今日は関東では季節外れの雪が降りましたが、皆さん体調は崩されてませんか?
今朝トランプさんが非常事態宣言、それに先立ってWHOからはパンデミック宣言、出ちゃいましたねぇ。これを受けてまた株価が下がり、困ったことですわ。パンデミックって言うと、なんか中世~近世のペストとかコレラとか、そういう死病のイメージがあって、過剰反応が出てるところがある気がするんだけど、調べてみるといくつかの定義があって、世界的な流行であることに変わりはないけど、死亡被害が著しいかどうかについては、関りがある場合とない場合があるらしい。
少なくともWHOの6段階の基準には、死亡率は関りないようだ。パンデミックであろうとなかろうと、どっちみち個人個人は基本的にやることは変わらないんだから、あまり過敏に反応しないようにして欲しいもんだよね。
さて、コロナウィルスが大問題になって、よく聞かれるようになった言葉の代表選手が「不要不急」だ。「不要不急の外出は控えてください」という政府の呼びかけに端を発し、うちの会社では、新たにできた渋谷パルコビルのオフィスと、元の代官山オフィスの間さえ、「不要不急の移動は禁止」とすることが検討されているらしい。
先月書いた通り、ぼくの所属する部署は代官山に残ったが、広告部門や管理部門の多くが渋谷パルコに移ったため、ぼくを含めぼくの部署のメンバーは、週の半分は渋谷オフィスに入り浸っているような勤務状況になっている。ところへ、移動禁止と言われてもなぁ。
まぁ確かに、主要拠点が2つある会社が、万一一方の拠点で発病者が出て、その拠点の勤務者は2週間出社禁止とかになった場合に、もう一方の拠点の業務までストップしないように、という意味では、危機管理、BCP(事業継続計画)の観点では正しいのよ。実際に同じビルに拠点がある関係会社のカカクコムでは、移動禁止令が出ているらしいし。
だけど「不要不急」ってなんじゃい?どの程度のことがダメなんスかね?てことで予定外に2週連続日本語の話になるんですけどね。
「不要不急」という言葉は、4字熟語のままでは、広辞苑とか大辞林とか、そういう権威ある辞書には、見出し語としては載っていない。「不要」と「不急」はそれぞれ見出し語になっていて、双方に利用例として「不要不急」という言葉が載る形になっている。
んでそれぞれの意味で言うと、「不急」はもちろん「急ぐ必要がないこと」ってので比較的シンプルなのだけど、「不要」の方はやや奥が深い。
そもそも「不要」と同音の「不用」という言葉があって、これはネット上にも情報がたくさんあるのだけど、前者は「必要がないもの・いらないもの」である一方、後者は「入用でないもの・使わないもの」ということで、つまり「使う」かどうかが決め手になると言う。
しかもややこしいのは、「不用」には「不要」の意味もある、ってことで、「使う」かどうかに関わらず、概念としては「不用」は「不要」を包含するのだと言う。
「使う」という場面で言うと、「要らないけど使う」ものはあっても「使わないけど要る」ものはないってことだけど、この言い方だとややこしいか。夫婦で大掃除していて、カミさんに「ねぇこれ要るの?全然使ってないじゃない」と言われ、「そんなことないよ、要るんだよ。捨てるなよ」ってな場面はよくあるのでね。
だからこういう言い方の方が合ってるのかな?「使ってはいるけど捨てても構わない」ものはあっても「捨てても構わないんだけど必要な」ものってないよね、と。
もともと「不要」ってのは明治時代に作られた造語で、それ以前は「不用」という言葉しかなく、だからこちらの方が意味としては広いんだけども、その後の日本語の使われ方の変化の中で、「不要」の方が一般的に使われるようになってしまったと言うことらしい。
で、「不要不急」だけど、これってつまり「不要」かつ「不急」なの?それとも「不要」または「不急」なの?ってことによって、どの程度ダメなのかって範囲がだいぶ違ってくるじゃん?って思って調べてみた。
上述のように有力な辞書では「不要不急」という4字熟語は見出し語になっていないので、ネット上の情報をいろいろ見てみるしかないのだけど、まずこの言葉は意外なことに、太平洋戦争直前の軍事関連用語で、金属資材の供出のために、政府命令で重要度の低い鉄道路線を休止して線路を撤去した、その際に使われた「不要不急線」というワードから始まっているらしい。
「かつ」なのか「または」なのかについては、各サイト一致して「かつ」だと言う。つまり「不要不急の」というのは、「必要ではなく、かつ急ぎではない」ということだ。必要か、急ぎか、どちらかの条件が正ならば、「不要不急」ではないということだ。
でもよく考えてみると、「急ぎ」だけど「必要がない」ことってある?例えば誰か重要な来客の日程が決まっていて、そこに出席することになってるとか?何かの締切までに、資料をかき集めたり作ったりして提出しなきゃいけないとか?
だけどそれらは、例えば自分は陪席者だからとか、その資料提出はあくまで補助でMustではないとかだとしたら、それってそもそも「不要」なんだよね?「急ぎ」だとされていること自体が間違ってて、すみません今回は欠席しますとか、補助資料は後で出します、で済むなら、「急ぎ」でも何でもないわけじゃん?約束しちゃってた場合には、それを破ると言う引け目はあるものの。「必要」だからこそ「急ぎ」になってるんだよね?
つまり「不要不急」というのは、結局「不要」と同じことで、必要と思うかどうかだと。その判断は個人に委ねられているので、明確な線引きはできないけれど、常識やその時の社会状況に基づいて判断すればいいと。
んじゃそれに「不急」をくっつけた意味はなに?って言うと、要はこれによって、少し当たりのきつさを和らげてるだけなんだよね。「不要な業務」と言っちゃうと角が立つけど、「不要不急の業務」って言うと丸く収まるじゃん?「不要な外出は控えてください」って言われると、「必要だから外出すんだよバカヤロー」ってなるけど、「不要不急の外出は」って言われればカチンとは来ない。
そういう極めて日本的な婉曲表現なんだよね。当初の軍事関連用語の時はそうではなかったかもしれないけど、どういう経緯でかこの表現が婉曲的な意味合いを帯びたことで、みんなが便利に使い始め、これだけ一般的な表現になった、ってことなんだろうね。その経緯にも興味はあるけども、これはさすがにちょっと調べても情報がない。
「不要不急」以外にも山ほどある婉曲表現とか、はっきり結論を言わないとか、そういう日本語の特性は、角を立てない、争いの元凶になりたくない、という、ものすごく日本人的な、どちらかと言うと消極的なモチベーションが大きく働いてるんだろうね。敬語的な表現がこれほど多様かつ豊富なのは、世界で日本語が多分No.1だと思うけど、それも人を敬うための、と言うよりは、そっちの消極的モチベーションの意味合いが大きい気もしてきてしまう。
うーん、「人を傷つけない」という言い方をすれば聞こえはいいけども、英語圏とかの人から見れば、とても不明確でわかりにくい、国民性や文化的背景テンコ盛りで勉強するのが大変な言語なんだろうね、日本語って。だからこそ興味深いのだけど。
さてさて、今週はぼくも、はじめてリモートワークってやつをやってみた。管理職なんで、誰かメンバーが出てれば、本来は出社しているべきなんだろうけど、今週木曜日は、メンバー全員が有休かリモートワークになっちまったのでね。いやぁ、いくら普段も行き帰り座って通っているとは言え、やっぱ往復2時間がかからないと言うのは大きいね。
また、先週末に発表しましたが、3月22日に予定していた「健康」ライブは、現状に鑑みやむを得ず、延期することになりました。現在7月末をメドに調整中。決まったらまたお知らせしますね。
写真が難しいテーマなので、オンライン旅行代理店のエアトリが2月23日~25日に行い、20代~70代の男女967名から回答を得た、「コロナ感染拡大を受けて、外出を控えているか」のアンケート結果を、同社のページから拝借しました。問題があったらご連絡ください。
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