今週は倉本叔父の最新本ほか本の話と、今週あった出来事の話をいくつかバラバラと。
先月上旬、倉本叔父の自叙伝「破れ星、流れた」が発売された。倉本叔父の本は全て、ウチの実家には「謹呈」として送られてくるのだが、先月孫の顔を見にオフクロが我が家に来た時にこの本の話をしていて、帰りに送って行った車の中で、この本にあった善福寺の親父の実家での流血事件について、自分が走って行って公衆電話で救急車を呼んだのだと言う生々しい話をされ、そんな事件全然知らん、てことで、その本を実家から借りてきた。
本の内容は、倉本叔父が子供のころ、戦時中に疎開していた時のこととか、ぼくが生まれる前に亡くなった祖父と倉本叔父の関係性や祖父への思いなどの話、その後の実家の窮状や、倉本叔父の二浪しての大学入学、さらにニッポン放送に就職してからの破天荒なエピソードなどで、親の代のこの手の話ってあまり聞かされていないものだと思うけど、ぼくにとってはほぼ初耳の話ばかりだった。
ぼくは親父が転勤で行っていた北九州市の八幡で昭和36年に生まれ、九州まで遊びに来た叔父の記憶はあるが、その頃はニッポン放送を辞めて駆け出しの脚本家として奮闘していたはずで、この本に書かれた以降のことになる。まだ連続ドラマなんかは今ほど定着してない時代で、時々叔父の書いた単発ドラマが放送されるとなると、家族で当時白黒14インチだったと思うが、小さなテレビの前に集まって観たものだった。
流血事件と言うのは、祖父が亡くなった後、祖母の姉に当たる倉本叔父からみると伯母が、当時善福寺の実家に居候していたのだが、実家の経済的窮状を見て、その中で自分はお荷物にしかなっていないと言う思いから、胸と首を包丁で刺して自殺を図ったということで、ぼくはその伯母(ぼくから見ると大伯母)が実家にいたことも知らなかったし、結婚後オフクロが一時実家に住んでいたと言うことも知らなかった。
しかし感心するのは、小学生の頃のエピソードとか、叔父がものすごく細かく記憶しているということだ。もちろん80年も前のことだから、記憶は改ざんされてしまっているだろうし、脚本家なりに脚色しているところもあるのだろうけど、それにしても自分が小さい頃のことをこれだけ書き起こせるかと言うと、ちょっと厳しいと思う。ただ、この本にも書かれている、自分がやらかしてしまったとか、人の道に悖ることや卑怯なことをしたとか、そういう記憶は残ってるよね。悔いは一生、ってやつだよね。
ぼくは叔父が書いたウチの祖父や祖母や両親、叔父や叔母など親戚の話として読んでしまうので、もちろん大変面白くはあるのだけど、そういう関係性のない方が読まれて面白いのかどうかは、客観的にはよくわからない。でも軽妙な文章とか時間の進み方のテンポとか、読みやすくて一気に読めるのは確かだと思うので、興味があったら読んでみてくださいね。
さて、4月に上橋菜穂子さんの小説にハマっていると書いたけど、その後「鹿の王」シリーズ、「獣の奏者」シリーズに続いて、「守り人」シリーズも、一部の「外伝」的な作品を除いてあっという間に読破してしまった。いやぁ面白かった。
倉本叔父が上の本の中で、「ラジオは最高級の映像芸術である。客は耳から入る音のみによって頭の中に映像を組み立てる」という趣旨のことを書いているけど、それで言ったら本は、特にファンタジー小説は、映像を想像させる媒体としてはより自由だし、力量ある作家が書いたものは、それこそ最高級の映像芸術だよね。
これらを読んじゃって、これからどうしようと思っていたら、「守り人」シリーズの何冊かの文庫版の巻末に、萩原規子さん、佐藤多佳子さんという、上橋さんのファンタジー作家仲間との対談が載っていて、おお、そういう作家さんがいるなら読んでみようってので、先週図書館で代表作と言われる作品をそれぞれ1冊ずつ借りてきた。まだ読み始めたばかりだけど、なかなか面白そうですぞ。
実はその前に、ずっと前に予約していた辻村深月さんの「噛みあわない会話と、ある過去について」という小説の割当があって読んだのだけど、なんかこういう、人間の悪意とかトラウマとか、過去の記憶の相手方から見た別の側面とか、そんなことを書かせたら、辻村さんは湊かなえさんと共に、いま日本で最高の作家さんだよね。読後感は決してよくないけど、現代的ホラー小説として、よい出来の小説でした。
さてさて今週はその他、木曜日に人間ドックに行って来た。まぁ毎年のことではあるので特にこれといって特筆すべきこともないのだけど、昨年に続いて近年関東ITソフトウェア健保が始めてくれた胃の内視鏡検査を、少ない予約枠を受付開始当日の開始時刻すぐに突破して今年も受けてきた。氷のようなものを舐めて喉を麻酔するのだけど、昨年よりは今年は麻酔が効いて、言葉は悪いけど強姦されるような感覚は薄かった。
胃には特に問題ないと言ってもらったのと、BMIが悪化していないのと、取り急ぎ--尿酸値を下げる薬を処方してもらっている医者に見せるために--血液検査の結果だけはもらってきたのを見る限り、まだ所見は入ってないけど脂質代謝の数字は悪化してはいないようなのでよかったけど、聴力が落ちてるのがヤバいな。特に周波数が低めの音が聞こえにくい。確かに会議とかで小さな声の人の発言が近ごろ聞き取りにくいんだよね。こりゃやっぱ早々に仕事は引退するだな。
ちなみに先月行った脳MRI健診は、軽度の大脳委縮他小さな加齢性変化は見られるけれども、認知症リスクも、脳卒中リスクも今のところ低いってことで一安心。でも問題なしって診断でも、3年後に認知症を発症するリスクは19%もあるんだそうで。怖いなぁ。
さてさてさて、もう1つは来月行く予定の旅の新幹線チケットの話。正式発売は1ヶ月前、その1週間前から事前受付登録ってのができるんだけど、それができるようになる1ヶ月と1週間前の14時直後にこの登録をしておいたのが、1ヶ月前の当日、つまり今週の11日と14日の朝10時過ぎ、いずれもチケットが用意できませんでした、というメールが来た。
この14日の方は、日程設定に失敗したのだけどたまたま人間ドックの最中だったので、採尿に行く時にトイレの個室に籠ってスマホで対応--こうすれば名前を呼ばれないのでね--したりして大変だったのに、だ。
つまり「トクだ値」という、25%引きとか30%引きとかになるやつだけで--前後の電車も含めて第3希望まで--登録しておくと、特にこういうピーク時は、なかなか当たらないってことだ。
JRはどこにも正式にはアナウンスしてないけど、この事前登録ってのは、特に早い遅いは関係なく、エントリーしてある分を1ヶ月前の10時に機械的に抽選するだけのようで、要は人気が集中すると当たる確率が下がるってことらしい。だけど一昨年いったん取った(けど後日キャンセル)時は、行きは25%引き、帰りは5%引きで取れたのにね。やっぱ今年は旅に行く人が多いのかな。
てか外れたってので行きも帰りもすぐに正価で取り直しに行って、取れたからまぁよかったんだけど、例えば帰りは、座席を選ぶ画面を見る限り、車両の98席中まだ4席しか埋まっていなかった。つまり「トクだ値」に割り当ててる座席数自体僅少だってことだよね。一昨年はコロナ隆盛だったので、その枠を少し増やして客寄せをしようとしていたと言うことか。まぁ商売なので書き入れ時はやむを得ないとは言え、JR東日本さん、もうちょっと情報開示してちょうだいよ。こんな苦労せずに最初から正価で事前登録する選択肢もあったのに。
あと今週はAmazonプライムデーがあったので、いくつか買い物をしたのだけど、長くなってるのでこの話は来週以降に回しますね。
コロナがまたすごい勢いだね。「全国旅行支援」が延期されたのは、もともとさほど期待してなかったのでいいんだけど、行動規制が出ないことを祈ります。我が家は3回目のワクチン接種が3月17日だったので、その5ヵ月後の8月17日にはカミさんも還暦を迎えているため2人とも4回目の接種対象なんだけど、接種できるのが旅に行く前の方がありがたかったんだけどねぇ。みなさんも感染対策をしっかりして、お体ご自愛くださいね。
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