先日日経に、2020年度の出生数が対前年4.7%減の85万3214人となり、21年の1~3月期は前年同期比9.2%減となった、との記事が掲載された。1人の女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率は、20年に前年から0.02ポイント低下し1.34となり、このままいくと2021年の出生数は1899年以降初めて80万人を割って、これは従来の推計の10年前倒しに該当すると言う。
うーんそうかぁ。少子化って、ぼくはすべての社会問題の中で最大の由々しき事態だと思っているのだけど、ただでさえ国や自治体の数々の失政で危機的な状況に陥っているなか、コロナが拍車を掛けたかぁ。
記事によると、コロナの妊婦や胎児への影響が不透明な点や、出産時に立ち合いができないと言った点から、妊娠を控えた人が多かったとみられると。あるサイトによると、コロナ流行前に第2子などを希望していた母親のうち約3割が、感染拡大で妊娠を延期したり諦めたりしたと。
コロナ家籠りで他にやることもないから、子作りが盛んになって、コロナベビーなんて言葉が生まれないかと脳天気に期待していたのだが、やっぱそんな甘くはなかったね。そりゃあこと自分の子供のこととなれば、少しでも健康に害を為しそうな要素があれば、慎重にもなるわなぁ。
確かにウチの孫が生まれたのは去年の12月6日だけど、息子や嫁のお母さんが水戸の病院まで駆けつけても、嫁や孫にはなかなか会えなかったり、今も緊急事態宣言のもと、ぼくら自身がなかなか孫に会いに行けない状況になってることを思うと、マイナス要因が多いのは確かだ。
でもね、日本は世界で最も早く高齢化が進んでいる国だけど、このまま行くとほんとに国が亡びる危機なんですよ。人口がどんどん減っていって、社会の仕組みが成り立たなくなり、ひいては国として維持できなくなっていってしまう。
ぼくらの世代はまぁせいぜいあと30年くらいの命だから、それまでの間に急に生活に支障は出ないとは思うけども、この状況が続いていくと、ぼくらの子供たちの世代は、孫たちの世代は、社会保障の負担やら何やらがますます大変で苦しくなっていって、子供を産むモチベーションが一層下がると言う悪循環に、嵌って行くわけじゃない?
特にぼくの生まれた1961年前後は団塊と団塊ジュニアの狭間で、世代別人口はそれほど多くないから、ラッキーしてるところがあって、年金だって65歳からにはなるけども一応出るみたいだし、その年金を負担する若い世代にも、負担をかける度合いは多少は少ない。
だけど総体として高齢化比率がどんどん高まって行くとなると、いくら度合いは少ないとは言っても、若い世代の皆様には、ぼくは申し訳ない気持ちでいっぱいだ。「今どきの若いもんは」みたいなことはよう言わん。
かといってそれなら再雇用期間もフルフル働いて、生産年齢人口の低下を食い止める一助になればいいじゃん、という理屈はその通りだけども、体も頭もまだ割合しゃんとしている60代は、少し楽して遊ばせてくれよ、と考えてしまう。もう40年近く、働きづめと言うほどではないけども、一応生産はしてきたんだからさ、と。矛盾してるよなぁ。
2020年度の婚姻数は、前年度と比べて16.1%も減ったと言う。これまたただでさえ婚姻数が下がってるのに、由々しき事態だ。まぁ結婚式や披露宴はコロナ禍でやりにくいだろうからねぇ。それはわかるんだけども、入籍や一緒に暮らし始めるのまで、延ばすことはないように思うのだけどなぁ。
コロナ影響を除いたところの婚姻数の下がり方も、少し前から言われていることだけどちょっと困っちゃうよね。今の若者って全体にすごく生真面目で、ちゃんとしていたいと言う思いがある一方で、2010年の調査によれば、結婚しないorできない理由として、そもそも異性の友人が少なく、異性とうまくつきあえないとか、交際相手がいない理由として、「恋愛が面倒」というのが20・30代の女性で60%超え、男性でも50%を超えている他、「異性と交際するのが怖い」「異性に興味がない」というのが男女とも10~20%強を占めている。
日本では結婚しないと子供を設けないと言う考えが世界の中でも群を抜いて強く、2008年の統計でも婚外子の割合はわずか2.1%しかないと言う。欧米ではほとんど30~40%前後で、フランスやスウェーデンでは50%を超えているというのに。ちなみに欧米でいちばん少ないのは意外にもイタリアで17.7%なんだそうで。
日本では結婚する理由として、「子供や家族を持てる」が、女性ではもともと1位だったのが、2010年に初めて男性でも1位--2位は「精神的やすらぎの場が得られる」--になり、女性では50%近くとダントツになってきている。そしてバブル世代が30歳前後だった97年や02年には「理想の相手が見つかるまで結婚しなくても構わない」人が一時半数を超えていたが、2010年には「ある程度の年齢までに結婚するつもり」がまた復活して半数を超えてきている。
これらをどう読み解くのか難しいところだけども、子供の数を増やすと言うことを目的に据えるとすると、まず異性の友人が少ないというところを少しでも減らすために、学校を全て共学にすること。まぁこれはあまり深く考えた発言ではなく、いろいろと議論があるだろうけどもね。ただ共学出身のぼくとしては、男だけ、女だけ、という一般社会ではありえない異常な状態に、日常生活の多くの時間を割かせるというのは、明らかに普通ではないと思ってしまう。
それから、「理想の相手」よりも「ある程度の年齢までに結婚」というのは、今の若者たちのマジメさの表れでよいことだと思うし、それには反してしまうけども、結婚しなくても子供を産むことを、社会の通念としてもっと、あってもおかしくないこと、恥ずかしくないこと、あたり前のことと捉えられるように、考えを変えていくこと。
これはまぁ、選択的夫婦別姓ですら、家族の絆が壊れるとかって愚かな議論をしてるくらいだから、通念を変えるったって難しいだろうし、子供を産んだ女性が少なくとも一定期間、生活の安定を保障されるような仕組みが必須になったりとか、いろいろと条件は必要だろうけどもね。
まぁでもね、そのくらいドラスティックなことをやってかないと、例えば待機児童の問題だって、これだけ出生数が減って来ちゃえば、思いの外近い将来、解決しちゃうだろうと言われていて、実は本質的な問題ではないんだよね。
スペイン風邪の感染が落ち着いた1920年、出生数は前年比14%増の203万人まで上昇したそうだけど、当時の妻の平均初婚年齢は23.2歳だったのが、2019年には29.6歳まで晩婚化しており、コロナ禍が沈静化しても当時のようなリバウンドは見込みづらいと言う。
一方でコロナ禍でリモートワークが増え、男性が育児や家事に参加する機会が増えたことで、一部の研究者は、今後出生数の回復に寄与する可能性はある、という見方をしている。あまり家事には貢献してこなかった身としては偉そうなことは言えないが、だとすればけっこうな話だ。
どちらにしても、世の中に赤ちゃんが増え、大事に育てようと言う温かい気持ちが多くの国民に広がり、それで先行きこの国が立ちゆくようになるという幸せの連鎖を、望んでやみません。
ちなみにもう2ヶ月近く会えていないウチの孫は、先日7ヶ月を迎える直前に、3月に行った時に既にもうちょっとでできそうに見えた寝返りが、やっとできるようになったらしく、息子が「みてね」で動画を共有してくれた。コロンと転がって、腹ばいになって足をバタバタさせ、嬉しそうにニコニコしている様子が、もうかわいいのなんの。早く緊急事態明けないかなぁ。
そんでまた、こういう自分の孫がめちゃめちゃかわいい、って気持ちをより多くの人が持てるようになって、少しでも世の中が平和になるためにも、出生数、出生率は上げていきたいよね。各所関係者の皆さま、そしてすべての若者たちも、お願いしますよホントに。
※冒頭のグラフは日経電子版よりお借りしました。問題がありましたらご連絡下さい。
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