前にも書いた恵比寿の「くおん」、前の会社のいくつかの「ふるさと」のうち、まぁ結局ぼくにとっては客観的に見て最大の場所だった全社システム化推進室という部署の、これまでは結構大勢集まってワイワイやるってのが年に1度くらい繰り返されていたのだけども、今回はほぼ初の試み、その中で5人だけによる少人数分科会だ。
ねぇパパ、って呼ぶっていうと、普通に考えるとかなり変な関係だよね。だけど--こんなこと書くと、奴はまたちょっと鼻が膨らんじゃうかな?--そう呼んでくれる部下は、実は奴だけなんだよね。短大出て前の会社に入って、たしか22歳で営業庶務からいきなり全社のシスアド部門に異動してきて、わけもわからずがんばったC。
もうアラフォーも過ぎんかという歳になっても、こんな情けない元上司をフォローしてくれる、ほんとに希少なかわいい部下だ。
前回のその「全シス」同窓会は2年前で、Cの2度めの結婚を祝っての集まりだったのだけど、たまたまトラブルだの何だのが重なってぼくは行けなかったので、考えてみれば彼女らと会うのもずいぶんと久しぶりだ。
そのCがセッティングし、パパよろしくと言われて、まぁあここが無難だろうと、前にも書いたぼくの「ふるさと」の一つの後輩に教えてもらったこの店を予約し実現したこの飲み会は、ぼくの誕生日の半年遅れのお祝いというわけのわからない口実だったが、もう1つ、Cと同期のT(今回はぼく以外の唯一の男子)が会社を辞め、その報告をしたいということで来てくれることになって、それなりのちゃんとした口実ができた。
その「威張れてる」ってのはどういう意味やねん?って訊いてみると、要は部下の主として女子たちに、まぁなんつうかある意味慕われているというか、ぶっちゃけてプライベートも含めていろんな状況を把握したうえで、おまえねぇ、と偉そうに説教垂れることができてるのか?っていうようなことらしい。
そのことについてひとしきり話し合ったのだけども、まぁぼくがいた前の会社R社の特性でもあったのだろうけど、いかんせん世の中も変ってきちゃったよね、と。
なにせ1日のうちかなり長い時間を一緒に過ごしている上、採用方針がとにかくオレがワタシがって奴を採る会社だったから、男女に関わらず常に言いたいことをお互い納得するまで言い合い、ぼくも含めて社内結婚も多いし、プライベートも含めてお互いのことはとてもよく知っている、という状況の上に成り立っているコミュニティーだった。
特にその「全シス」はプロジェクト的なミッションだった割にそこそこ長いこと続いた部署で、ぼくは最初からのメンバーだったこともあり結構好き放題やらせてもらっていたし、部下といっても歳の近い連中が多く、休日もたくさんのイベントが企画されて家族ぐるみで参加したりしていたから、必然的に深い人間関係が構築されていったんだよね。
今の会社でやっていることも、マネジメント的にはそれほど変わってはいないと思うんだけども、飲みに行ったりとかは少なくなったし、そもそも新卒採用を始めたのが数年前で、ほとんどの人間が中途で入ってきているという文化的背景のバラバラさっていうのが、ベースとして違うんだよね。
っていうのとやっぱ世の中が変わってきてるよね。社員住所録なんてものはなくなり、内部統制だのセクハラだのパワハラだのと言われ、昔ながらのプライベート攻撃でのリレーションの作り方ってのが、どんどん否定される方向に来てるわけじゃん?
ぼくらが高校の頃は、コンパなんて普通に行ってたし、渋谷あたりのパブでも、明らかに高校生とわかる連中が酒を飲んでいても、店の人は目をつぶってた。今の高校生ってホントに飲みになんて行かないし、飲みたいとも思わないらしいし、打ち上げとかがあっても酒を飲むのは先生だけなんだもんね。
当たり前なんだよ、もちろんそれが。飲酒運転なんてしちゃいけないし、シートベルトはしなきゃいけないし、タバコも吸っちゃいけない。学生運動が始まりなのか戦後のどさくさに端を発するのか、アナーキズムというか、法律だの社会のルールだのってのは破ってもいいもんだっていう風潮から、世の中は正しい方向へ修正されて来ているんでしょうきっと。
でもどうなんでしょうねぇ。殊に個人情報保護系のところは、ちょっと行き過ぎな気もするんだよね。ズルズルのリレーションがどんな場面でも正しい訳ではないと思うけども、人間関係の希薄さは、企業としての生産性の低さにも繋がる気がしない?
少なくともそういう関係であったからこそ、こういう飲み会が今だに行われ、ちょっとしゃべればかつて共有していた雰囲気というか関係性というか文化がすぐに蘇って、毎回気持ちいい飲み会になるわけでしょ。そういうことが未来にはどんどん、なくなって行っちゃうのかな?
これも話題になったんだけど、もちろんメールだのSNSだのってものが人口に膾炙してきたからってこともあるんだろうけど、年賀状ってものは、間違いなくどんどん廃れていくよね今後。人生の節目で過去の関係をだんだんと切っていく人がいる一方で、なにしろ住所録に住所が増えて行かないわけで、これはそうならざるを得ない。
いいものだけどね。数年に一度とか、あるいは一度も会わない人と、近況を交換しあうっていう風習は。あと何年保つかなぁ。息子や娘の世代がぼくらの歳になる頃には、もう殆ど無くなってるんじゃないのかなぁ?
てことで、いやもちろんこんな話ばっかしてたわけじゃないけども、こういう集まりの場でもそういう話になるし、こういう飲み会があるたびに、個人的にも世の中これでいいのかい?って思っちまうんだよね。
別に泣かすような言い方したわけでもないのに、人事考課のフィードバックのたびに、ぼくの前で泣いたC。ああいう部下との関係性は、もうきっとぼくにとってもないだろうし、世の中から消えていくんだろうね。うーん、寂しい話だとぼくは思いますがねぇ。
しかしこの恵比寿くおん、相変わらず食べ物がおいしいねぇ。今回集まったみんなにも大評判でした。よかったよかった。Cちゃん、キンメの煮付けの写真借りたよ~。
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