GW前半は約2年半ぶりに泊りがけの旅行に出かけてきた。行先は近場の、小田原~湯河原付近までの神奈川県内だ。
別に近場がよかったということではないのだけど、温泉付きの部屋があると言う条件で探して、その中でお値段的にリーズナブルな宿が、小田原の2つ先の根府川駅近辺で見つかったからだ。ただしこの宿の部屋にある露天風呂は、メタケイ酸を含む井戸水を温めたもので、正確には温泉ではないのだけどね。
我々の35年目の結婚記念日--珊瑚婚式と言うそうだ--となった29日は、朝9時の予定が、いつものごとく20分ほど遅れての出発になり、その時点で東名は20kmほど、関越も30kmほど渋滞していた。でもまだ旅行機運も完全回復というわけではないのか、圏央道とかその他裏道はそれほど混んでおらず、いつもの通り県道126号線で狭山日高インターから圏央道を使って厚木に出、小田原厚木道路を二宮で降りて、西湘バイパスから小田原に出たら、ほとんど渋滞に遭うことはなく、遅れて出た割に、予想よりも15分ほど早く12時過ぎには到着。
ただ、食べログで高得点の「小田原おでん本店」さんに行ってみたら、13時半まで予約で埋まっているという。そうか。予約取ろうかとも思ったんだけどね。遠方から出かけると何時に着くかわかんないから予約できないんだよね。
しょうがないのでそのままこの日行く予定だった小田原城のそばの駐車場に車を停め、この時点ですでに雨が降り出していたが、近くにあったそば屋さんであったかいそばを食べる。
それから小田原城天守閣を見学に。ここは我々が生まれたころに再建され、5年ほど前に大幅リニュアルされたってことで、以前行った熊本城とか高知城とかと違って中の造りが新しくなっており、展示もかなり充実している。北条氏が秀吉に攻められた時代のこと、江戸時代に入ってからのことなど、階別にかなり細かく分けて展示してあり、じっくり観ながら--ぼくは日本史好きなのでそれほど目新しい情報はないのだが、カミさんはいちいち感心して観て行くので--回るとかなり時間がかかる。
それから、リニュアル時にはじき出された甲冑などの展示物を置いてある「SAMURAI館」というところも観て、その後江戸時代に小田原藩の家臣だったという二宮尊徳を祀った「報徳二宮神社」にお参りし、その時点でもはやザーザー降りの様相を呈してきたので、根府川駅から車で10分ほど山を登ったところにある「離れのやど 星が山」に向かった。
この宿は宿泊場所が丸太造りのコテージになっており、部屋の他にも普通の男女別の温泉もあるが、貸切り温泉半露天風呂も予約制で利用できるようになっている。食事する場所は共通なのだが、行ってみたらここも通路側だけオープンだがほぼ個室のような造りになっていて、これはコロナ対策としてはかなり上級な宿だ。
食事は和洋折衷だが一応コースのようになっており、そんなに美味というわけでもないが、いわゆる旅館メシのようなものではない。我々が泊まったコテージは2階建てで、2Fはおまけみたいな3畳間だが、1FにはベッドとTV前の丸テーブルの他に2人で向かい合わせで作業できるテーブル&椅子のセットがあり15畳ほどの広さがある。内風呂・トイレ・洗面台の他に外に小さいが冒頭に書いた直径1.5mほどの陶器の半露天風呂があり、これでこのハイシーズンで2人で泊まってお値段@23,500円だから、まぁ悪くはないんじゃね?
2日目の昨日は、部屋の露天で朝風呂に浸かった後、9時20分ごろに宿を出、根府川駅に向かう。この駅は関東のJRの駅で唯一の無人駅なのだそうで、事前に近くの駐車場を調べたがよくわからなかったので、駅前の公衆トイレの前にどーんと停めておいたが、案の定14時過ぎに戻ってきても特に何の問題にもなっていなかった。
9時40分の宇都宮行きで隣の早川駅で降り、ここから前日観た小田原城攻めの時に秀吉が築いたという石垣山城まで、車の通う急坂をひいこら言って登っていく。振り返ると相模湾の景色が美しい。
石垣山城址を見た後、今度は源平時代、いま大河ドラマでやっているが、頼朝が挙兵して初戦で敗れたと言われる石橋山古戦場に向かって下り道を降りていく。今日歩いた道はいずれも舗装されていて歩きやすかったが、この下りの連続でふくらはぎにかなり来た。
石橋山古戦場付近には、その合戦で悲運の最期を遂げたと伝わる武将佐奈田与一を祀った佐奈田霊社というかなり立派な神社が建っており、ここの境内で、早川駅そばのコンビニで買った稲荷ずし他を食べたが、食べ終わってから住職に、境内は飲食禁止なんですよ、と窘められた。スミマセン。
このころまではあまり日差しと道のタイミングが合わなかったが、この神社を過ぎたあたりから、日差しは衰えが無くなり、森の中に入ると、大好物の葉の裏写真がかなりの枚数撮れた。道はアップダウンを繰り返し、途中東海道線に沿って歩く場所では撮り鉄君たちがカメラを構えていたり、高い場所からは相変わらず相模湾の眺めが素晴らしかったり、いやいや、天気がいいと気持ちいいですわ。森の気も十分に浴びられたし。おでこがかなり日焼けして痛いのは閉口だけど。
10kmほど歩いて14時過ぎに根府川駅に着き、まだちょっと時間があったので、車で真鶴岬に向かう。駐車場で1,000円も取られ、近くの売店で2,000円以上買うとこの1,000円は返金すると言われたので、口車に乗って名物「湘南ゴールド」のゼリーとかをたくさん買い、返金してもらった。
3日目の今日は、9時過ぎに宿をチェックアウトし、湯河原温泉に向かう。湯河原の三大パワースポットと言われるうちの2つ、城願寺の柏槙(びゃくしん)の木と、続いて五所神社の大楠の木を見て、触って、それから「日本の歴史公園100選」の1つ「万葉公園」に行く。
古くから文豪たちに愛され、昨年リニュアルしたばかりというこの公園は、かなりモダンな温泉施設と、公園を貫いて流れる豪快な川の流れに沿った緑が美しく、ここに着いた頃に雨が降りだしたが、川沿いの道を端から端まで散策する。駐車場が公園の上の道路にあり、川の一番下のエントランスからここに戻るまでがかなりきつい登りで大汗をかいた。
当初の予定ではこの後食事のはずだったが、まだ少し早かったので、次に「不動滝」を観に行く。道路沿いの駐車場から1分も歩けば着くここは、夏目漱石の未完の遺作「明暗」に登場するらしい。それほど大きくはないが豪快に落ちる一本滝は、一見に値するかな。
それから車で湯河原駅近くまでかなり戻って、豆腐料理の「十二庵」という店で昼食だ。ここはこれまで豆腐のコンテストで毎年金賞やら銀賞やらを取っているらしく、7席ほどのレストランスペースもあって、少し待たされたが、出てきた「できたてとうふ御膳」の豆腐の美味いこと。大豆の味をそのまま感じられ、ぼくは納豆付きのメニューを頼んだが、この納豆のまたなんつーか、いかにも豆を食ってます、って言う食感もすばらしい。豆腐や厚揚げひじきなんかを売っていたので、これを買ってきて、今日は夕飯も豆腐三昧になった。
その後、湯河原から大観山という箱根ターンパイク頂上の見晴らし台に繋がる「椿ライン」のワインディングを登って、この旅最後のスポット「しとどの窟」に行く。ここは、石橋山合戦に敗れた頼朝が、その後6人の家来と共に5日間身を潜めていたという洞穴で、先日大河ドラマでも出てきたが、駐車場から400mという表示なのだけど、これがどう考えてももっと距離があり、しかもかなり急坂の下り道だ。
基本的に舗装されているので滑ることはないのだけど、帰りはもうひいひい言って、休み休みでないと登れない。「しとどの窟」そのものは、関東大震災で前部が崩れたらしいが、それにしても奥行きのない、大岩が屋根を作ったちょっとした窪みみたいなところで、よくまぁ見つからなかったものだという感じだったな。
それから大観山を通って箱根新道で山を下り、小田原厚木道路が事故渋滞しているというので帰りは初めてだが西湘バイパスで二宮まで迂回し--Googleナビ、Good Job!--、厚木から圏央道→関越と通って、これまた渋滞なしに、17時頃には地元に到着。
明日は孫一家と、孫に会いにまた大じじばば3人とさらに娘も来るので、大量に買い物をする必要があり、帰りに近くのスーパーで買い出しをして、18時前に帰り着いた。でもなんだか思いの外寒いねぇ今日は。神奈川はまだもうちょっと暖かかった気がするのだが。
てことで、久々の泊りと温泉が嬉しく、特に2日目の山&森歩きで心を洗われ、小田原城と頼朝と、と言う、歴史に触れることもできた旅でした。
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