このところカミさんがずっと忙しくて、週末も出かけることが多かったもんだから、何パターンか立てたプランを反故にして、昨日やっと紅葉狩りに行くことができた。こう秋も押し詰まってくると、紅葉前線はどんどん南下してきて、我が家から車で1、2時間くらい走った埼玉県内の、西の山岳地帯にかかる辺りが、今ちょうどいい感じに色づいている。
その中でも今回は、飯能から秩父に向かう西武秩父線が走る高麗川沿いの谷の、吾野(あがの)という駅のそばにある、秩父御嶽神社・東郷公園と、その手前の飯能市郊外にある里山、天覧山及びその続きの多峯主(とうのす)山に行ってきた。
いやしかし昨日はいい天気だったねぇ。紅葉は若葉よりも一層、葉っぱを裏側から陽の当たる状態で観ることができるかどうかで美しさが段違いになるので、いい天気かどうかということは、大変重要な要素になる。近年の旅行では、なかなか天気に恵まれることがなかったので、1ヶ月くらい前から行くと決めていたこの日がどうかなぁと心配してたんだけど、今週に入って、22日夜から冬型の気圧配置になるって予報になり、寒いけど天気はよさそうだってので、よっしゃーーって感じだったのね。
電車で行くかちょっと迷ったんだけど、確かに時間的にはその方が少し早いものの、いかんせん西武秩父線って、飯能から西武秩父の間の駅を原則すべてすっ飛ばすレッドアロー号の他は、1時間に2本しかない超ローカル線で、どうにも移動タイミングが限定されて不便なのよね。てことで予定よりちょっと遅れて、8時50分頃車に乗り込み、連休初日で高速は滞ることがわかってたので、得意の県道126号線を使って、まっすぐ狭山日高インターの先の飯能市へ向かった。
市街に入って少し混んだけど、ほぼ出発が遅れた分と同じくらいの予定からの遅れで10時40分頃、東郷公園の第二駐車場--キャパ70台--に着いた。ここがいっぱいかも、ってのが心配だったのだけど、駐車場の入口に並んでる車は2台だけで、こんな早い時間なのにもう帰る人もいて、10分も待たずに停めることができた。
この秩父御嶽神社・東郷公園は、ぼくらが夏に山麓に行った木曽御岳山の行者だった鴨下清八という人が、御岳信仰の神社として創設し、併せて日露戦争の英雄東郷平八郎元帥を尊崇し、周辺一帯を公園として整備したもので、吉田山という山の麓から、標高差130mほどの本社までの1万5千坪ほどの斜面に広がる紅葉の名所だ。東郷元帥や乃木稀典大将の銅像を立てたり、当時のロシア軍の大砲や、戦艦三笠のベコベコに穴の空いた実際の甲板の一部などを貰い受け展示したりしている。
ぼくは「るるぶ」の紅葉情報のページでここの存在を知ったんだけど、今年は11月24日と25日が年に1度の「もみじまつり」になっており、その両日はジャズの演奏とか舞踊などの出し物に、縁日の模擬店が出て盛り上がるそうなのだが、3連休になった今年、23日はこの祭当日から外れていたので、多分それほどは混んでないだろうと踏んだのが、一応当たった模様だ。
メインの参道は、かなり急な階段で、数えてはみなかったけど御嶽神社本社まで多分4~500段はあり、その両側にいろんな支社と、それらを巡る迂回路の坂、というかほぼハイキング路みたいなつづら折れの道が整備されている。東から西の方向へ登る参道なので、午前中のこの時間帯は、向かって左側の迂回路にやや後方からいい感じに陽があたり、しかもその辺はきれいに色づいたもみじが多く植わっていて、ここを登っていくと、こいつぁ紅葉狩りには最高のシチュエーションだ。
写真を撮りまくり、全部で7つくらいあったお社にお参りし、御嶽神社本社まで1時間半ほどで往復すると、これはちょっとした運動だ。それほど混んではないとは言え、第1と併せて100台分の駐車場が満車になっている状態なので、けっこうな人で賑わっている。子供連れも多かったけど、まーぁ見事に子供って、紅葉の美しさになんざ興味はないわな。 でも赤く染まった園地なんかでは、大人につられてなのか、なんとなく気持ちが上がった感じが伝わってくる。
乃木大将の銅像から駐車場まで美しく染まった下り坂を降り、東郷公園を後にして飯能市街の方向に戻る。途中「かたくりの郷」というところで天ぷらうどん・そばを食って--ここでも隣の席に座ってた、3歳くらいのおねえちゃんと1歳そこそこの男の子の兄弟がかわいかったなぁ--、市の中心部に近い飯能市民会館の駐車場に停める。ここはすぐ北側に中央公園という名の園地を挟んで能仁寺というお寺があり、この裏山にあたる標高197mの里山、天覧山が、なかなかの紅葉の名所だという。天覧山という名前は、この地で行われた陸軍の演習の視察に来られた明治天皇が、この高みに登って上から眺め、これは絶景だとおっしゃったことからついたんだそうで。
能仁寺自体もその境内や山門の周りは真っ赤に染まっている。ここから天覧山へはせいぜい20分もあれば登れるのだけど、ここにも一面というわけではないもののいくつかきれいな木がある。ただ午後の2時前後、残念ながら午前中は快晴だった空に雲が湧いて、陽が陰ってしまったのよね。
でも天覧山山頂から北西側の尾根続きになっている多峯主(とうのす)山へ向かい坂を下っているときに、既に西日になって秩父の山に落ちかけた陽が射し、この坂の上部の紅葉のトンネルみたいになった階段部分が、きれいにオレンジ色に包まれた。
一旦湿地帯のようになった谷に下って、ここからかなりの段数の階段と坂道を30分ほど登り、こちらは標高271mある多峯主山山頂に着く。この多峯主山は、紅葉はほとんどないんだけども、たいして高くもないくせに、天覧山でもなかなかだった山頂からの景色が、より一層素晴らしい。 特に今日は空気が澄んでいたからか、スカイツリーや新宿の高層ビル群などの東京都心が、視野角15度ほどの間に箱庭のように見える。サンシャイン60の方向にちょっとUFOのような形に見える大きな建物は西武ドームかな?
景色を堪能した後、夕陽のあたる林の中の緩い下り坂を降りて市民会館駐車場まで戻り、今度は車で15分ほどの人造湖、宮沢湖手前にある、「宮沢湖温泉喜楽里別邸」に行って温泉に浸かる。最近のこの手の施設って、湯船の温度管理とか内装のきれいさなんて当たり前で、岩盤浴があったりあかすりやらマッサージやら、とにかく脱衣場のロッカーにほとんど空きがないほど客がいるし、お値段も風呂だけで1,000円、岩盤浴は別料金になってたり、施設内部では手首に巻いたバーコードで買い物ができたり、なんかシステマチックで商魂たくましいアミューズメントパークみたいな感じだよね。
露天の寝湯や、宮沢湖を一望する源泉露天で温まって、帰りは圏央道と関越を通って帰ってきた。まだかなり早い時間帯だったので、ロヂャースやオリンピックで買い物をし、ファミレスで飯を食って、21時過ぎに帰宅。カミさんは今日も仕事で朝早く出かけたけど、やっぱ森を歩いてくると、深夜から翌日に至るまで気分がいいよね。紅葉狩りは我が家というか我々夫婦の欠かせない年中行事になっております。
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