さてさて、連休後半は息子と娘も参加して、富士五湖の本栖湖から西へ峠道を降りて行き富士川にぶつかる--この富士山と南アルプスの間の谷を駿州往還と言って、戦国時代に武田信玄が太平洋側に出るとき通った--ところにある、下部温泉という歴史ある大きな温泉街に宿を取った。
なぜこういう渋い選択になったかと言うと、順番としては最初に、後半3連休の日程に合わせて、河口湖のステラシアターで行われるMISIAの「星空のライヴⅨ」のチケットが、抽選で当たってしまいまして、これが第3希望の5月5日。
このライヴ、同じ「星空」のⅢの時に山中湖で行われたのに行ってから10年ぶりだし、ぼくはこのライヴのDVD&BDだけはⅡ以降全部持ってる--Ⅲはなんと観に行ったその日のものが収録されている--というけっこうなファンぶりなので、大変うれしいことではあったのね。
でも5日の深夜に河口湖から翌日早朝まで続くという予想の大渋滞の中央道を帰ってきて、あまつさえ翌日朝から会社に行くなんて気力は到底なく、この時点でもう6日は休んじまおうってことにして、そうなると後半3連休は、最後に河口湖に行く、ということが条件の行き先選定になった。
後半3連休は、前半に比べて、やっぱり土曜日を挟まないだけあって、その時点で既に前半よりも、どこもパツパツになりつつあり、しかも富士五湖近辺ってなにしろとにかく人気が高いからねぇ、温泉つきでそこそこいい宿を取るとなると、もはや@3万~4万という価格帯のところしか空いていない。
しょうがないので少し範囲を広げて探してみたら、車でなら本栖湖がそれほど遠くない、この下部温泉ってとこのホテルが何とか取れた。この辺りは、こないだ行った寸又峡や去年行った南アルプス東麓と、子供のころから毎年祖父に連れられて行っておりその後も何かとなじみの深かった富士五湖近辺の間にあたり、でも行ったことがないという空白地域だったので、観光地としては一級ではないかもしれないけど、まぁいいかってことでね。
3日は、普通に高速で行くのは、どのルートでも厳しいとわかっていたので、最初から下道を走っていくことにし、寸又峡に行った時と同じ、並行する関越が大渋滞でも決して詰まったりしないことで近頃お気に入りの埼玉県道126号を通り、圏央道狭山日高インターから乗って、2つめの青梅インターで降りる。
誤算だったのは、この日が青梅の年1度のお祭り「青梅大祭」の日に当たり、青梅街道が通行止めになっていたこと。これでちょっと渋滞に嵌ったものの、そのまま「大菩薩ライン」(国道411号)で奥多摩湖畔を通り、柳沢峠を越えて、勝沼インターから渋滞が全くない中央道に乗り、中部横断道の完成している最南端の増穂インターから、国道52号を南に走る。3時過ぎに、まずはこの駿州往還の中心地、身延(みのぶ)山久遠寺に到着。
ここは日蓮宗の総本山で、大変立派な伽藍や設備が整っており、巡礼姿の信者の集団や、お題目を、団扇太鼓をバンバン叩き大声で--頭の「南無」を1拍、残りの「妙法蓮華経」を1文字1拍の6拍子で--唱えながら練り歩く修行僧の行列に出くわしたりする。
我々は別に日蓮宗徒ではないので、それらをスルーしつつ身延山ロープウェイに乗って、身延山山頂に登り、ここから標高差約760mの下りハイキングコースを延々と降りていく。この日は天気は曇りだったので、緑の美しさはそれほどでもなかったけど、やっぱこういう場所はちょっと神聖感が漂ってるよね。約100mごとに立っている「○○丁」の数字が50から1つずつ減っていくのを数えながら、1時間半ほどかけて、本堂まで降りてきた。膝がガクガクになった。
今回取れた下部ホテルは、80年以上の歴史がある古い温泉宿で、この温泉街でも多分最も大きい8階建ての立派な、年季の入ったビルになっており、まぁこの規模だから遅くに予約しても取れたんだろうね。でも内装は近年手を入れたのかけっこうきれいだし、品のない感じでもない。ぼくが生まれた昭和36年に、往年のスター石原裕次郎が、スキーで負った骨折を癒すために2ヶ月弱湯治をした、ってのが自慢らしい。
温泉は朝夕男女入れ替えで、内風呂2つにそれぞれ3つから4つの露天風呂。温度がややぬるめだけどこれまた寸又峡に続いて気持ちいい。
夕飯はこれも基本は旅館飯なんだけど、デフォルトで出てくるものは少し量が抑えめになっていて、あとは好みで「おばんざい料理」ってのを自分で取ってくる方式になっている。旅館飯の量の多さにいつも辟易している我々夫婦にとっては、なかなか画期的なシステムだ。味も悪くない。
その後はいつもの我が家のUNO大会になったのだけど、なんとそのUNOを忘れてくるという失態にも、古い宿だからかコンセントが足りずこれもお願いしたテーブルタップとともに、フロントに電話したらすぐに持ってきてくれた。この日は最初息子が連勝したが、娘が大逆転でダントツトップ。カミさんもめずらしく健闘したが、最初の不調が祟って結局定位置の最下位となった。
4日は悪天候が予想されていたのだけど、誰の行いがよかったのか朝には雨は上がっており、朝風呂に入るころには快晴になった。となったら当初の予定通り、まず向かうのは本栖ハイランドというところでやっている最近の富士五湖の新たな名所、富士芝桜祭りだ。
混むのは予想しており、ホントは早起きのつもりだったのが、その荒天予報のため行き先変更を見越して少し寝坊したんで心配したのだけど、この下部温泉から40分ほどつづら折れを登り、本栖ハイランドのすぐ手前に出る国道300号線--本栖みち--は、同方向に向かう車が1台も見えないくらい空いている。
本栖交差点からメイン道路の139号線を走らざるを得ない3kmほどは渋滞したけど、それ以外はびっくりするほどスムーズ。こういう大型連休の混雑って、メインの場所や街道ばかりで、ちょっと外れると意外なほど空いてるんだよね。芝桜祭り会場にも表示が出てたけど、芝桜観たかったら下部経由の方が絶対早いよ。
芝桜祭り会場内も大変な混雑で、展望台とか人が集まる場所は諦めるしかなかったのと、芝桜自体はちょっと早かったのか一部花の付きがよくない場所もあったけど、大体8分ほどは咲いている感じの上、もう雨上がりピーカンの富士山が超絶にきれい!秩父の芝桜を観に行ったことがない娘は大喜びだ。この日ここに来た多くのインバウンドの皆様は、「ニッポン素晴らしいで~す」って思ってくれただろうなぁ。
それから芝桜祭り会場を出て139号を本栖方面に戻り、精進湖のほとりのレストランで昼飯を食って、今度は精進湖と本栖湖の間にある「パノラマ台」と呼ばれる尾根上の展望所に登る。ここは地元の小学生が遠足的なやつで登らされたりする場所のようなのだけど、ネットにもそこそこ情報があるのに、こういうとこはGWピーク日でもほとんど人がいないんだよね。
結構きつい登山道なのだけど、ここの森は全体に広葉樹でできていて、午後一の日差しに照らされ、大変な美しさだ。1時間ちょっと、写真を撮りながらひいこら言って登ると、その森が一気に開け・・・おおおっ!このどデカい富士山はなんじゃああ。
しかも左は精進湖の隣の西湖、2つ隣の河口湖から、右眼下の本栖湖まで、富士五湖のうち4つが一度に望め、その湖と富士山の間の青木ヶ原樹海が、もう圧倒的な広さ、これぞ樹「海」なのですよ。こりゃあ迷い込んだら死ぬわなぁ、って納得できる感じ。パノラマ写真を載せときますが、写真じゃわからないかもなぁこの感動は。
この「パノラマ台」にけっこう長居をして、元来た道を降りてきたらもう4時過ぎ。下部温泉に戻って、風呂に入ってビール飲んで飯食ったら、超絶に眠くなり、この日はUNOはパスって8時半ごろに寝てしまった。睡眠時間11時間。何度か目は覚めたけど、こんなに寝られる体力がまだあったんだと自分に感心しました。
ってところで既にかなり長くなってるので、5日以降は後編で。
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