今日は寒かったねぇ。日中の最高気温が東京でも1度に届かなかったんだって。今週は18度とかって日もあったのにね。早く暖かくなってほしいなぁ。って話とは全く関係なく、今回はメトロノームとテンポの話なんですけどね。
メトロノームって言うと、今でも多くの人は、昔よくアップライトのピアノの上に置いてあった、三角形で真ん中に振り子があり、それが左右に振れるタイプのやつを想起するのかな?クラシックピアノとかの世界では、たぶん今でもそうなんだろうね。
ぼくらが学生だった頃が出始めだったと思うけど、今はメトロノームもすっかりデジタル化して、液晶画面にテンポやビートパターンを表示して、これをボタン操作で変えていくタイプのものが席巻している。でもいまだにその三角形のタイプもたくさん売っていることが、いわゆるメトロノームのイメージが変わっていない、もしくはクラシックの世界ではいまでも旧来のタイプに対する信仰が揺らいでいない証左なのかも知れない。
なんで今日はこんな話かって言うと、「健康」のレコーディングで、パーカッションを、こないだ書いたとおり、今回は生演奏ではなく、シーケンサーに打ち込んだ音をそのまま流し込んじゃうことにしたのだけどね。てか前回も別に実際にコンガやボンゴを持ってきて演奏したわけではなく、音源自体はタンバリンとか一部は除いて、デジタルのものを使ったんだけど、実際に手でキーボードとかを弾いて音を出したという意味では、生演奏と言えるってだけなんだけども。
6曲に入れることにしたそのパーカッションのデータが、1曲だけなぜかテンポが合わなくて、その修正をぼくが宿題として持ち帰ってきたという小事件がありましてね。
そもそもレコーディングの時って、昔は幅が7,8cmもあるアナログのテープを使って、そこに24トラック--家庭用のカセットデッキだと、ステレオ左右の2トラックだけのところ--とかで録っていく、って手法が普通で、「健康」の1stアルバムでは、その頃には既に主流ではなくなっていたこのやり方で録っていた。
なので前回のレコーディングでは、間違ったところとかは、「パンチイン・パンチアウト」と言われる、つまりはその箇所だけ、録音→録音終わりってのを、オペレータの職人技で操作して上書きする、ってやり方をしてたのね。
今回は「Pro Tools」という、現代のレコーディングではデフォルトスタンダードになっているPCソフトを使っていて、そんな職人技に頼らなくても、もう1回録って、後からいいところでカットしたやつに差し替える、ってことができるようになった。これだけでもレコーディングの生産性は格段にアップする。
アナログの録音機には、性能表記の中に、必ず「ワウフラッター」ってのがあって、つまりその機器のテンポの揺れがどのくらいあるかってのを表すもので、これがいかに小さいか、ってことで、精度の高さを競っていた。民生用のカセットデッキとかだと、大体0.08%とかだったんだけども、今はすっかりデジタル化してしまったので、そういうテンポの揺れはほぼなくなり、ワウフラッターという言葉も、オーディオ界から忘れ去られた。
今回のやり方では、パーカッションのデータとかも、ぼくが家であらかじめ決めたテンポに合わせて「Cubase」を使って作ったやつを、普通にMP3とかの音声ファイルにして持っていって、Pro Tools上にトラックを作って、位置だけ決めてはめ込んじゃえば、テンポがずれたりすることはない。この作業を「流し込み」って言うんですけど・・・
だから6曲中1曲だけ、だんだんずれてきちゃうってのが、通常ならありえないことだったのね。マキゾエの曲はマキゾエが「ガイドトラック」と呼ばれる、クリック音だけ入れた音源を作って、この上に重ねていくので、生演奏の過程で多少部分的にクリック音とずれたとしても、だんだんずれる、ってことは起こり得ない。
で、今週はその合わなかった音源を、家でテンポを合わせる作業をするのがぼくの宿題になったと言うことでね。ちょっと手が空いた木曜日、まずはCubaseでぼくが作った音が、そもそもテンポの設定が間違ってなかったか確認すると、決めてあった通りの98bpm--1分間に98の4分音符があるということね--でちゃんと合っている。あれ?まさかCubaseかPCのどこかにエラーがあって、設定したとおりのテンポになってないってことはないよな?っていうので、それを確認するために、ここでメトロノームが登場するんだけどもね。
メトロノームってのは、もちろん第一義が、一定のテンポで演奏をするためのトレーニング機器だから、テンポキープが最重要の役割であるドラマーにとっては欠かすことができない。ドラムのトレーニングは通常、左右の手を使って簡単なものから複雑なものまで、色んなパターンを、練習用のパッドを叩いて行う--これを「パラディドル」と言う--んだけど、当然これらはメトロノームを鳴らしながら、テンポがブレないようにする。
なので学生の頃から、ぼくはメトロノームって、簡単な4分音符のビートを出せるだけのものから、8分音符とか3連符とか難しいのを出せるものまで、いろんなやつを10台前後は買っていて、昔はキコカコ・キコカコって音とともに、ひたすらタカタカタカタカやっていた。もう捨てちゃったものもあるので全部ではないけど、今手元にあるものだけでも冒頭の写真のような種類がある。
電子ドラムV-Drumsを買ってからは、その音源ユニットにメトロノームの機能もあるので、トレーニング用として単体のメトロノームを使うことはなくなったんだけど、今は1つにはリハのときに、曲のテンポをメンバーに知らせるために鳴らすのと、もう1つには、マキゾエとかが作った新曲のデモ音源を元に、ドラムパターンの打ち込みをする時に、デモ音源のテンポを測る目的で使う。
そのために、最近の多くのデジタルメトロノームには、タップ機能ってのがついていて、音源を聞きながら4分音符の頭にタイミングを合わせてタップボタンを押すことで、大体のテンポを測ることができる。大体わかったところで、今度はテンポを数値で設定し、ピッタリ合うのを探していくわけね。
この作業をするのに、最近は冒頭の写真右上の、横長のKORGのHumidi-Beatってやつを使っていて、こいつはぼくには必要のない、バイオリンとかのデリケートな楽器の、ケース内の温度や湿度を測る機能までついていて、けっこういいお値段だった。
今回持ち帰った宿題のために、このHumidi-Beatで、テンポが合ってるか確かめようと思ったら、なんとこいつが壊れてましてね。テンポを測ろうとすると、勝手にデフォルトである120bpmに戻ってしまうという。しょうがないのでAmazonで探して、中華メーカーMeidealというところが作っているM50というの--写真一番右のやつ--を購入した。なんと946円という安値で、タップ機能もついている。
ところがね。最近のデジタルメトロノームは、同じ120bpmなのにテンポが違うとか狂うとか、そういうプリミティブなエラーはないのだけど、このM50、Playボタンを押してからビート音が出るまでに、一瞬のタイムラグがあるっていう問題があってね。つまり音源に合わせてハイッってボタン押しても、ビートがずれて聞こえちゃう。
まぁそれでもテンポが合ってるかどうかは確認はできるものの、どうにも気持ち悪い。少し前のSEIKO製の、写真右から2番めの赤いクリップ式のやつ、これはリハの時に持ってって使ってるんだけど、これなんかテンポのアップダウンボタンを押すと、その瞬間に1拍目から始まっちゃうので、テンポを少し早くor遅くして、少しずつずらしながら頭拍を合わせに行くってことがそもそもできない。KORGのも含めて全てMade In Chinaだけど、安物はこういうとこで差が出るのよね。
んで、そういえば、だいぶ昔に買って長いこと使ってなかったデジタルメトロノームの王様、BOSSのDr.BEAT DB-90ってのも持ってたじゃん、確かこの辺にしまってあったよな・・・と引っ張り出した。写真左から2番めのやつで、これはいまだに現役機として販売していて、音楽スタジオNOAHでは、ドラムセットの後ろの壁に必ず設置してある。
もう数年使ってなかったから当然電池も切れていて、しかもその電池が006Pという四角い9Vのタイプ--一般世間からはほとんど消えたけど、バンドマン、特にギタリストとか、エフェクターを多用するプレイヤー達には今も一般的な電池。でも普通ドラマーは持っていない--だったので、小雪の降りしきる中車でわざわざ買いに行ったりして復活させてみると・・・
おお、さすが王様。こいつはSTARTボタンを押した瞬間にビート音が出る。その他かなりいろんな機能もついてるけど、こういう基本がいちばん大事なのよね。なんだ、最初からこれを使えばよかったんじゃん。ま、デカいから持ち歩いたりするのには不便だけどね。
で、そうして測ってみたその合わなかった曲のテンポは、Cubase上で設定したとおり98bpmで、ピッタリ合っている。マキゾエが作ったガイドクリック音源を入手して、これと合わせみても、やっぱりピッタリ合っている。なんで~?流し込みした時なにかミスったのかなぁ?ただの勘違い?
しょうがない。来週12日から4日連続で行うMix Down作業の冒頭で、このデータをもう1回流し込んで確かめてみよう。それでもずれたらもうお手上げなんだけどね。
ちなみにレコーディング作業は、先週日曜日に朝から作業したら思いの外進み、来週の一連の作業でほぼ終われる見通しが立ってきた。ブーランの学校の卒業生で、少女時代とか東方神起とかを手がけ、今や韓国で右に出る者がいないマスタリング--録音した音の音圧とかのレベルを調整をして、CDに入れたりダウンロードするための最終音源を作る作業のことね--エンジニアであるジョン・フン氏のスケジュールも今月末に押さえてもらったので、いよいよ来月21日のライブは、CD発売記念ってことにできそうですぜ。
てことで、CDもライブも、お楽しみにしていてくださいませ。
※FB友人から指摘を受けました。カセットテープはステレオ左右A面B面で4トラックですね。失礼しました。
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