県境を跨ぐことが憚られるこのご時世なんで、ってこともあるけど、やっぱ時々森の中を歩かないと我々夫婦は息が詰まってきてしまうのでね。この時期にはこれまでも何度か、2泊ほどの旅行の他に、埼玉県内の里山に日帰りハイキングに行っていたのを、今年は、調べてみたら7年ぶりに実行することにした。てか近年はもう少し贅沢になってて、GWに2泊旅行を2回したリ、ってことが多くなってたってこともあるのだけどね。昨年秋に吾妻渓谷に紅葉狩りに行って以来のプチ遠出だ。
過去は4月29日が我々の結婚記念日ってことで、その日はハイキングってことにしていたようなのだけど、7年前、8年前ともカミさんの仕事の都合で行けなかったので、もはや結婚記念日に行くということも忘れてしまっていた。今年は34回目で中途半端で、来年は「珊瑚婚式」だそうなので、--ぼくは「切りのいいのをありがたがることの反対派」なので忸怩たるものはあるだけど--来年は4月29日に行くか。
で、7年ぶりともなってしまうと世の中いろいろと変わるもんでして。東武鉄道のサイト内に、我が家のある東武東上線沿線のハイキングコースを、PDFで詳細かつ多数網羅していたページがあったはずなのに、なんとなくなってしまっているじゃないですか!あんなもん、そんなに情報が古くなるわけでもないし、多少古くたって役には立つので、そのまま載せといてくれればいいのに。
てことでしょうがないからGoogleでイチから検索して、その8年前の、結婚記念日に行けずに初秋になってしまった黒山三滝のハイキングと最寄り駅で言うと同じ、東上線の支線越生線の終点駅越生(おごせ)から直接歩いて行ける、「大高取山」とその近辺の里山を歩くことにした。越生町の公式HPにあった地図が頼りだ。
最初は電車で行く気で、東上線の坂戸駅から別れている越生線に乗るのに、今回調べて初めて知った、2年前のダイヤ改正で登場した「川越特急」っていう、下りは1日に2本だけしか走ってない、朝霞台から坂戸までの所要時間わずか22分という列車に、元鉄道マニアとしてはちょっと魅かれてたんだけど、カミさんがやっぱこの時期は少しでも感染リスクを減らすためには車でしょ、と言うので、計画を変更する。
9:10分ごろ家を出て、まず我が家のある駅の隣の朝霞台駅に行き、コロナ禍で使う機会が減った吉野家の株主優待券を、構内の「京樽」--吉野家の子会社--で弁当を買って消費しようと思ったら、「京樽」はまだ開店していない。おいおい、HPの営業時間通りに営業しろよ。しょうがないので近くのファミマでおにぎりその他を買い、それから所沢インターに行ってみたら、坂戸までベタっと渋滞していると言う。
我が家も同類なんで偉そうなことは言えないけど、この時期なんでそんなに出かけるかね。特にショッピングモールとかテーマパークとか、そういう人が多いところに行こうって人の気が知れない。しょうがないのでいつもの抜け道、県道126号で行ったら、この道も最近は有名になってしまったのか、結構混んでいる。結局、80台ほどの無料駐車場がある「越生町中央公民館」にたどり着いたのは、11:30頃になってしまった。電車で計画を立てた時の所要時間に+1時間以上だ。
トイレに行ってから、この公民館の裏の、桜の名所らしい「さくらの山公園」の広めのうねうね歩道を登っていくと、第二次大戦の戦死者を慰霊する「世界無名戦士の墓」に出る。ここでも既に眺めはかなりいい。ここから本格的なハイキング路に入り、かなりきつい傾斜を汗だくになりながら30分ほど登ると、別ルートとの合流点「西山高取」に出る。
家族連れや年配の2人連れなど、10分に一度程度すれ違うのと、この手の木の簡易ベンチがある休憩場所には2,3組の人がおり、基本暑いし息苦しいからマスクはしたくないのだけど、そういう時はマスクをしないといけない。ぐしゃぐしゃになってもいいように、 普段の布マスク+不織布+マスク内シリコンフレームのセットではなく、不織布の単純マスクとシリコンフレームを持って行ったが、それでもいちいち着けるのは面倒だ。たまに会う人もマスクをしていないことも多く、ぼくも時々サボって汗拭きタオルで鼻と口を覆ってやりすごしたりした。
全般には緩やかな登りの尾根道なんだけど、途中一部またキツめの坂もある道をさらに40分ほど進み、写真は撮り損ねたがタヌキに遭遇したりしながら、今回の里山歩きのピークである標高376mの「大高取山」頂上に着く。但しここからの眺望は、かなり狭い一方向しか開けておらず、しばらくここに留まってから元来た道を戻り、途中の分岐を東方向に降りて行って15分ほどで、「幕岩展望台」に到着。ここからの眺めは開けており、素晴らしい。遠くにスカイツリーが見える。もう13:30頃になっていたので、ここで買ってきたおにぎり他の昼食にする。
この辺の森は基本的に日本中によくある針葉樹林なんだけど、ややヒノキの比率が高いのか--素人にはなかなか杉とヒノキの見分けがつきにくい--路がいい香りに包まれている。今日は午後から少し曇りがちになったが、全般に日差しがきれいで風も心地よく、汗はかくけどよく乾く。昼食を食べていたら背中の汗が蒸発して寒くなってきたので、防水ウィンドブレーカーを羽織ったりした。
それから少し戻って、途中案内板のない道を、越生町のHPにあった緩~いガイドマップを頼りにショートカットしたら、これがうまく行って、大高取山から続く比較的平坦な尾根道に出られ、また30分ほど進むと、「桂木観音」に出る。ここは行基が開山したと言われ、覗いても見えなかったが、お堂には県内最古の木像が収められているらしい。手を合わせお参りをし、参道の階段の途中にあった鐘をひとつゴーンと撞く。ここら辺りは柚子の産地らしく、柚子の木がたくさん並んだ畑がある。
ここから少し車道を歩き、またハイキング路に入って尾根に出て、そのまま尾根を越え、ヒノキの大木が集まりその下から広葉樹が育ってきている、香りよく美しい森の中を30分ほど坂を下って、「三満山 虚空蔵尊」に出る。毎年3月の祭礼では、だるま市が開かれ賑わうらしい。120段ほどの久々の登り階段がきつかったが、ここにもお参りする。
階段上の狛犬に当たる像が牛と虎だったので、調べてみたら、虚空蔵菩薩と言うのは、虚空のように無限の知恵や功徳を持つ菩薩で、知恵・福徳・学徳・技芸上達のご利益があるとされ、丑・寅年生まれの人の守り本尊なのだそうだ。 その3月の祭礼の時、丑年と寅年だけはご本尊のご開帳があると書いてあったのはそういう訳か。しかも我々夫婦はまさに丑年生まれと寅年生まれ。それぞれの狛牛、狛虎と2ショット写真を撮った。
ここから先はほとんど人里に降りて来た感じで、車道が途中から舗装路になり、ここも桜の名所だと言う川沿いを進み、住宅街の中を30分ほど歩いて、16時ちょっと過ぎに「越生町中央公民館」に戻って来た。ふぅ。足はかなり疲れている。
帰りはまっすぐ、事故で少し車の流れが悪くなっていた関越を走り、18時前に家に帰ってきた。いつもなら立ち寄り温泉に浸かってくるんだけど、越生にも少し先まで行けば温泉があるものの、この時期やっぱ共同浴場はまだ少し怖いのでね。代わりにすぐ風呂を沸かし、嫁の実家からお歳暮かなんかでもらったメナードの「薬用湯」という入浴剤の最後の1つを入れて、疑似温泉気分を味わう。
そして19時前には500ml缶ビールをあおる。まだあと休みは2日ある。うーん、なんて幸せ。やっぱ森は心が洗われるし、適度な疲労感もあいまって、とても気持ちいいです。
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