバッグで十分なんだけど、ドラム用の機材って長さがあるのよね。今回持ってくものの中では、ウィンドベル、こいつは直径8cmほどの筒状のケースに入れて運ぶんだけども、この筒が、長さ62cmもある。
となると普通のキャリーバッグには入らないので、リハに持っていくために、とりあえずAmazonで、ちょうど幅62cm中型ショルダーバッグが1,290円と言うお手頃価格で売っていたのを買って、ここ何回かはこれで上記の機材を運んでいた。
だけどもね、大型スタンドはないとは言え、これだけでもけっこう重いんだよね。運べないことはないけど、やっぱ手に持ったり肩にかけたりして運ぶのは、「苦行」の範疇に入る重さがある。しかも重心がなかなか安定しないので運びにくい。
さらに本番の時には、リハではスタジオのやつを使うことにしているスネアを持って行かないといけない。いや、そんなんライブハウスにあるやつ使えばいいじゃん、と思われるかもしれないですけど、スネアはさすがにライブ本番では自分のを使わないと、それはドラマーの魂を売った感があるんだよね。ドラムの中で最もたくさん叩く、最重要の太鼓だからね。また、その他にも、これらは大したことはないけども、ビデオカメラとか三脚とか着替えとかも必要になる。
さてそこで、冒頭の「不確実性」の話に戻るんだけど、カミさんが車を運転して帰ってくれるなら、どんなに重くてもでかくても関係ないんだよね。でも、えー、ちょっと仕事たまってるんだよね、ライブだけ観て打ち上げには付き合わないなら、時間的にはいいんだけども、二子玉でしょ?環八って車線多いし、長距離走るのはやだなぁ、しかも一人で。とかごちゃごちゃ言っていて、いまだに来てくれるのかどうか決まらない。ならば電車で行く前提で考えるしかない。このタイミングでヘタにカミさんをつっつくと、じゃ行かない、って決定されちゃうので、つっつくならギリギリに、少し下手に出る作戦が、ワンチャンス有効なのでね。
しかも今回、スネアは、「健康」で使っている金属胴の薄型ではなく、学生時代から使っているウッドの深胴のを持ってこうと思ってるのね。っていうのは、今回のセットリストにある、とある往年のバラードで、原曲が80年代に流行った「ズドッ」ってスネアの音を使っててね。他にも新しめの曲もやるんだけども、ロック系だからある程度太い音でも行けるでしょうと。この音を出すとなると、やっぱ深胴に厚手のヘッド(ドラムの叩く面に張るプラスティックの皮ね)だ。
もう10年前にレコーディングした「健康」のCDで、「ぼくは年男」って曲でやってみたのが、この深胴スネアに、「ピンストライプ」っていう、2枚の皮の間に油を入れたヘビーなヘッドの、コーテッドタイプ(透明じゃなくて白い奴ね)を張るってので、これがもう嬉しくなるくらい、80年代ディスコビートのあのスネアの音を再現してくれてですね。
なので今回、あまり使ってはいないけど10年間張りっぱなしのこのヘッドと、あとスナッピー(スネアの裏っ側の皮にくっつけて、「ジャッ」って音を出すための金属バネを板状に張ったもの)を、サウンドハウスで発注して買い替えた。
ついでにスティックを通販で発注するという初めての試み。スティックって店頭で実際に観て、木目がなるべくまっすぐ(な方が折れにくい)かとか、軽くてバランスがいいかとか試してみてから買うのが、ドラマー的には常識なんだけど、副都心線が直通になってからこっち、会社の帰りに渋谷で降りるのが億劫でねぇ。ま、とりあえず今回送ってきたヒッコリー素材のスティックは、普通に使えるし曲がったりはしてなかったので、よかったんだけどね。
話を戻すと、電車で行って、この深胴すなわち重くてデカいスネアを持ち、担ぐには辛い機材を入れたバッグを運ぶとなると、かなり厳しいから、やっぱここはキャリーバッグを転がしていくしかない。
「健康」の機材を運んでいる安物のスキーバッグは、キャリーハンドルがついてないタイプだし、ローラーが小さくて長い距離はしんどい。しかも75cm幅とでかすぎるし、なにしろ安物なので、電車で持っていくにはあまりにもダサい。うーん、65cm幅の、ちょっと高めのColemanというブランドのボストンキャリーを買っちまおうかなと、これはかなり真剣に悩んだんだけど、息子がスキー用に使っていたキャリーハンドル付きの70cmのバッグがあるので、まずはこれを使うことで心を落ち着かせる。
んで、右手でキャリバッグを引き、左肩にこのスネアを掛けていく?ま、可能ではあるけど、スネアのソフトケースは、もう学生時代から使ってる年代物だし、肩に掛けるって、重いものはやっぱ不安定なんだよね。てことで、ボストンキャリーを買うのを諦める代わりに、リュック型のケースを買っちゃいました、って、こんだけ長くいろいろ書いてきて、結局それだけのお話しなのでした。スイマセン。
だけども今どきこんな深胴のスネアなんて流行らないので、このケースもなかなか売ってなくてね。お値段も6,000円台とそこそこする。サウンドハウスで「取り寄せ」になってたのでちょっと心配だったんだけど、 先週発注したら一昨日には届けてくれた。実際担いでみると、肩掛けよりは安定するし、高い商品だけにクッションとかなんじゃかんじゃはなかなかよくできてるとは言え、やっぱ重いなぁ。この上重い機材類を運ぶとしたら、やっぱキャリーハンドル付き大型バッグじゃなきゃ無理だし、スネアの方もリュック型じゃないと無理だったな。
てことでけっこうぐりぐり悩んで、最終的にこのリュック型バッグを買ったのが、多分正解でした、めでたしめでたし、って物語でした。カミさんが来てくれる決心をしてくれると、なおいいのだけどね。その懇願は一か八か、金曜夜くらいにチャレンジするとして。
今日も行われたこの「d2p8」のリハ、うまくできないところはがんばろうねみんな、なんだけど、前回のリハの時にぼくもお手伝いした本番で流す用のビデオ、バンマスMが凝りに凝って編集したのが、見せてもらったらなかなかのクォリティーでしてね。お越しになる皆様はお楽しみにしてくださいませ。
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