やっぱし平成のうちには最後のブログは書けませんでしたねぇ。まぁあんだけ「平成最後」を安売りされると、こっちは絶対、そんなのに乗ってやるもんかと思っちまいますわなぁ。物理的にWifiが使いづらい環境にいたってのもあるけども。
さて、案の定けっこう悲惨な天気になってしまったGW前半は、先週書いた通り伊豆西南部と箱根仙石原に旅行に行ってきた。
我々の32回目の結婚記念日となった29日は、予定より30分近く遅れて9時前に家を出、いつもの埼玉県道126号から圏央道狭山日高インターに入るルートで出発だ。ところがやっぱね、3月末になってから出したNexcoの10連休の渋滞予測、甘いと思ったんだよね。案の定、八王子ジャンクションから中央道に入る車への巻き込まれ渋滞も、新しくできた新東名の厚木南ジャンクションを経由して秦野から東名に入るルートの混雑も、Nexcoの予測よりはだいぶひどく、当初の遅れに加えてさらに30分ほど余計に時間がかかり、新東名沼津長泉インターから伊豆縦貫道に入った頃には、既に12時過ぎになっていた。
仕方ないので修善寺の「独鈷そば」に寄ろうと思っていたのを諦め、伊豆中央道に繋がる間にある道の駅--ここもけっこう車が並んでいた--のコンビニでおにぎりを買い、車の中で食べながら、そのまま、これも1月に修善寺から5kmほど伸びた天城北道路の月ケ瀬インターまで直行する。ここから西伊豆に向かう国道136号に入るのが、かなりスムーズになった。
峠を越えて土肥に出、そこから伊豆西海岸沿いを南下する間はスムーズに流れ、14時半ごろには我々にとっては初めて訪れる松崎町まで来た。今回は天候をにらんで、行く予定にしていた場所をどう組み替えるかが常に大変な旅になったんだけど、この時点でたまに小雨はパラつくが、基本傘なしで歩ける曇り空。
ならまずはと、松崎の地焼酎を買った酒屋の角を曲がって、すっごい急坂を「牛山町民の森」へ登っていく。途中からダートになる道を気にせず、車で行けるところまで進んで、50mほど広場を歩くと、TV版「セカチュー」で、綾瀬はるか扮する亜紀がよく登って街を見下ろしていた、また山田孝之扮するサクとファーストキスをした、アジサイの花が印象的だった展望台に着く。
実際には標高236mあるので、歩いて登ったら、高校生の足でもあんなサクッとは登れる高さではなく、松崎の町と港、少し北の堂ヶ島あたりまでの海岸線や大小の島が望める眺めはかなりいい。撮影当時は実際にはなかったらしいアジサイが、もちろんこの時期まだ咲いてはいないが、多く植えられていた。
山を降りて、岬と小湊の繰り返しの、随所に彫刻を置いたワインディングロードを15分ほど南に進み、そのまま、松崎町内最南の今回泊まった小さな湊町「雲見」に着く。ここもTVドラマ「とんび」のロケ地となった砂浜は、国道は150mほどの長さの高架で跨いでいくんだけど、その側道を降り、高架を潜って海岸側に折れ、細い橋を渡って、高架下をまた戻った場所に、今回予約した温泉付き民宿「浜道楽」がある。なので3F海側の我々の部屋の窓から見る目線のちょい上には、その国道の高架が横たわっている。
車を停めてそのままチェックインはせず、貴重になると思われた雨降り前のうちに、その海岸の南側にある半島で、海から細い2等辺三角形の形に突き出して聳える標高162mの「烏帽子山」に登る。ここには「浅間神社」があって、下から500段近い階段の途中と、その階段の上からさらに10分ほど急坂を登った上にお社がある。40分ほど汗だくになってこの上のお宮まで到達すると、そのすぐ左の頂上岩に、普通に踏むと足が半分ほどしか乗らない、狭く急な階段が30段ほどついていて、これを登り切ると・・・おおー、ものすごい絶景だ。
この日はもちろん曇っていたので、富士山とかは見えなかったけど、海側は駿河湾の対岸の御前崎側までほぼ見えるし、足元の雲見の街、その反対側の「千貫門」と言われる穴の開いた岩礁が、断崖の足元に見え、それぞれの先にリアス式海岸が続く。うーん、写真じゃ伝わらないか。
ちなみに「浅間神社」という名前の神社は富士山の本宮をはじめ日本全国にあるけど、多くがニニギノミコトの奥さん、美女として名高いコノハナサクヤ姫を祀っている。ところがこの烏帽子山と、もう1ヵ所、同じ伊豆の大室山にある浅間神社では、その姉のイワナガ姫を祀っている。
イワナガ姫は、コノハナサクヤ姫を見初めたニニギノミコトに、父親であるオオヤマツミノカミが、姉妹そろって嫁として差し出したんだけど、その後容姿が劣るイワナガ姫は返されてしまった。そのことをイワナガ姫が恨み、この烏帽子山で富士山を褒めると祟りがあるという噂がある。このコノハナサクヤ姫は、たった一夜の契りで三つ子を産んだのだけど、そんなに早く子宝を授かるのはおかしいとニニギノミコトが疑い、怒った姫が子供は神の子だから死なないだろうと、家に火をつけ自らは死んでしまうのだけど、こういう日本の神話は、ほんとに生々しく激しくて面白いよね。昨今の不倫ドラマも真っ青な感じ。
烏帽子山を下りて、まだ想定よりもちょっと早かったので、雲見海岸の南、烏帽子岩との間に低く突き出た「思い出岬」にも行ってみた。岬のちょっと先には「牛着岩」はじめいくつかの岩が海から顔を出し、外波から湊を守る天然の堤防になっている。そして宿に戻って17時前にチェックイン。
この近辺の小湊には、ホテルや洋風の宿はほとんどなく、釣りやダイビングや海水浴客向けの民宿しかなくて、今回の宿「浜道楽」も、温泉があり部屋に温水洗浄のトイレがあったりしてレベルはかなり高いが、4F建てなのに階段はないとか、布団は自分で敷かないといけないとか、食事の時間が選べない等、民宿らしさが残っている。
それでも食事までに1時間くらいは余裕があったので、最上階にある温泉に行く。内湯は洗い場が3つしかないこじんまりしたものだが、露天風呂もちゃんとあって、温度調節がよく気持ちがいい。この時点で雨が降ってきてしまい、露天は弱いシャワーを浴びているような状態になった。
この宿が「じゃらん」とかの口コミでもっとも高得点なのは夕飯で、基本、大量小鉢の旅館メシなのだけど、そこに船盛がついて、各小鉢も美味いがそのお造りがめっぽう美味い。全部は食べきれなかったが、それでも超満腹になる。
翌日の平成最後の日30日は、残念ながら朝から雨。なのでこの午前中に行く予定だったハイキングは諦めて、車で松崎の町まで戻り、「長八美術館」に行く。ここは漆喰芸術の殿堂ってことで、通常の壁や塀のすぐれた左官技術を陳列してるのかと思ったら、江戸から明治に生きた入江長八という左官の名人が、レリーフや像などの形で、ものすごく繊細に着色した芸術作品を作って、いろんなお寺のお堂や蔵の扉とか天井に提供していた、それを移設したりして展示している。
思ったよりずっとアートで他にはない作品を、予定外に時間をかけて観て、その足で傘を差してその付近の「なまこ壁の町並み」を見に行く。その中には「セカチュー」のサクのおじいちゃんの写真館(一般の方の家)とか、撮影場所になった橋とかがある。
車に戻って今度は町の中心部から少し山の方に入って行った、「たんぼを使った花畑」を見に行く。ただ残念ながらここはもう花は末期で、5月1日以降GW中は「摘み放題」になって、それから田植えをするってことなんだろうけど、その直前なのでポピーとかいくつかがバラバラと咲いているだけ。雨だったので車の中から眺め、その横にあった「Salute」というイタ飯屋で昼食にし、雨が止む気配がなかったので、悪天候サブプランに従って、そのまま車で下田の方向に向かう。
まずは30分弱走り、下田から内陸を河津に抜ける国道414号線の、伊豆急稲梓(いなずさ)駅のそばにある「上原美術館」に行く。ここは、大正製薬名誉会長の故上原正吉氏のコレクションが寄付された美術館で、仏像や仏教芸術と印象派などの近代芸術を、2つの館に分けて展示している。
近代館の方は、ぼくは印象派ってあまり興味ないんだけど、一部ピカソやマティスがあったのと、あと山本正道と言う人の彫刻がよかったな。それと仏教館の方は、企画展で伊豆半島各所のお寺の仏像を集めた展示室もさることながら、体育館みたいに広い部屋にずらりと並べられたものすごい数の大小各種の木造仏たちが、すごい迫力だ。
それから下田近辺に来たらとりあえず行くことにしている、市内了仙寺の母方の祖父母の墓--何度か書いてるけど既に永代供養と言うことにしちゃったんだけど、前回両親及び兄一家と4年前の暮れに来た時以来の今回も、だいぶ苔むしたものの元の墓はちゃんと残っていた--まいりをし、これまで知ってはいたけどスルーしていた了仙寺そばの「下田開国博物館」に行く。
こないだの高知旅行の時にジョン万次郎の偉業に触れ、その後津本陽さんの「椿と花水木」という万次郎の伝記小説も読んで、幕末開国づいていたので、行ってみようかと言う気になったのだけど、元公営の郷土資料館かなんかだった時は閑古鳥が鳴いていたらしいのが、民営化してペリーやハリス、プチャーチンなどの来航がらみにほぼ絞ったのがよかったのか、雨だったせいもあるだろうけど、ここはかなり混んでいた。確かに展示内容もなかなか興味深く、とても勉強になる。
展示を詳細に見ないと解けない、かなりマニアックなクロスワードパズルなんかもやっていて、そういうのに血道を上げてしまうカミさんにつきあって、ペリーが連れてきた植物学者の名前とか、唐人お吉が最後に開いた小料理屋の名前とかを、館内を駆けずり回って調べていたら--しかもそのパズルが3種類もあって、全部渡してくれちゃうもので--けっこう時間がかかった。
県道119号線と言う、人様よりはかなり下田通のはずのぼくも走ったことがない道を通って宿に戻り、天気予報を見たら、令和初日の翌日午前中は、南伊豆地方は雨が上がるかもしれないと言う。よし、期待しよう、ってとこで、すっげー長くなってるので続きは次回に。
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