1週間の夏休みに入る前夜の昨日、中野サンプラザに達郎のライブ「PERFORMANCE 2019」を観に行ってきた。
過去何度か書いてるので繰り返しになるけども、なにせ取りづらいのですよ。彼のライブは。なぜなら「音の職人」たる達郎自身の主義で、「中野サンプラザ(キャパ2,222人)より広い会場ではやらない」--このままの言葉ではなかったかもしれないけど--から。
というのは、それより広いホールやスポーツ系の会場なんかだと、観客の位置によって聴こえ方が異なってしまうと。例えば前方と後方でタイムラグが下手すると0.3秒とか生じてしまう。そうすると後方のオーディエンスには、見た目と音がずれた気持ち悪い状態になり、お金を頂いてお見せするのが失礼に当たるだろうということとかね。
どのくらいのオーディエンスがその気持ち悪さを感じるかはよくわからないけども、これも前に書いたけど、2年前ユーミンを観に行った東京国際フォーラムのホールAみたいなバカッ広く縦に深い会場では、少なくともぼくは、音響は最悪だと感じた。タイムラグもそうだけど、遠くに音を届かせるために、PA出力の調整が難しいのか、部分的に音が割れたりしてね。
昨日のライブでも達郎がまさにその話をしていて、「ドームとかアリーナでやるより、明らかにここの方が(観る人にとって)インパクトあるでしょ」って言い方だったけど、そのことで1回のライブあたりの本人や関係者の実入りは当然減るわけで、ミュージシャンとして大変に真摯なスタンスだとぼくは思う。だけど、そのために彼のライブは、オーディエンスにとっても本当に取りにくいことになってましてね。
これまで何度申し込んだのか、さすがに地方の会場まで追いかける気はないけども、東京ないし埼玉で行われるものはほとんど、今回取れたe+だけじゃなくていろんな他のチケットサイトや、突如新宿ロフトで行うことになった、ってライブまで含めて、各サイトに達郎の名前を登録してあるために届く、メルマガの知らせがあるたびに、多分10回くらいはチャレンジしてたと思うんだけどね。
それがなんと、今回は当たってしまったのですよ。e+会員向けのファミマ先行プレオーダーってやつの抽選にね。やったぁ。
これまた書いたことあるけども、彼のライブは、浪人中の1980年に、葉山マリーナのプールサイドで行われた、真夏とは思えない寒~い雨中の野外ライブに行って以来。あの時はたしか、何が悲しゅうてかブーランとマキゾエと、マキゾエの友人O氏の男4人で行ったのだったなぁ。
「Ride On Time」のシングル発売直後、アルバム発売直前で、彼がまさにブレークしかかっていた時期。しかも本来旧シャネルズとジョイントのはずだったのが、田代某の最初の不祥事で彼らの出演が急遽キャンセルになり、やけくそのようなサービス演出のオンパレードだったことを記憶している。おっと、このライブの音源がYou Tubeに上がってたりするのね。達郎の声が若い。
んでつい3ヶ月前には、達郎のシアターライブも観に行って、うーんやっぱ本物が観たいよなぁ、って思ってた矢先のこの当選だからね。6月半ばにそのお知らせが来てすぐに、カミさんにLINEで、やった!空けといて!ってメッセした。
7月末にファミマでファミポートを使ってチケットをゲットしてみると、1F14列8、9番。おっと、こいつはなかなかいい席なんじゃない?8、9番というのは横に50席あるうちのだから、ステージに向かって5ブロックあるうちの左からかろうじて2ブロック目の左端と、かなり左寄りではあるけども、14列というのは前から2/5ほどのところにある通路から2列目だ。
暑いのでカミさんとは現地集合ということにし(たけど結局駅で会った)、いつになるかはっきりしないが近年取り壊されるという中野サンプラザに向かう。ここでライブを観るのは初めてではないはずなんだけど、いつ振りだろう?我々はもう多分、今の中野サンプラザは今回で最後になると思われ、そう考えると感慨深い。
チケット購入時に名前を書き、それと「顔写真付き身分証明書」が照合できないと入れてくれないという、最近のものの中でも厳しい、セキュリティというよりダフ屋防止チェックを抜け、席に着いてみると、おお、これはなかなかに近いじゃないですか。ステージの中心からは左斜め30度くらいの場所なんだけど、距離は20mくらいかな?このくらいの方がドラマーがよく見えてよい。
周りを見回すと、お客さんの多くがぼくらと同世代かちょっと下くらい。達郎自身は最近若いお客さんも増えてきたと言ってたけど、30代以下は1割もいなかったんじゃないかな?
車が混んでたとかで、10分くらい遅れて「Sparkle」から始まったライブは、これからこのシリーズのライブに行かれる方もいるかも知れないので、セットリストを全部書いたりはしない--もっとも今回のツアーは6月から始まってるから、これまで各地で行われたのを、思い切り書いちゃってるサイトがいっぱいありますが--けども、楽曲のよさは当然として、わかってたことだが演奏のクォリティが大変に高い。
伊藤広規さんとか難波弘之さんとか松たか子の旦那である佐橋佳幸さんとかのベテランは当然として、故青山"アレックス"純さんが体調を崩して11年前に加わった唯一の若手(と言ってももう35歳だけども)、ドラムの小笠原拓海くん、うまいなぁ。右手1本での高速16ビートがとにかくすげえ。近ごろ流行のタム1コとかのセットではなく、Pearl(というドラムメーカー)のタム固定用前面のフレームに、3つのタムを並べる昔ながらのセットに、左右にチャイナシンバルを置いて、地味だけど確実なビートを刻む。こういう職人タイプのドラマー、ぼくは好きだなぁ。
達郎さん、もう66歳だと言うのに、なんでこんな声量と音域を維持できるんだろう?先月のサンプラザライブが本人の気管支炎で中止になったと聞いて心配してたけど、完全復活だね。松田聖子なんて紅白の時、往年から4音くらい音下げて、別の曲みたいになってたのにね。
「音の職人」だけに、「最近は技術の進歩でこんなこともできるようになった」と言いながら、例えば「クリスマス・イブ」で、多重録音コーラスをコンピューターで流しながら、小笠原くんはドンカマ(ビートのクリック音をイヤフォンで聞きながら演奏すること)を使っていないのに、生演奏がぴったり合っている。しかもバンド全員がだ。
ステージの上って、いくらフロアモニターで音を出しても、ドラム叩きながらだと聴こえにくいのよ。特にコーラスとかインパクトの少ない音って、リズムが取りにくい。あれはいったいどうやってるんだろう。なんか光とかでビートを見せてるのかなぁ?こういうところでも我々アマチュアには想像もつかない技を見せてくる、これぞプロだよね。達郎らしい。
しかし達郎さん、よくしゃべるなぁ。昔からいろんなラジオで聞いたり、「サンデーソングブック」もやってるし、話好きなことは知っていたけども、昔はあんなにMC挟まなかったと思うんだけど。しゃべりすぎだってスタッフに怒られると言っていたけど、あんなにしゃべるメインボーカルは、他には「健康」のブーランぐらいしか知らない。
昔の曲から最近の曲まで万遍なくやってくれて、ぼくのような古くからのファンにとっては嬉しい限り。しかも知らない曲は1曲もなく、8割がたは構成も、半分くらいは歌詞も把握していると言う、おいらやっぱりかなりの達郎フリークだったのね。
その中でも本人が「不遇の時代」と言い全部で3万数千枚しか売れなかったと言う3枚目のアルバム「Go Ahead!」--ぼくはアナログ盤を持ってるんだけど、今やプレミアがついてるのかなこれ--から3曲、特に大好きな「Paper Doll」をやってくれたのが嬉しかったなぁ。
またその内の1曲「Let's Dance Baby」は、2番の頭の「心臓に 指鉄砲」のところでクラッカーを--鉄砲の音に模して--鳴らすと言うのが、39年前の葉山マリーナライブの時に既にやっていた昔ながらの定番なんだけどもね。今だにクラッカーをたくさん持ってきて周りの観客に配るファンがいるんだよね。達郎もクラッカー音を聞いて、「お、さすが東京」って言ってたけど。
ぼくらも前の席のお兄さんにクラッカーをもらったけども、あれはアウフタクトの「しん」の後、「ぞうに」の小節の3拍目の裏で鳴らさなきゃいけない、という極めて難易度の高い「合いの手」でしてですね。うちのカミさんを始めそんなことはわかっていないと思われるファンも多く、バラバラバラとクラッカーが鳴ってしまう、その揃わなさ度合いは、昔よりもさらに悪化していたな。
お決まりのアカペラコーナー--クリスマスアルバム「Season's Greetings」から『わんわん物語』の主題歌「BELLA NOTTE」をやってくれたのも嬉しかった--があり、故大瀧詠一さんの名盤「A Long Vacation」から1曲とか、奥様竹内まりやの曲もいろんな形で随所にたんまりと、サービス満点盛りだくさんのパフォーマンスは、あっという間に終わった。
と思って時計見てみたら3時間10分も経っていた。「のぞみ」が走り始める前の新幹線「ひかり」ですら東京から大阪まで着いちゃうじゃん。しかも時間が経つほどに声が出るようになっていく。すごい体力。ほんとに年金もらってる年齢なのか?信じられない。
うーん、これはここ何年かのライブの中でも、特に大満足だな。終了後、たまたま同じライブがキャンセル待ちで当たったというこれまたラッキーな兄(ぼくの)と、飯を食って帰ってきた。昨日は家に帰って来てからも、なんだか気持ちが上がってたなぁ。
てことでいい感じに始まった夏休みですが、来週はまず13日に娘の所属するバレエ団の発表会があって、14日からは3泊で木曽駒ケ岳とその近辺の森と美ヶ原に行ってくる予定。なのだけど、5年前台風でロープウェイが止まり登れなかった木曽駒ヶ岳のリベンジなのに、また台風が近づいてきている。
やめてよー。今回はロープウェイ山頂の日本一高地にあるホテル「ホテル千畳敷」を、苦労して取ったんだからね。来るなよー台風10号!
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